【8095】イワキ(東証1部) BY
現在値 509円/100株 PER9.8 PBR0.82 11月配当優待 5月配当
医薬品・医薬原料商社。化学品も展開。傘下にジェネリック、表面処理薬品製造子会社も。
配当は5月末・11月末の年2回・合計14円配当のため、配当利回りは2.75%となります。
イワキは株主優待制度を導入しており、11月末に単元株を保有する1年以上継続保有株主に対し、3,000円相当の自社製品を進呈しておりますので、配当優待利回りは約8.64%となります。なお、3年以上の継続保有の場合は進呈額が5,000円相当となるため、その場合の同利回りは約12.57%となります。
業績を確認していきます。
■2016年11月期 売上高 551億円、営業利益 9.7億円、EPS 0.3円
■2017年11月期 売上高 573億円、営業利益 15.7億円、EPS 37.9円
■2018年11月期 売上高 600億円、営業利益 18.4億円、EPS 43.8円
■2019年11月期 売上高 616億円、営業利益 21.2億円、EPS 47.0円
■2020年11月期 売上高 640億円、営業利益 22.0億円、EPS 51.9円 ce
□2020年5月2Q 売上高 320億円、営業利益 9.6億円、EPS 21.0円 ce
2019年11月期の売上高は前期比2.6%増の616億円、営業利益は同14.7%増の21.2億円となり、トップラインこそ期初予想に届かなかったものの、3期連続の最高益を確保しました。主力の医薬・FC事業については、ジェネリック薬向けの抗アレルギー剤・潰瘍性大腸炎薬が価格改定も相俟って堅調に推移したほか、皮膚塗り薬に代表される外皮用剤や育毛剤についても好調に推移し、全社業績を大きく牽引しました。その一方、HBC事業については日韓関係悪化等にともなうインバウンド消費の減少により、化粧品原料や機能性食品が一服となり、セグメント減益となりました。
進行期である2020年11月期の通期予算については、売上高が3.8%増の640億円、営業利益は3.7%増の22.0億円と4期連続の最高益更新を見込んでいるほか、今期からセグメントを再編成しており、医薬・FC事業を分割したほか、HBC事業と食品事業を統合しています。ジェネリック薬原料のFC事業については引き続き堅調な市況が見込まれるものの、薬価改定の懸念があるほか、医薬品事業もまた同様に外皮用剤がOTC化(薬価収載から除外される)懸念もあるため、必ずしも楽観視が出来ない状況となっています。なおHBC・食品事業については、両分野の統合により業際融合が進むほか、機能性表示食品や特保市場自体の市場拡大により、順調な推移を見込んでいます。
当社は長期経営計画として、2025年11月期を最終年度とした10年間で売上高554億円→1,000億円、ROIC1.7%→10.0%を目指しているほか、これをブレイクダウンした3年中計をローリング方式で開示しており、2022年11月期に売上高750億円(CAGR8.3%)、営業利益32.0億円(CAGR20.6%)を目標としています。今期で10年長計も折り返しの5ヵ年目に入るものの、過去の中計で示された業績目標が概ねクリアされているほか、会社側は直近でも「長計はインライン」である旨をアナウンスしていることから、目論見通り順調に推移しているものと判断されます。
長計目標達成に向けての施策については、化学品事業において2018年に日立化成からプリント配線用薬品事業を譲受して業容を拡大する一方、その他セグメントでは動物用医薬品の卸売りを手掛ける子会社であるホクヤクやAMIの売却を実施するなど、資本政策も絡めて積極的な事業ポートフォリオの組み替えを実施しています。ただ実際にドライバーとなるのはFC事業であり、20年から本稼働を開始する高薬理活性原料対応分析センターの活用により、抗がん剤原料等の開発領域に本格的に進出していく方針です。
なお、株主還元に関してはDOE1.5%(配当性向30%)を基準としており、今期は1円増配の年14円配当を予想しています。財務自体は自己資本比率45.7%と健全であり、ROICを長計目標値に採用していることから株主還元の拡充も考えられますが、足許のDOEは既に2.0%水準に達していることから、取り敢えずは配当の漸増くらいに留まる可能性が高そうです。
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