【3167】TOKAIホールディングス/5期振り増配で年30円をフロア明示、MAより還元重視へ。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3167】TOKAIホールディングス(東証1部) NT


現在値 940円/100株  P/E 13.9  P/B 1.66 3月配当優待 9月配当優待

東海地盤。LPガスのザ・トーカイとCATV等のビック東海が統合。
配当は3月末・9月末の合計30円配のため、配当利回りは3.19%となります。

TOKAIホールディングスは株主優待制度を導入しており、3月末・9月末の年2回、単元株を保有する株主に対して、500円分のQUOカードや"水セット"など選べる優待を進呈しております。なお、クオカードを選択した場合における配当優待利回りをは約4.25%となります。

業績を確認をしていきます。

■2018年3月期 売上高 1,860億円、営業利益 109億円 EPS 51.1円   

■2019年3月期 売上高 1,916億円、営業利益 130億円 EPS 59.3円

■2020年3月期 売上高 1,959億円、営業利益 142億円 EPS 62.9円 

■2021年3月期 売上高 1,967億円、営業利益 152億円 EPS 67.3円   

■2022年3月期 売上高 2,070億円、営業利益 153億円 EPS 67.2円 ce   
□2021年6月1Q 売上高 483億円、営業利益 32.2億円 EPS 14.2円(7/29)

□2021年9月2Q 売上高 950億円、営業利益 58.0億円 EPS 31.3円 四e

 

2021年3月期期の売上高については、前期比0.4%増の1,967億円、営業利益は同7.0%増の152億円となり利益は予算過達となったものの、トップラインは未達となりました。主力のLPガス事業は顧客純増数が+29千件と拡大したほか、CATV事業も+44千件と大幅増となりました。主に商圏買収効果と新型肺炎禍における非対面新規開拓が想定超だったことに由りますが、目標としていた全社の継続契約顧客数は3,105千名には若干届かずの3,099千名となりました。また、油価値下がりによるLPガスの売値/原価の減少(利益影響なし)、ISPの解約増加、その他建設事業や婚礼事業で新型肺炎の影響を受けたこともあり、アクアの課金開始の増加等があったものの、対予算では減収増益となりました。


進行期である2022年3月の売上高は5.2%増の2,070億円、営業利益は同微増の152億円を予想しており、前提となる継続契約顧客数は期初の3,099千件から101千件純増の3,200千件まで積み上げる計画です。主力のLPガス事業について、引き続き積極的な販促費を投じて顧客数拡大を図るほか、気温が平年並み前提も燃調費要因による押し下げ要素もあり、セグメント減益を予想しています。また、CATV事業については会員の漸増が見込まれる一方、会員数の減少傾向の続く情報通信事業については、繋ぎ止めのための値下げ(セットプラン)により採算性の悪化が想定されます。なお、7月末開示済の1Qによれば、売上高483億円&営業利益32.2億円で進捗しており、計画比ビハインドとみられます。


終わった2021年3月期は4年中計の最終年度であり、当初は売上高3,339億円(その後2,743→2,053億円に減額)、営業利益225億円(その後185→150億円に減額)を目標としていましたが、新型肺炎影響もあり大幅未達で終わっております。計画当初はMAやアライアンスに1,000億円を投じ、MA等による商圏拡大と、CATV・ガス石油・情報通信等の既存会員に他商品も売るクロスセル比率引き上げ(7%→20%)により計画達成を目指していましたが、途中でMAを厳選し始めたので、実行件数が伸び悩んだものとみられます。

 

今般策定した2025年3月期を最終年度とする新中計では、売上高を1,967→2,450億円に、営業利益を152→186億円にそれぞれ伸長される計画となっています。直前中計の大幅未達を踏まえやや現実的な数字感となっており、基本方針としては①LNG戦略、②TLC深耕、③DX戦略を掲げています。①は汎地域・汎地球戦略であり、既存エリアでのシェア拡大と周辺エリアへの拡大とベトナム・中国・インドネシアといった海外進出を進めるほか、②は既存顧客のデータベースマーケティング、③は前出の②をDX化するほかCVCの活用による外部協業により業容を複層化する、といった内容です。これまでのMAを中心とした外部成長策からは一変して、オーガニックな底上げを図るような内容となっており、相次ぐMAで生じた歪の解消とシナジー創出を図ることを主目的とした位置づけの4年間と解されます。

 

財務面については、2015年に100億円規模のMSCBを発行したほか、その後の順調な業績により自己資本の積上げが進んでいるため、自己資本比率は4割を超える水準に回復しています。従来まではMA原資の確保のため株主還元を絞ってきたように見受けられましたが、今次中計における資本政策では配当性向40~50%を定めたほか、配当金フロアとして年30円を明示したため、当面はMAよりも株主還元を重視していく方針と判断できそうです。

 

*参考記事① 2020-08-16 1,010円 NT

【3167】TOKAIホールディングス/見えがかりは堅調だが、営業費の未消化寄与が大きい。