【9513】電源開発/豪州石炭事業と米ジャクソン火力が牽引、予想配当性向13%で再増配の公算。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9513】電源開発 (東証プライム) OP

 

現在値 2,144円/100株  P/E 3.41  P/B 0.35  3月配当 9月配当

 

04年に政府が民営化で株放出。電力卸が主。電源は石炭火力と水力中心。

 

配当は3月末・9月末合計年80円予想のため、配当利回りは約3.73%となります。

電源開発は株主優待制度を導入しておりません。

 

業績を確認していきます。

■2020年3月期 売上高 9,137億円、経常利益 780億円、EPS 231円

■2021年3月期 売上高 9,091億円、経常利益 609億円、EPS 121円 

■2022年3月期 売上高 10,846億円、経常利益 728億円、EPS 380円 

■2023年3月期 売上高 18,690億円、経常利益 1,640億円、EPS 628円ce修正(1/31)

□2022年9月2Q 売上高 8,397億円、経常利益 861億円、EPS 319円

□2022年12月3Q 売上高 14,015億円、経常利益 1,582億円、EPS 607円(1/31)

 

2022年9月期の売上高はYoY+94.5%の8,397億円、経常利益はYoY*3.2倍の861億円となり、予算比は無いものの大幅な増収増益で進捗しました。火力発電は稼働率が上昇した一方、水力発電は出水率が低下したほか、JPEXからの調達量も減少したため、国内電気事業全体の販売量はYoY▲4.8%の335億kHhとなりました。他方で、資源価格上昇に伴う単価効果がシャープに発現したほか、豪州炭鉱会社の取込利益増加や米ジャクソン火力の稼働開始も寄与し、利益は一段増となりました。

 

なお2023年3月期通期の見通しは3Q時点で再度増額しており、売上高がYoY+72.3%の18,690億円(期予:14,310億円)、経常利益がYoY*2.25倍の1,640億円(期予:1,000億円)に修正しています。電気事業全体の販売量前提については、火力発電の稼働率が想定超のため695億kHh(期予:659億kHh)に引き上げるほか、卸売単価の高止まりや、持分法の豪州産石炭スポット価格の高騰、スパークスプレッドが膨らむ米ジャクソン火力の上振れを取り込みます。

 

進行期は3年中計の中間年度となっており、翌2024年3月期までに経常利益を609億円→900億円、に引き上げる計画ですが、1年前倒しで大幅超過達成となる公算です。また、この中計とは別に、カーボンニュートラルを志向した「BLUE MISSION2050」という超長計を公表しています。骨子は、①再生可能エネルギーや原子力によるCo2フリー電源の拡大、②Co2フリー水素の製造と発電等による排出ゼロ化、③電力ネットワークの安定化と増強の3点を掲げています。

 

当社は石炭火力(約10GW)への依存度が高く、非効率石炭火力割合も多いため(約3.5GW/高砂1・2号機0.5GW、竹原3号機0.7GW、松浦1号機と松島1・2号機2.0GW他)、2030年までに廃止若しくは建替を計画しており、中国電力との合弁で「大崎クールジェンプロジェクト」という超高効率の次世代石炭火力発電に取り組んでいます。なお、Co2フリーの中核となるはずだった大間原発には既に巨額の設備投資をしているものの、安全強化対策工事の長期化と周辺自治体との調整難航で、稼働開始は早くても2030年頃となる見通しです。

 

その他カーボンニュートラルの取組としては、豊田通商系のユーラスエナジーに次いで国内2位の風力発電事業を伸長させる計画であり、現行出力714MWにくわえ、予定を含めた建設中の拠点が270MW、事前調査中の拠点が710MWあるため、現行の倍水準のパイプラインを有しています。海外については、昨年稼働を開始した英国のトライトン・ノール洋上風力(214MW)にくわえ、139MW分が開発中となっています。

 

財務状況については、足許の急激な利益の積み上がりで自己資本比率は32.1%まで改善しており、今次中計目標の30%水準を超過しました。株主還元については「配当性向30%、かつ安定的・継続的」な配当ポリシーを掲げており、一過性要素を排除して決定されることから、現状では年80円が予想されています。ただこの場合の配当性向は僅か13%に留まることとなるため、年90円~100円程度までは増配される公算が高いとみています。

 

*参考記事① 2022-09-17 2,097円 NT

【9513】電源開発/石炭急騰で豪州での取込利益が増加。中計前倒し達成濃厚で、悲願の増配予想。

 

*参考記事② 2022-01-29 1,495円 NT

【9513】電源開発/トラブルによる非計画修繕や、豪石炭価格高騰が利益を圧迫。

 

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