【7182】ゆうちょ銀行/第2次売り出しは郵政持分60%程度まで、年50円配維持とみられる。 | なちゅの市川綜合研究所

なちゅの市川綜合研究所

「別に勝たなくてもいいので、負けないこと」を志向しております。
本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報等に基づき、作成されています。
当ブログの情報に全面的に依拠することはお控えいただき、最終的なご判断はご自身でお願いいたします。

image

【7182】ゆうちょ銀行(東証プライム) NT

現在値 1,197円/100株  P/E 14.0  P/B 0.49  3月配当優待 9月配当


預貯金で国内最大。国際主体の運用を近年多様化。営業は郵便局に委託。
配当は3末の年1回・50円のため、配当利回りは約4.18%となります。

ゆうちょ銀行は株主優待制度を実施しており、3月末に5単元以上を保有する株主に対して、3,000円分のふるさと小包(カタログギフト)を進呈しておりますので、5単元保有時の配当優待利回りは約4.67%となります。

業績を確認していきます。

■2020年3月期 経常収益 17,995億円、最終利益 2,734億円 EPS 72.9円 

■2021年3月期 経常収益 19,467億円、最終利益 2,801億円 EPS 74.7円

■2022年3月期 経常収益 19,776億円、最終利益 3,550億円 EPS 94.7円

■2023年3月期 経常収益 (未定)億円、最終利益 3,200億円 EPS 85.3円 ce

□2022年9月2Q 経常収益 9,288億円、最終利益 1,586億円 EPS 42.3円

□2022年12月3Q 経常収益 15,507億円、最終利益 2,474億円 EPS 66.0円(2/14)

 

2022年9月中間期の経常収益はYoY▲19.5%の9,288億円、最終利益はYoY▲32.5%の1,586億円となり、大幅な減収減益となりました。資金利益は前年上期の外債価格上昇の反動減だけでなく、足許の金利上昇により外債投資信託の外貨調達コスト増や、収益認識不可の特別分配金割合増加により、大幅減益(▲2,350億円)となりました。他方、PE・不動産収益(+500億円)や、役務提供利益(+100億円)は堅調に推移しています。

 

2023年3月期の通期予想は期初予想を据え置いており、トップライン非開示ながら、最終利益はYoY▲9.8%の3,200億円を見込んでいます。資金利益はFEDの金利上昇を見込み、通期で外貨調達コスト増加(▲1,500億円)を織り込むものの、債券時価の低下影響を受けており、3Q時点の資金利ザヤは35bps.にまで低下しています。他方、PE・不動産収益の上積み(+1,100億円)と、ATMほか手数料改定が通期で寄与する役務提供利益は大幅増(+140億円)となる見込みであり、2月14日開示の3Q決算の全社純益進捗率は77%と概ね計画線で推移しています。

 

進行期は5年中計の中間年度であり、最終年度である2026年3月期を目途に最終利益を「2,801億円→3,500億円」まで引き上げるほか、ROEは「3.06%→3.6%以上」に、OHRを「72.3%→66%以下」に、自己資本比率10%の下限維持を目標とます。中計5年間で外債償還益・国債収益の減少(▲4,000億円)が見込まれることから、これをPE・不動産の収益拡大(+3,400億円)と外債投資信託(+800億円)の積み上げ、役務提供利益の収益改善と経費削減で+800億円の増益を見込み、全社では税引後ネット+700億円の収益改善を見込みます。

 

中核の資金利益分野で国際分散投資を進める方針であり、リスク性資産を91.1兆円→110兆円に拡大し、特にPE・不動産等オルタナ系戦略投資域を4.2兆円→10兆円まで拡大させます。足許の戦略投資域の残高は期末から3.2兆円増の9.6兆円まで伸びているほか、“Jカーブ”効果の戻りによるヴィンテージ収益拡大局面に入っており、利益顕在化分を控除した後の含み益も1.1兆円水準(IRR15%目標)を維持しています。なお、従来型運用の有価証券が主体となる全社含み益は期末1.2兆円から、足許の円債含み損拡大もあり、3Q時点では一気に含み損(▲0.4兆円)圏に転じています。

 

役務提供利益の拡大については、リテールのデジタル戦略(通帳アプリ等)による経費削減だけでなく、資産運用領域の拡大を志向しており、大和証券との提携による“ゆうちょファンドラップ”の取扱いを開始し、ストック収入の増加を目論みます。また、ATMや各種サービス手数料を順次増額改定するほか、日本郵便への委託手数料減額等による収益改善を図ります。

 

当社の主な投資論点である株主還元については、今次中計期間の配当性向方針(50%~60%)に従い、年50円の据置(配当性向58.5%)を予想しています。他方、2月27日に当社株式の89%を保有する日本郵政が1兆円規模の株式を売り出し、保有割合を60%程にすることを公表しています。これを受けて当社は、700億円(発行済株式数の1.6%)の自社株買いを実施して“受け皿”としていますが、これは年50円配当維持のために逆算された規模とみられます。

 

*参考記事① 2022-08-12  1,024円 NT

【7182】ゆうちょ銀行/金利上昇で外債含み損突入も、PE収益が急拡大・年50円配を維持か。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

にほんブログ村 株ブログ 株主優待へ にほんブログ村 株ブログ IPO・新規公開株へ にほんブログ村 株ブログ サラリーマン投資家へ