【9405】朝日放送グループHD/米大型投資先が事業停止で大減損、DMMと合弁会社も。 | なちゅの市川綜合研究所

なちゅの市川綜合研究所

「別に勝たなくてもいいので、負けないこと」を志向しております。
本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報等に基づき、作成されています。
当ブログの情報に全面的に依拠することはお控えいただき、最終的なご判断はご自身でお願いいたします。

IMG_0498.jpg

【9405】朝日放送グループホールディングス (東証一部) OP

現在値 728円/100株 PER--.- PBR0.47 3月配当優待 9月配当優待

西日本最大手民放でテレ朝系列。住宅展示事業大手。ゴルフ場も。

配当は3月末9月末の合計10円のため、配当利回りは1.37%となります。

 

朝日放送は株主優待を実施しており、3月末・9月末の単元保有の株主に500円分のクオカードを年2回進呈しておりますので、配当優待利回は約2.74%となります。

業績を確認をしていきます。
■2017年3月期 売上高 823億円 経常利益 52億円 EPS 83.6円 

■2018年3月期 売上高 809億円 経常利益 45億円 EPS 65.9円 

■2019年3月期 売上高 819億円 経常利益 46億円 EPS 91.5円 

■2020年3月期 売上高 835億円 経常利益 40億円 EPS 61.1円 ce

■2021年3月期 売上高 780億円 経常利益 20億円 EPS▲34.1円 ce修正(2/8)
□2020年9月2Q 売上高 330億円 経常利益▲9億円 EPS▲14.7円

□2020年12月3Q 売上高 569億円 経常利益 11.3億円 EPS ▲49.5円(2/8)

2020年9月中間期の売上高は前年同期比17.8%減の330億円、経常利益は赤転の▲9億円となり、予算との比較は無いものの大幅な減収減益となりました。主力の放送事業において、新型肺炎禍により甲子園をはじめとする大型イベントが中止となったこともあり、タイム収入が低調に推移しました。また、スポット分野についても、新型肺炎禍によるクライアントの出稿意欲の大幅な減退を受け、売上は同3割弱の減少となりました。なお世帯視聴率については全日帯で業界3位(7.8%)のままでした。放送外セグメントについては、利益貢献の高いハウジング事業においても、休園・休館にともなう出展料減額対応を実施したため、利益は前年同期の4分の1程に留まりました。

2021年3月期の通期見通しについては、3Q時点で修正しており、売上高が前期比6.0%増の780億円(従予:725億円)、経常利益は同44.9%減の20億円(従予:5億円)に増額しています。放送事業については、通信販売、化粧品・トイレタリーといったクライアントの出稿意欲回復にともない好採算のスポット収入の回復基調が続いているほか、足許の視聴率も関西地区2位圏まで浮上しています。このほか、ハウジング事業についても新型肺炎禍にともなう戸建志向の高まりにより、販売高が増加したことで上期末から急速に持ち直しているような状況です。2月7日に開示済の3Qについては、売上高が前期比7.3%減の569億円、経常利益は同58.0%減の11.3億円で進捗しています。


当社は中期的な計画として、今2021年3月期に売上高890億円(直近実績829億円)、経常利益60億円(直近実績36.3億円)を必達目標としていましたが、最新の業績予想修正に照らせば事実上断念したような格好となります。当初は本業である放送事業のテコ入れにより、シェアを26.3%(2017年は24.9%)まで拡大させる計画であり、そのためにアニメ・通販を最重要領域として注力するような方針となっていました。また、ハウジング事業についても主に展示場の新設による成長、周辺領域の成長3事業についてもCVCの活用等による業容拡大を志向していましたが、広告主のTV広告離れにより本業の土台が揺らいでいるほか、足許ではDLE(3686)絡みのインサイダー取引事件も発生しており、定性・定量両面でガタガタの着地となるものとみられます。


アニメ・ライツ・海外の成長3事業については、アニメ事業のみ一応の拡大基調が確認出来ますが、ライツ事業や海外事業については停滞しています。特に海外事業については、昨年3月に米国でショートコンテンツプラットフォーム事業を展開するQuibi社に“ペガサスファンド”を通じて投資実行したばかりであるものの、僅か半年後の昨年秋には同社の米国事業が停止されたため、事実上の全損に近い金額とみられる▲27億円もの減損計上を強いられています。

 

また、相対的には堅調なアニメ事業についても、京都アニメーションとの協業増加により、「ヴァイオレットエバーガーデン」といった単発ヒット作には恵まれたものの、27億円(@126円)を投じて保有株の過半(51.97%)を取得する第三者割当増資敢行したDLE(3686)については、鷹の爪以外のIP育成が遅れています。鷹の爪以外では、貝社員やパンパカパンツくらいしか知名度のあるIPが無いためパンチ力不足が否めない状況です。そのため、成長3事業は総じて手詰まり感があるものの、打開策として昨年12月に総合ネット企業のDMMと合弁会社を設立するなど、比較的思い切ったとみられる提携策を繰り出しています。

最後に株主還元ですが、今期は8円減配となる年10円配当を予想しています。当社は安定配当志向は薄く、出来上がりの利益をベースに配当性向30%を基準に配当額を上下させていますが、Quibi社の大型減損もあって最終赤字に転落する今期については、10円配当をフロアとしたようです。保有有価証券も多く、財務的には大変な余裕がある会社ですが、事実上の親分である朝日新聞が昨年に大規模なリストラを実施したほか、当社も不祥事があったばかりなので、このような大幅減配が免れなかったものとみられます。

 

*参考記事① 2019-09-04 697円 OP

視聴率苦戦気味だが、DLE子会社化は評価・朝日放送グループHD(9405)。

 

*参考記事② 2019-02-10 710円 OP

業績上振れで期中増配だが、視聴率は苦戦続く・朝日放送グループHD(9405)。 

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

にほんブログ村 株ブログ 株主優待へ にほんブログ村 株ブログ IPO・新規公開株へ にほんブログ村 株ブログ サラリーマン投資家へ