【9783】ベネッセホールディングス(東証プライム) NT
現在値 1,873円/100株 P/E 15.7 P/B 1.19 3月配当優待 9月優待
「進研ゼミ」など通信教育最大手。高齢者ホーム、出版等へ多角化。傘下に「ベルリッツ」。
配当は3月末・9月末の計年60円配予想のため、配当利回りは約3.20%となります。
ベネッセホールディングスは株主優待制度を導入しており、3月末と9月末の年2回、単元を保有する株主に対してカタログギフトを進呈しており、ハウスカードのポイント2,600円相当*2回で計算した場合の配当優待利回りは約5.97%となります(※写真は選択商品のベネッセハウス・ジャム詰め合わせ)
業績を確認していきます。会計基準第29号の新収益認識基準に切り替えています。
■2021年3月期 売上高 4,275億円、営業利益 130億円、EPS 32.4円
■2022年3月期 売上高 4,319億円、営業利益 201億円、EPS 11.0円
■2023年3月期 売上高 4,118億円、営業利益 206億円、EPS 117.7円
■2024年3月期 売上高 4,230億円、営業利益 215億円、EPS 119.2円ce
□2023年6月1Q 売上高 1,004億円、営業利益 8.5億円、EPS▲16.7円(8/4)
□2023年9月2Q 売上高 2,080億円、営業利益 112億円、EPS 61.2円 四e
2023年3月期の売上高はYoY▲4.6%の4,118億円、営業利益はYoY+3.2%の206億円となり、中間の減額見通しをやや下回って着地しました。柱の国内教育は大学・社会人向けのUdemyが好調だった一方、学習意欲の低下がみられる進研ゼミは会員数の減少基調が継続し、減収となりました。また、幼児向けも上海のロックダウンで営業制限を受けたほか、期初より低稼働率だった介護事業は、光熱費原価の高騰で収益が圧迫されて減益となりました。なお、全社損益ではベルリッツ(赤字)の売却による損益浮上分が27億円含まれるため、形としては増益を確保しています。
進行期である2024年3月期の予算については、売上高はYoY+2.7%の4,230億円、営業利益はYoY+4.3%の215億円を予想しています。国内教育は、少子化傾向や経済理由により小・中・高の進研ゼミの会員数が4月時点でYoY▲11.5%(特にこどもが同▲19.0%)と大きく減少しており、特に紙媒体講座と若年層の減少が顕著な状況です。他方、大学・社会人向けのUdemyの拡大が継続するほか、保育・介護事業は稼働率の持ち直しで原価増をカバーし、大幅な増益を見込みます。なお、8月4日に開示済の1Qは1,004億円&営業益8.5億円と概ね計画線での推移が確認されます。
当社は2026年3月期を最終年度とする5年中計で、売上高5,000億円(CAGR3%)&営業利益400億円(営業利益率8%)を目指していたものの、本年5月に“変革事業計画”を公表して途中ローリングしており、事実上減額修正しています。洗替後の計数目標については、営業利益を400億円→320億円に減額する一方、新領域売上高を2023年3月期比で倍増させる計画としています。進研ゼミを中心に現状7割強を占める教育事業への依存度を減少させ、向こう6年間で教育・介護・新領域で概ね3等分の事業構成比へ再構築します。
柱の進研ゼミは、定型型試験でない年内入試割合増加だけでなく、新型肺炎禍の学習意欲低下と顧客経済事情の悪化、紙媒体離れといった構造的逆風下にあるため、会社側ではBYOD化によりテコ入れを図ります。他方、GIGAスクール構想の根幹をなすシェアNo.1の教育ソフトである“ミライシード”を軸に、学校校務のクラウド事業へ本格進出する方針としており、会社側は最終的にこれをBYODで接続して、課外となる進研ゼミへと送客する構想です。
中国のK&F事業については、情操教育カテゴリーのため“双減政策(中国版ゆとり政策)”の規制対象外で事業環境としては追い風となるほか、低稼働率で苦戦していた介護事業についても、高齢化による事業環境改善や新型肺炎禍の一巡による入居回復が見込まれます。
なお財務状況については、ベルリッツの借金棒引き後でも自己資本比率3割弱を維持しています。会社側では同30%水準まで内部留保を積み増す方針としながらも、配当性向35%を還元方針としており、進行期は年60円配当(配当性向50%)を予想しています。
*参考記事① 2023-02-09 1,947円 NT
【9783】ベネッセHD/年内入試浸透で進研ゼミの会員数減続く、全事業で手詰まり感が強め。
*参考記事② 2022-10-01 2,151円 NT
【9783】ベネッセHD/進研ゼミ会員数減少&介護施設は稼働率低位も、ベルリッツ売却で増配。
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