【8095】イワキ(東証1部) BY
現在値 621円/100株 P/E 10.2 P/B 0.95 11月配当優待 5月配当
医薬品・医薬原料商社。化学品も展開。傘下にジェネリック、表面処理薬品製造子会社も。
配当は5月末・11月末の年2回・合計18円配当のため、配当利回りは2.90%となります。
イワキは株主優待制度を導入しており、11月末に単元株を保有する1年以上継続保有株主に対し、3,000円相当の自社製品を進呈しておりますので、配当優待利回りは約7.72%となります。なお、3年以上の継続保有の場合は進呈額が5,000円相当となるため、その場合の同利回りは約10.9%となります。
業績を確認していきます。
■2017年11月期 売上高 573億円、営業利益 15.7億円、EPS 37.9円
■2018年11月期 売上高 600億円、営業利益 18.4億円、EPS 43.8円
■2019年11月期 売上高 616億円、営業利益 21.2億円、EPS 47.0円
■2020年11月期 売上高 653億円、営業利益 20.3億円、EPS 60.3円
■2021年11月期 売上高 730億円、営業利益 26.0億円、EPS 60.6円 ce
□2021年5月2Q 売上高 363億円、営業利益 11.0億円、EPS 21.5円 ce
2020年11月期の通期予算については、売上高が前年同期比6.0%増の653億円、営業利益は同4.1%減の20.3億円となり、売上高成長を継続したものの、利益は予算比でも減益となりました。ジェネリック薬原料のFC(ファインケミカル)事業については、3月に買収したスぺラファーマや、7月に鳥居薬品から買収した佐倉工場の上乗せが大きく効いたほか、ジェネリック大型新薬の採用もあり堅調に推移しました。一方、HBC・食品事業については、“巣ごもり”需要を捕らえた加工食品こそ堅調だったものの、訪日客低迷の影響を受けたDC向けの化粧品や医薬品が足を引っ張り、大幅なセグメント減益となっています。
進行期である2021年11月期の見通しについては、売上高が11.7%増の730億円、営業利益は同27.8%増の26.0億円と最高益を予想しています。HBC・食品事業については、引き続き訪日客低調の影響を受け、化粧品といったDC向けの数字は伸びないとみられます。一方で、主力のFC事業については、実績期に買収したスぺラファーマや鳥居薬品佐倉工場にくわえ、出資した前田薬品が通期寄与するほか、化学品事業については好採算の半導体関連の続伸が見込まれます。なお、会社側からは新型肺炎禍の影響を通期で相当程度受けることを前提とした予算である旨のアナウンスがあり、数字自体は保守的なものと解されます。
当社は長期経営計画として、2025年11月期を最終年度とした10年間で売上高554億円→1,000億円、ROIC1.7%→10.0%を目指しているほか、これをブレイクダウンした3年中計をローリング方式で開示しており、2023年11月期に売上高820億円(CAGR8%)、営業利益42.0億円(CAGR28%)を目標としています。進行期で10年長計も後半5ヵ年目に入るものの、過去の中計で示された業績目標が概ねクリアされているほか、会社側は直近でも「長計は極めて順調に進捗」である旨をアナウンスしていることから、目論見通り順調に推移しているものと判断されます。
中計・長計で成長ドライバーとなるのは、卸売業から製造業への本格的なドメイン転換であり、FC事業については、20年から本稼働した高薬理活性原料対応分析センターの活用による抗がん剤原料等の開発・販売や、皮膚科領域におけるジェネリック外皮塗り薬の品目数、及び、生産キャパシティの業界首位奪取を目標としています。また必ずしもオーガニックな成長に拘っておらず、上述のように矢継ぎ早のMAで手っ取り早く業容拡大を目指す一方、その他セグメントでは動物用医薬品の卸売りを手掛ける子会社であるホクヤクやAMIの売却を実施するなど、積極的な事業ポートフォリオの組み替えを実施しています。
財務面については、昨年12月にSMBC日興証券相手にMSワラントを発行しており、最大で42.3億円を調達する目論見となっています。行使価格が@630円、@700円で発行決議日の価格以上の水準ではあるものの、希薄化率は約2割と大きめとなっています。然しながら足許の好業績を背景に株価が上昇していることから徐々に行使が進んでおり、株価600円周りの推移が続けばこのまま消化が進むとみられます。なお、株主還元に関してはDOE1.5%(配当性向30%)を基準としており、今期は2円増配の年18円配当を予想していますが、別途大型の資金調達をしている手前もあり、業績順調でもそれ以上の上積みはしてこないと思われます。
*参考記事① 2020-04-07 509円 BY
【8095】イワキ/10年長計は順調、高薬理活性医薬原料の伸長に期待。
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