【8892】日本エスコン/4月より中部電力の連結子会社化、累進的配当政策が復活。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8892】日本エスコン (東証1部)   BY(コンビクション)

現在値 759円/100株 P/E 8.39  P/B 1.42 6月株主優待 12月配当

京阪神を中心に分譲マンションを展開。09年に事業再生ADRを終結。
配当金は12月末一括の38円の配当で、配当利回りは5.01となります。

日本エスコンは株主優待制度を導入しており、10単元以上を1年以上保有する6月末株主に対して、1,000円相当のクオカードを進呈しておりますので、配当と合計した配当優待利回りは約5.13%となります。また2年以上の継続保有で進呈額が3,000円となる長期優遇制度も導入しており、その場合の同利回りは約5.40%となります(※いずれも10単元保有時)。

業績を確認していきます。
■2017年12月期 売上高 447億円、経常利益 59億円 EPS 81.7円 

■2018年12月期 売上高 543億円、経常利益 104億円 EPS 105.9円 

■2019年12月期 売上高 721億円、経常利益 118億円 EPS 119.1円 

■2020年12月期 売上高 773億円、経常利益 111億円 EPS 111.9円 

■2021年12月期 売上高 800億円、経常利益 94億円 EPS 70.2円 ce
□2021年6月1Q 売上高 124億円、経常利益 9億円 EPS 9.4円(4/26)

□2021年9月2Q 売上高 294億円、経常利益 33億円 EPS 25.8円 ce


2020年12月期の売上高は前期比7.2%増の773億円、経常利益は同5.5%減の111億円となり、増収増益を予想していた期初予算を下回って着地しました。主力の分譲事業については、高槻宮野町(全99戸)、豊田(全63戸)、甲東園(全49戸)、西宮北口(63戸/全94戸)、美しが丘(49戸/全90戸)など652戸を引き渡したものの、計画の756戸には届きませんでした。分譲事業以外では、東条物流(83億円)の売却が寄与したほか、傘下REITが1月のPOで約52億円を調達し、当社は大和高田商業(41億円)、美木多商業(35億円)、堺市大仙底地(27億円)と計103億円分の物件を拠出し、同時にこれら物件の持分を中電不動産にも売却しました。結果的に未達となったものの、ホテル売却等をあえて翌期送りにしているため、やや意図的な未達と解されます。


進行期である2021年12月期の通期見通しについては、売上高が前期比3.5%増となる800億円、経常利益は15.8%減の94億円を計画しています。主力の分譲事業については、大和高田駅(205戸)、千里青山台(152戸)、西明石(77戸)、瓢箪山(232戸)など通期で1,062戸を引き渡す計画です。一方、分譲事業以外については、千里青山台近接の商業、瓢箪山近接の神田町商業、古賀市土地が名有りとなっていますが、保有賃貸物件の拡充を志向しているため、このような一過性の物件売却がかなり抑えめとなっており、数字の殆どを分譲事業で作る計画となっています。


当社は2018年より中部電力(9502)の持分法適用会社でしたが、本年4月1日に中電を相手先とする第三者割当増資により204億円(@769円)の追加出資を受けており、同社の完全子会社(51.5%)に収まっています。それに伴い、進行中の3年中計も1年でやや減額気味にロールさせており、今期を初年度とする新中計では、3年後の2023年12月期の業績定量目標として、売上高773→1,100億円(CAGR12%)、営業利益122→160億円(CAGR10%)を掲げ直しています。

 

新中計の具体的な取り組みについては、①賃貸利益割合の増加(14%→26%)、②年間1,200戸供給体制の確立③中電との連携強化、④新規事業等の強化が軸に挙げられています。①については中電からの調達資金を向こう3年間累計で2,200億円(純額1,900億円)を投じていく方針であり、従来のように傘下REITに対しても2月・8月のPO実施想定時期に合わせて売却していくものの、ブックで保有する物件のウエイトを増やしていく方針です。また、②・③についてはバイイングパワーの増加に加えて、中電遊休地の活用案件や中部エリアの深耕を図る方針です。④については、物流施設の開発や、麻布で販売開始した「了聞」という納骨堂事業に加え、今秋にもリノベーション賃貸マンション等を主要クライテリアとする私募REITを組成予定となっています。

 

財務面については、中部電力の連結子会社入りにともない金利が更に0.8%水準まで削減出来ており、4月の第三者割当増資により足許ベースの自己資本比率はおよそ3割程度にまで良化しているとみられます。一方、今次中計期間ではレバレッジを活用した事業拡大を企図しており、最終的には同23%水準までレバを使う計画となっています。それでも株主還元に関しては「減配しない」累進的配当政策を一度取り下げた後で再度復元させており、向こう3年間は年38円配をフロアとすることとしています。

 

*参考記事① 2020-11-18 886円 OP

【8892】日本エスコン/今期業績は上振れ圏も、傘下REITの株価低迷が悩みのタネ。

 

*参考記事② 2020-05-07  731円 OP

【8892】日本エスコン/傘下REITがPO実施で1Q高進捗、通期予算を据置き逃げ切り気配。

 

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