【2730】エディオン/ 巣ごもり需要一巡も、大規模自社株買いで総還元性向は約7割。 | なちゅの市川綜合研究所

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【2730】エディオン(東証1部)  OP

 

現在値 1,115円/100株  P/E 8.41  P/B 0.62 3月配当優待 9月配当

 

家電量販上位。中部、西日本が地盤。12店に店舗名を「エディオン」に統一。

配当金(実績)は2月末・8月末の年2回計44円で、配当利回りは約3.95%となります。

 

エディオンは株主優待を実施しており、3月末に単元株を保有する株主に対して3,000円相当の自社ギフトカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約6.63%となります。なお、1年以上保有の場合の配当優待利回りは約7.53%となります。

 

業績を確認します。企業会計基準第29号(新収益)の適用があります。

■2018年3月期 売上高 6,862億円、経常利益 161億円 EPS 90.8円

■2019年3月期 売上高 7,186億円、経常利益 188億円 EPS 105円 

■2020年3月期 売上高 7,335億円、経常利益 133億円 EPS 101円  

■2021年3月期 売上高 7,681億円、経常利益 278億円 EPS 155円

■2022年3月期 売上高 7,550億円、経常利益 240億円 EPS 132円 ce新収益

□2021年9月中 売上高 3,750億円、経常利益 137億円 EPS 85.9円 ce

 

2021年3月期の売上高は前期比4.7%増の7,681億円、経常利益は同108.1%増の278億円となり、期初予想を上回って大幅な増収増益となりました。新型肺炎禍の“巣ごもり”需要でTVやゲーム・玩具、PC周辺製品の売上が好伸したほか、エアコン等の空調機器や洗濯機といった白物家電も堅調に推移しました。一方、Windows10の買い替え需要が一巡したPCや、買い替えサイクルの端境期となった冷蔵庫が反落したものの、好調品目の方が圧倒的に多く、既存店売上高(SSS)は104.7%と高水準となりました。なお出退店は出店8・移転/建替1・閉店4となり、期末直営店舗数は純増3店の437店(FC込1,187店、非家電店込)となりました。

 

進行期である2022年2月期の予算については売上高が1.7%減の7,550億円、経常利益は13.7%増の240億円を予想していますが、新収益基準移行による影響(売上高▲226億円)を鑑みると実質的には増収・増益予算となります。予算前提SSSは97.5%となっているものの、開示済の4‐6月の月次売上は累計92.9%で仕上がっており、この1Qは特別給付金特需剥落の影響が特に出やすい特殊要因があるほか、一部店舗で自主休業したこともあり、実勢ベースではややビハインドとみられます。出退店計画については、出店12・移転/建替2・閉店なしを計画しており、期末直営店舗数は純増12店の449店(FC込1,199店)まで積み上がる見通しです。

 

当社は中期経営計画等を公表していないものの、中長期的な重点取組事項として、①5G/IoT対応、②ドミナントと都市型旗艦店出店、③EC及び法人営業、④リフォーム、⑤物流・サービス、⑥教育分野深耕、が挙げられています。基本的な考え方としては、③の強化により好採算の空調機器で稼ぐとともに、TV等映像家電の刈り込みにより顧客を囲い込み、中長期的に5G/IoT対応の高付加価値商品の拡販に繋げていく方針です。また②については本年6月に京都マルイ跡地である「京都河原町ガーデン(京都住友ビル)」に都市型旗艦店を出店しています。

 

当社は旧デオデオが地盤としていた中国地方や、旧エイデンが地盤としていた中部地方では密なドミナント出店方式で圧倒的な強さを保持してきた一方、人口減少エリアが多く先細りになりやすい構造になっています。また同様の論点で中高年層顧客層が多く、同業他社に比べてEC育成が遅れていたことがネックとなっています。そのため、今後は物流僻地でも他社品共同配送による高効率化等により物流を強化するほか、対面型の従来式販売による顧客エンゲージメントの強さを逆に生かし、客単価500万円級の総合提案型のリフォームの強化を狙っていく方針です。

 

他方、株主還元に関しては記念配当の5円分を剥落させて、2円減配となる年44円配(配当性向33%)を予想しています。当社は通常配当性向30%を目処に配当しているほか、この6月には60億円(4.6%)を上限とする大規模な自社株買いを公表しており、総還元性向は7割程と試算されるため、現状50%を超える程度の自己資本比率を鑑みれば十分な還元水準と考えています。

 

*参考記事① 2020-07-17  1,065円 OP

【2730】エディオン/微増益の会社予想は楽観的だが、配当は6円減額(年28円)へ。

 

*参考記事① 2014-09-02 650円 OP

エディオン(2730)の優待で、ネット通信環境が復活しました!

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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