【5965】フジマック(東証二部) OP
現在値 615円/100株 PER--.- PBR0.44 3月配当優待
総合厨房設備機器メーカーで、外食・ホテル等の大型設備に強み。工場分社化。
配当(実績)は3月末一括の年20円配当のため、配当利回りは3.25%となります。
フジマックは株主優待制度を導入しており、3月末時点で単元株を保有する株主に対し、1,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.87%となります。なお長期優遇制度もあり、1年以上の保有で1,000円分のクオカードが追加進呈されますので、その場合の配当優待利回りは、約6.50%まで利回りが上昇します。
業績を確認していきます。
■2017年3月期 売上高 360億円、営業利益 21.5億円 EPS 114.7円
■2018年3月期 売上高 385億円、営業利益 27.1億円 EPS 149.9円
■2019年3月期 売上高 368億円、営業利益 20.4億円 EPS 114.2円
■2020年3月期 売上高 378億円、営業利益 17.6億円 EPS 84.6円
■2021年3月期 売上高 (未定)億円、営業利益(未定)億円 EPS(未定)円 ce
□2020年6月1Q 売上高 67.4億円、営業利益▲0.8億円 EPS▲9.4円(8/12)
□2020年9月2Q 売上高 140億円、営業利益▲0.3億円 EPS▲6.8円 ce
2020年3月期の売上高は前期比2.5%増の378億円、営業利益は同13.7%減の17.6億円となり、期初予算どころか期中の減額後予算を割り込んで着地しました。主力の業務用厨房の製販事業は、五輪向けのホテル・旅館への引渡しが進んだものの、期末にかけて計上予定だった大型物件の竣工時期が遅延し期ズレを起こすなど想定以下で推移したものとみられます。また、外食向けについては、上期までは改装案件の増加により概ね堅調に推移したものの、下期~年明けにかけて新型肺炎の影響を受けて顧客の投資意欲が後退して尻すぼみとなりました。利益面については、大手コンビニ向けの大型オートフライヤー開発を実施したこともあり、研究開発費用が嵩んで収益を押し下げました。
進行期である2021年3月期の通期予算については、期初より非開示としていましたが、8月12日に開示済の1Q決算時点で上期予算のみを公表しており、売上高が前年同期比23.9%減の140億円、営業利益は同赤転の▲0.3億円での上期折り返しを予想しています。期初時点での受注残高は50.8億円であり、前年より2割ほど少ない水準だったことを踏まえると穏当な水準とみられます。本来開催される筈だった(来年開催されるであろう?)五輪向けのホテル・旅館等への売上が期ズレ分を含めて計上されるとみられるものの、新型肺炎禍で案件自体が流れやすい外食向けの低調推移が予想されます。そのため、通期で赤字まで転落することまでは考えにくいものの、営業利益半減レベルまでは十分ありうるものと考えています。
当社は時限の定めのある中計及び対応する業績目標を開示していないものの、中期的な定性的取り組みとして、①グループ各社の製造・販売・保守一貫サービス体制の構築、②アフターメンテ強化、③マーケット拡大、④製品改良、⑤海外部門強化の5点を掲げており、中長期的な「漠っとした」目標感として、売上高400億円を目指しています。昨今の漫性的な労働力不足の状況下では省力化・省人化のための洗浄済食器自動仕分けロボの開発等を実施するとともに、新型肺炎禍の足許では密になりやすい厨房回りの環境対策の引き合いが多いため、これに対応する商品の開発を進めています。
同業であり当社よりも規模の大きいマルゼン(5982)が外食向けで競合するほか、同社はオートフライヤー設備等でファミマやセブンなどの開拓を進め順調に成長しているため、当社との差が徐々に開いてしまっている状況です。特に当社の場合、得意顧客が外食向けのため、先述の厨房環境改善のための特注設備等で差別化出来ると目されるものの、肝心の外食業界の事業環境が大変厳しい状況であり、当面は設備投資意欲が減退し、居抜きや中古品にシフトするもの減退するとみられます。そのため、当社の製品開発力のいかんではカバー出来ない部分が大きく、当社の業績成長については当分の間は外食業界の好転待ちになろうかと思います。
株主還元については、現状においても配当予想を未定としているものの、今期も年20円配当を据え置く可能性が高いと予想しています。当社の時価総額は100億円程度であるものの、ネットキャッシュで約50億円弱を抱える超好財務企業であり、配当性向も巡航ベースで20%に届かない程度の低還元を貫いてきたので、自己資本が厚くなっており、配当余力は十分と考えています。株式分割と、昨年年1月の株主優待制度導入から読み取れる通り、“次のステージ”への期待が燻りますが、形式要件の成就はともかく株主数は依然4,000名程に過ぎないため、もう一歩踏み込んだ還元施策等が望まれます。
*参考記事① 2019-09-05 694円 OP
1Qから期ズレ確定で通期減額も、バリュー感は強い・フジマック(5965)。
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