【9324】安田倉庫/海岸本社移転で再開発期待、カタリスト不足も実質PBRは0.3倍前半。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9324】安田倉庫 (東証1部)  OP


現在値 952円/100株 P/E 10.6  P/B 0.36 3月配当優待 9月配当

旧財閥系の倉庫準大手。外資系の取扱多い。関西の中央倉庫と提携。
配当は3月末・9月末の年間24円配で、配当利回りは2.52%となります。

安田倉庫は株主優待を導入しており、3月末の単元以上株主に対して、お米券を2枚進呈しておりますので、配当優待利回りは約3.44%となります。

業績を確認していきます。

■2018年3月期 売上高 429億円、営業利益 22.9億円 EPS 65.7円 

■2019年3月期 売上高 461億円、営業利益 35.5億円 EPS 95.2円 

■2020年3月期 売上高 466億円、営業利益 34.7億円 EPS 101.4円 

■2021年3月期 売上高 477億円、営業利益 32.8億円 EPS 96.4円 
■2022年3月期 売上高 515億円、営業利益 29.0億円 EPS 89.7円 ce  

□2021年9月中 売上高 251億円、営業利益 13.0億円 EPS 41.4円 ce 

2021年3月期の売上高は前期比2.3%増の477億円、営業利益は同5.2%減の32.8億円と増収減益となった一方、期初予算比では減収増益となりました。主力の物流事業に関しては、新型肺炎禍により国内貨物・輸入貨物ともに荷動きが鈍化し、連れて倉庫作業が減少したものの、2019年10月に買収した2社(※後述)による上乗せもあり増収を確保しました。不動産事業については、稼働率自体は概ね横ばいで推移したものの、テナントの入居工事の減少により減収となりました。全社利益については、物流事業における辰巳倉庫の新設や設備投資増加による減価償却費増加(▲3.5億円)によるマイナス寄与が多く、減益となりました。

 

進行期である2022年3月期の予算については、売上高は7.9%増の515億円、営業利益は11.8%減の29.0億円と増収減益を予想しています。主力の物流事業については、年初から荷動きが回復してきたためその基調が通年で継続するものと目されるほか、実績期に新設した東雲営業所、辰巳倉庫のほか、増床した大黒流通センターの通期寄与や、GLPから一部を賃借して営業を開始した南港倉庫(GLP大阪内)の上乗せがあります。不動産事業はあまりトピックがないものの、東京地区のオフィスの稼働率が低下基調にあることから、軟調推移が予想されます。利益については2桁減予想になっていますが、これは新設拠点の減価償却費増と保守的な予算組みによるもとみられます。

 

進行期は中計の最終年度となっており、当初はこの3年で売上高461億円→550億円、営業利益35.5億円→40.0億円を目指していましたが、開示された着地見通しに照らせば、(仮に保守的な予算組みから相当程度上振れ着地するものと仮定しても)大幅な未達となる公算です。新型肺炎禍の影響はあったものの、2020年に金沢の大西運輸(年商37億円/営業利益1.5億円)とオオニシ機工(年商6億円/営業利益僅少)の買収による外部成長である程度相殺出来ていることから、オーガニック部分での成長不足が目立つ格好となっています。

 

そのため興味の中心は早くも次期中計となりますが、主力の物流事業で引き合いの強い医療物流やITキッティングサービスの受託といった高付加価値業務への注力や、対応拠点拡大で受注高拡大を狙うとみられます。また収益貢献タイミングは次期中計の更に先の中計期間になるものの、昨年に海岸通りの本社を引き払って田町駅前のステーションタワーN棟に移転していることから、この海岸三丁目の本社屋の再開発が具体化が示されるものとみています。

他方、業績面で見どころの少ない当社の主な投資論点はあくまで含み資産等にあるものと考えており、賃貸用不動産だけで260億円の含み益を保有しています約3,000万株弱を保有するヒューリック株(時価は370億円)を含めた保有有価証券は500億円にのぼります。有利子負債が400億円ありますが、ヒューリック株だけでほぼネットしているような状況ですので、不動産の含み益を顕在化させた場合の実効税率を3割と仮定して試算した実質PBR(P/NAV)は0.3倍前半と試算されます。

 

*参考記事① 2018-09-04 923円 OP

超割安圏だが、帝国繊維に動きなくカタリスト乏しい・安田倉庫(9324)。


*参考記事② 2014-12-15 1,036円 OP
ベイエリア不動産と有価証券に含み益、安田倉庫(9324)のレビュー。

 

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