【4680】ラウンドワン(東証プライム) BY
現在値 474円/100株 P/E 11.6 P/B 2.24 3月配当優待 9月配当優待
ボウリング、カラオケ、ゲーム、時間制スポーツなど複合エンタメ施設を展開。
配当実績は3月末・9月末の合計8円*のため、配当利回りは約1.69%となります。
ラウンドワンは株主優待を実施しており、3月末・9月末に100株以上を保有する株主に対し、1,000円分の割引券を年2回進呈していますので、配当優待利回りは約5.90%となります(別途ボウリング教室券等の進呈あり)。
業績を確認していきます。
■2020年3月期 売上高 1,047億円、経常利益 87.2億円、EPS 16.8円
■2021年3月期 売上高 609億円、経常利益▲198.1億円、EPS▲67.4円
■2022年3月期 売上高 964億円、経常利益 53.6億円、EPS 14.0円
■2023年3月期 売上高 1,411億円、経常利益 171.7億円、EPS 40.8円ce修正
□2022年9月2Q 売上高 674億円、経常利益 71.1億円、EPS 18.2円
□2022年12月3Q 売上高 1,013億円、経常利益 88.1億円、EPS 21.3円(2/10)
2022年9月中間期の売上高はYoY+63.2%の674億円、営業利益はYoY+76億円の71.1億円となり、期初予想を上振れました。国内事業は予算前提の平時比SSS101.7%に対し、実績同98.7%と若干届かなかったものの、AM領域のクレーンゲームが牽引する格好で、感染者数拡大がみられた2Qにかけて尻上がりに改善しました。他方、海外事業は予算前提同109.8%と高いハードルだったにも拘わらず、実績同131.1%と非常に好調に推移し、中でもAM領域が同141.5%、ボウリング領域が同126.1%と軒並み大幅増となりました。
なお、2023年3月期の通期見通しは3Qで再修正しており、売上高はYoY+46.4%の1,411億円(期予:1,296億円)、営業利益はYoY*3.2倍の171.9億円(期予:134億円)に修正しています。国内事業の下期予算前提SSS118.0%に対し、3Q実績は同114.3%で未達となっており、更に電気代等コストアップによる収益悪化が更に鮮明となりました。他方、海外事業は予算前提同120.1%に対し、3Q実績で同127.4%と上振れたため、国内と海外で丁度オフセットとなるものの、国内事業の方には一過性の為替差益(15.6億円)を新たに織り込んで2Q見通しを据え置いたことから、事実上は下方修正の色が強くなっています。
当社は特段中計を開示していないものの、①国内事業の既存店成長、②米国事業の出店と既存店成長、③その他海外事業(主に中国)の成長、の3軸が主な取組事項となります。既に進行期において米国の経常利益が国内のそれを上回っていることから、今後は成長のメインドライバーは米国・中国に移っていくとみられるものの、国内も小規模な家族経営事業者の多いボウリング・AM他社の廃業が相次いでいることから、市場の縮小傾向に反して成長余地が残されています。
①国内事業(約100店)は、既存店のS&Bだけでなく、目下ではクレーンゲーム筐体を数百台規模で配備した“ギガクレーンゲームスタジアム”店の出店を進めています。新型肺炎禍でのリモート機のヒット等もあり、クレーンゲームは空前のブームとなっているほか、リース期間が3年に対し、実耐用年数は10~15年持つことから、4年目以降から一気にリース料が減少します。そのため、足許の1年でギガ店を4店→55店に激増させているものの、3年後から大きな収益改善効果が見込まれます。
②米国事業(約50店)は、年間8~10店の新規出店を継続する計画です。店舗当たりの出店投資は約8億円弱を要するものの、平均採算の店舗で初期投資同額程度の年商が見込まれるほか、2年目以降巡行時の粗利益率も18%程(約1.5億円)確保出来るため、出店数に応じて利益が積み上がる状況となっています。特に国内事業との両輪で、ギガ店に改装した際に撤去されたクレーン機以外のアーケード機等のAM筐体を米国店舗に移送し、そのまま転用しています。特に“太鼓の達人”等の日本機は海外でも人気が高く、かつ償却済で電気代しかかからないため、非常に高い限界利益を叩き出すことに成功しています。
財務の状況については、リーマンショック後の一斉オフバランスとリースバック移行で借入返済が続いていたものの、新型肺炎禍ではやや借入を増やしています。それでも足許の自己資本比率は37.2%と安定しており、手許現金が有利子負債をほぼネットしている状況です。株主還元については特にポリシーを定めていないものの、進行期については1円33銭増配の年8円配当を見込んでいます(配当性向19.6%)。
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。