超割安圏だが、帝国繊維に動きなくカタリスト乏しい・安田倉庫(9324)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9324】安田倉庫 (東証1部) ---


現在値 923円/100株 PER13.5 PBR0.40 3月配当優待 9月配当

旧財閥系の倉庫準大手。外資系の取扱多い。関西の中央倉庫と提携。
配当は3月末・9月末の年間14円配で、配当利回りは1.52%となります。

安田倉庫は株主優待を導入しており、3月末の単元以上株主に対して、お米券を2枚進呈

しておりますので、配当優待利回りは約2.47%となります。

業績を確認していきます。
■2015年3月期 売上高 384億円、経常利益 25.6億円 EPS 53.9円 

■2016年3月期 売上高 387億円、経常利益 24.4億円 EPS 46.0円 
■2017年3月期 売上高 406億円、経常利益 30.9億円 EPS 68.8円 

■2018年3月期 売上高 429億円、経常利益 29.5億円 EPS 65.7円 

■2019年3月期 売上高 452億円、経常利益 31.0億円 EPS 68.0円 ce
□2018年6月1Q 売上高 114億円、経常利益 8.4億円 EPS 19.2円(8/8) 

□2018年9月中 売上高 223億円、経常利益 14.5億円 EPS 31.6円 ce 

2018年3月期の売上高は前期比5.6%増の429億円、経常利益は同4.8%減の29.5億円となり、

減益になったものの、期初予算水準を確保して着地しました。主力の物流事業に関しては、

既存顧客の取扱拡大にくわえ、PCキッティングといった倉庫作業料が増加したほか、九州

営業所と上海青浦1号倉庫、平和島第2倉庫の新規稼働効果が寄与しました。また不動産

事業については、横浜西口鶴屋町の再開発施設(ホテル・商業)が昨年末に開業し、新規

稼働したほか、貸出賃料も堅調に推移しました。しかしながら全社的に修繕費が増加した

ほか、当社が借主となる“借庫料”の増加で採算性が悪化し、利益は減益となりました。

 

進行期である2019年3月期の予算については、売上高は5.2%増の452億円、経常利益は

5.1%増の31.0億円と増収増益を予想しています。主力の物流事業については、高単価の

メディカル物流を、柏倉庫だけでなく九州営業所でも拡大していく計画です。また、期中で

上海青浦の2号倉庫が竣工予定であるほか、一昨年に合弁開設したインドネシア営業所

の営業深耕を図ります。不動産事業はあまりトピックがないものの、昨年末竣工の鶴屋町

が通期で寄与する予定となっております。

 

今期は3年中計の最終年度となっており、当初は売上高480億円(CAGR7.5%)、経常利益

32億円(CAGR9.5%)を目指しておりますので、直近で開示された今期の予算に照らせば

若干の未達見通しということになります。ただ当社は期初予算の立て方保守的な傾向が

あり、経常利益は1億円の上ブレで達成可能なため、依然射程圏にあると言えそうです。

一方、トップラインに関しては未達確実の公算であり、MAなどの“飛び道具系”の案件が

ない限り、営業努力でどうにかなる水準ではなく、達成は難しいものと思われます。


業績面に関してはそういった感じで、実際のところあまり見所はありませんが、資産状況
に関しては相変わらずの「含み」を抱えており、賃貸用不動産だけで180億円の含み益を

有しているほか、約3,000万株弱を保有するヒューリック株(時価は290億円)を含めた保

有有価証券は450億円にのぼります。有利子負債が280億円ありますが、ヒューリック株

だけでほぼネットしているような状況ですので、不動産の含み益を顕在化させた場合の

実効税率を3割と仮定して試算した実質PBR(P/NAV)は0.3倍台前半と考えられます。

 

なお、当社同様に大量のヒューリック株を保有する芙蓉系の帝国繊維は、大株主(6%強)

のスパークスAMから同社株売却とそれにともなう株主還元強化のプレッシャーをかけら

れていましたが、スパークス側の株主提案は否決され、小康状態となってしまいました。

そのため、当社株もまた暫くはカタリストを欠いた状況となっており、不動産の含み資産

の拡大についても、物流系施設のcapレート低下も底を売ってしまったので、これ以上

は望みずらく、超割安ながら手がけずずらい状況になったとも言えそうです。

*参考記事① 2014-12-15 1,036円 ---
ベイエリア不動産と有価証券に含み益、安田倉庫(9324)のレビュー。

*参考記事② 2014-07-09 1,059円 ---

実はヒューリックの大株主、安田倉庫(9324)の投資判断。

 

 

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