【3921】ネオジャパン/向こう3年は2桁成長が期待され、採算性改善も想定超か。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3921】ネオジャパン(東証一部) OP

現在値 1,731円/100株 P/E 37.9  P/B 5.83 1月配当優待 7月優待


企業や官公庁向けにクラウド/パッケージ型のグループウェアの販売。
配当は1月末一括の12円配当となっており、配当利回りは約0.69%となります。

ネオジャパンは株主優待制度を実施しており、100株以上を保有する1月末・7月末の株主に対して500円のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約1.27%となります。

業績を確認していきます。
■2018年1月期 売上高 23.1億円、経常利益 4.5億円 EPS 22.0円
■2019年1月期 売上高 26.6億円、経常利益 5.4億円 EPS 25.8円 
■2020年1月期 売上高 37.4億円、経常利益 7.1億円 EPS 33.3円 連

■2021年1月期 売上高 53.2億円、経常利益 9.4億円 EPS 45.5円 連

■2022年1月期 売上高 57.1億円、経常利益 9.8億円 EPS 45.6円 ce(3/11)

□2020年7月期 売上高 29.0億円、経常利益 6.6億円 EPS 30.2円 四e

2021年1月期の売上高は前期比42.3%増の53.2億円、経常利益は同32.3%増の9.4億円となり、Pro-SPIRE社(※後述)の連結開始による“連単比較”となるため単純比較は出来ないものの、売上高・利益ともに3割を超える大増勢となりました。新型肺炎禍で営業活動が滞ったものの、クラウド型の「desknet’s NEO」を中心にユーザ数が増加し、同製品の売上は同18.5%増となりました。一方で、従来製品のプロダクト型はこの政策的な商品ミックスの変更により後退したものの、サポート売上が下支えしました。一方、買収したPro-SPIRE社を中心とする開発事業についても大型案件が剥落したものの、通期連結効果が大きく、形としては増収増益となりました。


進行期である2022年1月期の予算については、売上高が7.4%増の57.1億円、経常利益は同3.3%増の9.8億円を予想しています。ソフト全体では注力中のクラウド型商品が15%程度伸長することが見込まれるものの、従来製品のプロダクト型は大規模事業者向けで増収、中小規模事業者向けは縮小を想定しているためセグメント全体では微増収を見込んでいます。また、開発事業についても新型肺炎禍からの反動により同じく微増収想定です。原価面では、実績期より本格化させたイベントや新聞広告等のプロモーション費用や人員増強・研究開発費用を積み増すため、トップラインの伸び幅よりも利益成長が鈍化します。


当社は中期計画を開示していないものの、会社側コメントによれば終わった2021年1月期までの4年間で、2017年1月期実績に対しておよそ倍の売上高・利益を目標としていました。結果については、計算される目標業績の売上高42億円・経常利益8.4億円については売上高・利益ともに過達となり、買収効果による上乗せ効果や新型肺炎禍によるテレワーク需要増加による追い風効果があったものの、数字感的には十分満足できる仕上がりとなりました。蛇足ながら、2021年1月期末には全社員に10万円の給付(テレワーク支援金の名目)を実施したり、本年初に広告費を厚くとったりしており、実態としては出来すぎた数字を最後に潰して調整している印象です。

 

現時点で中計等の開示はなされていないものの、会社側の新たなターゲット感としては2030年を目途に「シェアNo.1、ユーザー1,000万人、年商100億円」を目指している模様です。当社が属するグループウェア市場は2024年までは依然として年率10%程度の成長が見込まれており、MicrosoftやGoogleが提供する大企業向けを想定したクラウド型商品や、中小企業向けを得意とするサイボウズが競合となっています。その中で当社はコスト競争力を武器に中小企業向けのクラウド型を深耕させるとともに、競合他社が撤退している大企業向けには廉価なプロダクト型の提供で残存者利益を確保するというユニークなハイブリッド戦略を採っています。

 

2019年に買収したSIerであるPro-SPIRE社には5.2億円を投じており、全社業績に年商20億円分がオンされています。同社単独での成長自体はやや停滞気味ではあるものの、今後は当社本体のサービス導入にかかるSIやCI(クラウドインテグレーション)等の受注によるシナジー効果の本格発現が期待されるだけでなく、商品開発段階から同社エンジニアを参画させることによる高度化と合理化を図ります。また、本年2月には既存顧客の進出先としても多いタイ王国に現地法人を設立しており、海外大手ベンダー製品と比べて優位なコスト競争力によりアジア市場の開拓を図ります。

財務状況については、実質無借金状態が継続しており、ネットキャッシュ約27億円のほか有価証券(債券)を12億円超保有しています。配当は実績ベースで前期比3.5円増配して年11円としましたが、予想ベースでは年12円と連続増配を公表しています。配当性向も22.5%→24.1%→26.3%/予、と漸増させており、特段の資金需要がないとみられることから、足許ではやや株主還元強化の意向が見て取れます。

 

*参考記事① 2020-11-25  2,441円 NT

【3921】ネオジャパン/テレワーク需要増で、中計は利益予算についても超過達成が視野に。

 

*参考記事② 2020-06-03  1,396円 NT

【3921】ネオジャパン/プロダクト型の“残存者利益”は大きく、高成長路線を堅持。

 

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