【7513】コジマ(東証1部) OP
現在値 525円/100株 P/E 12.6 P/B 0.69 8月配当 株主優待あり
郊外型の家電量販店中堅。12年ビックカメラ傘下入り、商品構成や売り場を改革。
配当は8月末の年1回10円配のため、配当利回りは1.90%となります。
コジマは株主優待を実施しており、8月末に100株以上を保有する株主に対し、年1,000円分の優待券を進呈しておりますので、配当優待利回りは約3.80%となります。なお1年以上の長期保有で+1,000円、2年以上の長期保有で+2,000円が追加されるため、配当優待利回りは最大で約7.60%まで上昇します。
業績を確認していきます。 2022年8月期より新収益基準に移行します。
■2018年8月期 売上高 2,463億円、営業利益 42.4億円、EPS 43.9円
■2019年8月期 売上高 2,681億円、営業利益 64.2億円、EPS 84.8円
■2020年8月期 売上高 2,882億円、営業利益 72.2億円、EPS 78.0円
■2021年8月期 売上高 2,975億円、営業利益 88.6億円、EPS 81.4円
■2022年8月期 売上高 2,714億円、営業利益 50.0億円、EPS 41.5円 ce新収益
□2022年2月中 売上高 1,314億円、営業利益 17.0億円、EPS 14.2円 ce
2021年8月期の売上高は、前期比3.2%増の2,975億円、営業利益は同22.7%増の88.6億円となり、ほぼ期初予算ピンポイント着地となり、2桁幅の増益を確保しました。郊外中心の当社店舗は、緊急事態宣言の再発出等による“巣ごもり需要”の追い風効果を受ける形でSSSは同101.5%となりました。商品別ではTVが同104.4%と大きく伸長したほか、携帯電話や洗濯機等も底堅く推移した一方、テレワーク需要が一巡したPCは93.3%と反落しました。出退店は、イオンモール新利府をはじめ3店を出店した一方、与野店ほか6店を閉店し、期末店舗数は140店となりました。
進行期である2022年8月期の見通しについては、売上高が8.8%減の2,714億円、営業利益は43.6%減の50億円と反落見込であり、新収益基準移行に伴う減収分120億円(推計値)を加味しても、トップラインから反落する見込みです。当社単体店舗は親会社店舗とは逆の動きで、都市部の人流回復による郊外化一服により、“巣ごもり特需”の剥落が想定されます。出退店については、出店6・退店2~3の純増3程度を見込んでおり、ニトリ宮原・イーアス春日井・フルルガーデン八千代が出店名有りとなっています。やや保守的な見立てにも見られますが、既開示の1Q月次SSSは93.3%と低空飛行しており、概ねインラインとみられます。
当社は親会社のビックカメラ・ソフマップを含めたグループ3社で2017年に物流拠点を統合したほか、2018年に提携先である楽天(4755)と合弁の“楽天ビック”を設立し、3社合算でEC売上高2,000億円を目指しており、およそ2年先での達成が視野に入ります。他方、当社はビックカメラ主体で行われるこうした物流・システム投資や、各種ノウハウ、CM等の広告費用、ブランド使用料について、“役務提供等に係る費用負担(みかじめ料)”を強いられており、終わった2021年8月期で20億円、減益予想となっている進行期で8億円を拠出する予定です。
上述のように親会社のビックカメラがグループ全体の成長戦略を策定するため、当社は基本的に追従するだけとなりますが、好採算の白物家電への注力や、NB商品が手薄な商品の隙間を狙う形で値頃感のあるPB商品の展開を図ります。また、郊外で売場面積を広く取れることを活かし、おもちゃや自転車、酒類等の非家電製品の取扱い拡充を進めるほか、一部店舗では「コジマの朝市」と称する生鮮品販売を開始するなど、多少独自性のある動きをしています。
なお、財務状況については自己資本比率52.4%と盤石な状況ですが、配当については4円減配の年10円を予想しています(配当性向は24.1%)。当社の投資論点は専ら親会社TOBによる完全子会社化であり、同根でキャッシュリッチの日本BS放送も同じ話ですが、ビックカメラとしてはこれら子会社のキャッシュを極力外部に流出させたくない意向があるとみられます。他方、先々を見据えて変なアクティビストに纏まった玉を握られるのもまた本意でないとみられ、減配予想の一方で、(TOBとなった場合も物言わぬ)個人株主層を厚くしておくべく優待拡充するなど、資本政策については非常に独特の動きを採っています。
*参考記事① 2015-12-14 283円 OP
業績悪化で前期は無配転落・今期も配当未定、コジマ(7513)。
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。