【7182】ゆうちょ銀行(東証プライム) NT
現在値 1,024円/100株 P/E 12.0 P/B 0.37 3月配当優待 9月配当
預貯金で国内最大。国際主体の運用を近年多様化。営業は郵便局に委託。
配当は3末の年1回・50円のため、配当利回りは約4.88%となります。
ゆうちょ銀行は株主優待制度を実施しており、3月末に5単元以上を保有する株主に対して、3,000円分のふるさと小包(カタログギフト)を進呈しておりますので、5単元保有時の配当優待利回りは約5.46%となります。
業績を確認していきます。
■2020年3月期 売上高 17,995億円、最終利益 2,734億円 EPS 72.9円
■2021年3月期 売上高 19,467億円、最終利益 2,801億円 EPS 74.7円
■2022年3月期 売上高 19,776億円、最終利益 3,550億円 EPS 94.7円
■2023年3月期 売上高 (未定)億円、最終利益 3,200億円 EPS 85.3円 ce
□2022年6月1Q 売上高 4,488億円、最終利益 888億円 EPS 23.6円(8/10)
□2022年9月2Q 売上高 11,800億円、最終利益 2,3700億円 EPS 63.2円 四e
2022年3月期の売上高はYoY+1.5%の1兆9776億円、最終利益はYoY+26.7%の3,550億円となり、中間時の増額見通しをやや上回って着地しました。資金利益は外債償還益の剥落(▲2,400億円)を、同投資信託の収益改善(+2,000億円)、PE・不動産収益(+1,300億円で打ち返し、全社収益を大きく牽引しました。なお役務提供利益は投信手数料が全般的に減少基調にあるものの、ATM手数料等の料金改定寄与により横ばい圏を確保しました。
進行期である2023年3月期の予想については、売上高非開示ながら、最終利益はYoY▲9.8%の3,200億円を見込んでいます。資金利益は米国の利上げを起因とした調達コスト増加(▲1,500億円)を織り込む一方、PE・不動産収益の更なる上積み(+1,100億円)でカバーし、ネット▲900億円程を見込みます。他方、役務提供利益はATMほか手数料改定効果の通期寄与で+140億円と大幅増の想定です。
進行期は5年中計の中間年度となっており、最終年度である2026年3月期を目途に最終利益を2,801億円→3,500億円に引き上げるほか、ROE3.06%→3.6%以上に、OHRを72.3%→66%以下に、自己資本比率10%の最低維持することを数値目標に掲げています。中計期間では外債償還益・国債収益の減少(▲4,000億円)が見込まれることから、これをPE・不動産の収益拡大(+3,400億円)と外債投資信託(+800億円)で埋め、更に役務提供利益の収益改善と経費削減で+800億円をねん出する組立となっています。
中核の資金利益分野については、国際分散投資を進める計画であり、リスク性資産を91.1兆円→110兆円に引き上げ、特にPE・不動産等オルタナ系戦略投資域を4.2兆円→10兆円まで拡大させます。足許ベースの戦略投資域の残高は直近期末時点から2.6兆円増加し、9兆円まで伸びているほか、“Jカーブ”効果の戻りによるヴィンテージ収益拡大局面に入り、含み益は1.2兆円水準に拡大しています。他方、従来型運用の有価証券の含み益は期末の1.2兆円から、足許の外債利回り急上昇や、米国株急落等を受けて既に含み損状態に陥っており、急拡大中の平均IRR15%を掲げ急拡大するPE投資頼りの構図が鮮明となっています。
役務提供利益の拡大については、リテールのデジタル戦略(通帳アプリ等)による経費削減だけでなく、資産運用領域の拡大を志向しており、大和証券との提携による“ゆうちょファンドラップ”の取扱いを開始し、ストック収入の増加を目論みます。また、ATMや各種サービス手数料を順次増額改定するほか、日本郵便への委託手数料減額等による収益改善を図ります。
当社の主な投資論点である株主還元については、今次中計期間の配当性向方針(50%~60%)に従い、年50円の据置(配当性向58.5%)を予想しています。“累進配当”を明記していないものの、会社側は減配を考えていないものの、近い将来の日本郵政による当社株売り出しに備えた自社株買い(数千億円の想定)に備える必要もあることから、当面は年50円配当を維持するものとみられます。
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。