【9287】ジャパン・インフラファンド投資法人(東証インフラ) OP
現在値 99,000円/1株 P/E 28.8 P/B 1.06 5月分配 11月分配
丸紅をメインスポンサーとするインフラファンド。サブスポンサーはみずほ銀行、みずほ信託。
予想分配金は5月・11月の年2回の合計5,823円配のため、分配金利回りは約5.88%となります。
業績を確認していきます。
■2020年05月期_第1期 営業収益 3.82億円、経常利益 0.41億円 DPU 1.171円
■2020年11月期_第2期 営業収益 6.01億円、経常利益 1.83億円 DPU 2,977円
□2021年05月期_第3期 営業収益 9.23億円、経常利益 1.78億円 DPU 2,904円 ce修正
□2021年11月期_第4期 営業収益 10.90億円、経常利益 2.97億円 DPU 2,919円 ce修正
2020年11月期_第2期の営業収益は期初予算比5百万円減の6.01億円、経常利益は同8百万円増の1.83億円となりました。分配金(DPU)に関しては、当初予想の2,927円→2,977円(うち利益超過分配;OPD487円)へと50円上振れしました。営業収益については、発電量が梅雨前線の停滞により見込みを下回る計画の98.3%となったため変動賃料が低下したことにより減収となったほか、原価面では落雷による修繕費用の発生やシステム費用の営業費振替等があったものの、保険金受領とその他コスト削減によりカバーし、純益ベースでは予算を上回って増配となりました。
進行期である2021年5月期_第3期の予算については、営業収益が第2期比53.6%増の9.23億円、経常利益は同2.6%減となる1.78億円を見込んでいます。DPUについては同73円減となる2,904円(うち利益超過分配;OPD1,583円)を予想しています。トップラインが大幅な増収となるのは、昨年12月に実施した1stPO(※後述)が主要因であり、運用物件数が10物件から25物件まで増えることに由ります。原価については、PO取得物件の固都税(79百万円)が未だ費用化されない一方、物件取得にともなう新規借入増加による支払利息及び関連費用39百万円のほか新株発行費用を見込んでおり、そもそもの季節要因によるトップラインの減少も相俟って減益予想となります。
当法人は昨年末に上場来初のPOを実施しており、50.9億円(@89,992円)を調達し、新たに10物件・95.2億円分の新規物件取得を行っています。今次POにより資産規模は約2倍に成長したほか、広域なエリアの物件を取得したことにより、北陸電力管内の偏在リスクを相当程度分散(従前82%→44%)することに成功しています。LTVについては、今次POでレバレッジを活用したため、それまで37.9%だったLTVを44.0%まで一気に上昇させていますが、軒並み50%を超えている他インフラファンドと比べて比較的低位に留まっているため、財務的にはなお余裕がある状況です。
当法人の掲げる長期的な目標感としては、現在の資産規模100億円を1,000億円まで膨らませる方針であり、実際にスポンサーパイプラインについても現在の資産規模の3倍強の“玉”があるので、外部成長余力については問題なさそうです。当法人の長所としては、総合商社系でありながらユナイテッド・アーバン投資法人を上位J-REITに育て上げた丸紅がメインスポンサーになっているおり、同社は昨今“丸紅電力”と呼ばれるほど電力事業に傾注していることから、この丸紅のネームが強い点にあろうかと思われます。実際に丸紅新電力というPPS子会社を有しており、いわゆるFIT後の買電支援といった面でもスポンサーグループの総合力の発揮が期待出来るものと考えています。
一方、分配金政策については、元よりOPD割合がかなり高く、運用状況の上振れや新規物件取得によって実力ベースのEPUが伸びた場合は、OPD部分をある程度潰して安定的に配当していく意向があるものと考えられます。そのためDPUの目線感については、あくまで年ベースで5,800円程度と考えられ、一段の増配にはもう少し実力部分の成長が必要になろうかと思われます。
*参考記事① 2020-10-20 103,900円 NT
【9287】ジャパン・インフラファンド投資法人/分配金年6,000円水準には早晩到達の公算。
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。