【2932】STIフードホールディングス/売上成長の可視性は高いが、原価増は想定超とみられる。 | なちゅの市川綜合研究所

なちゅの市川綜合研究所

「別に勝たなくてもいいので、負けないこと」を志向しております。
本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報等に基づき、作成されています。
当ブログの情報に全面的に依拠することはお控えいただき、最終的なご判断はご自身でお願いいたします。

image

【2932】STIフードホールディングス(東証プライム)  OP

現在値 2,738円/100株 P/E 16.5  P/B 2.80  12月配当・株主優待 6月優待

水産食品やおにぎり具材の製造。セブン向け8割強。国内一貫生産による品質に強み。
配当は12末一括の年55円配当のため、配当利回りは約2.01%となります。

STIフードホールディングスは株主優待制度を導入しており、6月末・12月末に単元株を保有する株主に対して、3,000円分の自社製品(缶詰)を進呈しておりますので、配当優待利回りは約3.10%となります。

業績を確認していきます。

■2018年12月期 売上高 178億円、経常利益 7.1億円、EPS 101.4円 

■2019年12月期 売上高 206億円、経常利益 5.9億円、EPS 91.2円  

■2020年12月期 売上高 230億円、経常利益 12.7億円、EPS 162.7円   

■2021年12月期 売上高 262億円、経常利益 17.4億円、EPS 200.0円  

■2022年12月期 売上高 280億円、経常利益 15.0億円、EPS 165.1円ce新収益   

□2022年6月2Q 売上高 128億円、経常利益 7.0億円、EPS 81.5円  

□2022年9月3Q 売上高 199億円、経常利益 11.1億円、EPS 125.0円(11/9)     

2022年6月中間期の売上高はYoY+3.7%の128億円、経常利益はYoY▲27.2%の7.0億円で進捗し、計画比は無いものの増収減益となりました。売上高については、新型肺炎禍の一巡により中食・内食需要が後退したものの、サバの塩焼きといった定番商品の値上げによる単価効果により増収を確保しました。利益面については、原材料高と値上げのタイムラグ影響で減益となっていますが、1月に発生した白岡工場の火災影響(売上▲3億円、経常利益▲1.3億円)が一部影響しています。


2022年12月期の通期見通しは据え置いており、売上高がYoY+6.6%の280億円、経常利益はYoY▲14.0%の15.0億円を見込んでいます。セブン向けの焼魚の値上げ巡行化のほか、3Qよりデイリー・冷食の新商材(計10品目)の投入を予定しており、例年通り下期偏重型での巻き返しが見込まれます。利益面については、魚介類の原材料費の高騰が続くほか、円安による不利影響を受けるものの、値上げ効果によるトップライン増で採算改善を見込みます。

 

当社は中計を特に公表していないものの、生産能力を2021年12月期の620千食から、3年後の2024年12月期に約1.8倍の1,085千食に引き上げる方針です(操業率では1.5倍程)。これまで当社はワタミから9.4億円で譲受した白岡工場のように、他社の居抜き工場の取得によりタイムリーな生産能力拡充を図ってきましたが、さば味噌の排水処理に多くの別途費用を要していたことから、本年5月に滋賀に5千㎡の土地を取得し、翌2023年12月期に近畿圏用の新工場を稼働させる計画としています(予定していた首都圏新工場は2024年12月期にスライド)。

 

基本方針として、①セブン・イレブンの取引拡大、②新規チャネル開拓、③新製品開発の3軸が挙げています。①は海外セブン向けの開拓を進める計画であり、北米では居抜工場の取得検討を進めているほか、台湾店舗では既に6千店舗において日本の倍の売価となる単価600円程でサーモン、サバ等の商品展開を開始しています。②はセブン以外の有力相手先であるカルディのような品質重視の小売パートナーの開拓を図ります。③は大手料理学校である辻調グループとの提携により、高付加価値商品作りを目指す方針です。

 

そのため、生産数量&販路拡大、単価増でトップライン成長の可視性は高いものの、ネックは魚介類の仕入原価上昇と円安影響と考えられます。世界的な魚介消化の増加や、当社としてはロシア産原料の使用はないものの、リプレイス需要による魚価高騰で二次的に原価上昇の影響を受ける公算が高く、既に仕入済の冷凍保管分の在庫が切れた段階でコスト増が想定されます。また、工場電気代も想定超で高騰しているため、利益圧迫要素が少なくない状況です。

 

財務状況については、自己資本比率46%と一定水準を維持しており、工場の新設・ライン増設やMAといった資金需要は想定されるものの、当面のエクイティ・ファイナンスは無いものと考えています。株主還元については、配当性向30%基準により、横ばいの年55円配当が予想されています。

 

*参考記事① 2022-05-16 2,032円 OP

【2932】STIフードHD/わらべや日洋の成長再現が期待されるが、ネックは魚価高騰。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

にほんブログ村 株ブログ 株主優待へ にほんブログ村 株ブログ IPO・新規公開株へ にほんブログ村 株ブログ サラリーマン投資家へ