1Qから期ズレ確定で通期減額も、バリュー感は強い・フジマック(5965)。 | なちゅの市川綜合研究所

なちゅの市川綜合研究所

「別に勝たなくてもいいので、負けないこと」を志向しております。
本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報等に基づき、作成されています。
当ブログの情報に全面的に依拠することはお控えいただき、最終的なご判断はご自身でお願いいたします。

IMG_6413.jpg

【5965】フジマック(東証二部) OP

現在値 694円/100株 PER6.7 PBR0.51 3月配当優待 

総合厨房設備機器メーカーで、外食・ホテル等の大型設備に強み。工場分社化。
配当は3月末一括の年20円配当のため、配当利回りは2.88%となります。

フジマックは株主優待制度を導入しており、3月末時点で単元株を保有する株主に対し、

1,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.32%となります。

なお長期優遇制度もあり、1年以上の保有で1,000円分のクオカードが追加進呈されま

すので、その場合の配当優待利回りは、約5.76%まで利回りが上昇します。

業績を確認していきます。
■2016年3月期 売上高 365億円、営業利益 15.8億円 EPS 51.7円 
■2017年3月期 売上高 360億円、営業利益 21.5億円 EPS 114.7円 

■2018年3月期 売上高 385億円、営業利益 27.1億円 EPS 149.9円 

■2019年3月期 売上高 368億円、営業利益 20.4億円 EPS 114.2円 

■2020年3月期 売上高 386億円、営業利益 19.5億円 EPS 103.0円 ce修正

□2019年6月1Q 売上高 84.0億円、営業利益 1.4億円 EPS 4.5円(8/9) 
□2019年9月2Q 売上高 181億円、営業利益 8.5億円 EPS 45.7円 ce


2019年3月期の売上高は前期比4.3%減の368億円、営業利益は同24.6%減の20.4億円と

なり、当初より減収減益を見込んでいた期初予算を割り込んで着地しました。主力の業務

用厨房の製販事業は、ホテル・旅館向けが五輪特需により順調に推移したほか、外食向

けが改装案件の増加により概ね堅調に推移しました。そのため、トップラインについては

予算水準を確保出来たものの、一方の利益面については運送費の高止まりや、人件費

及び原材料費の増加が重荷となり、大幅減益の仕上がりとなりました。


進行期である2020年3月期の通期予算については、8月9日に開示済の1Q決算時点から

早くも減額しており、売上高が実績期比4.6%増の386億円(従予:388億円)、営業利益は同

4.7%減の19.5億円(従予:23.0億円)へ夫々修正しています。引き続き五輪を控え、ホテル・

旅館向けの堅調な推移が予想されてはいるものの、期末にかけて計上予定だった大型

物件の竣工時期が遅延しているため、この段階で期ズレすることが確実になったことが

減額の主な要因とみられます。また、トップライン以外のところについても、期初時点より

原材料費や研究開発費用が嵩んでいるため、予算の費用見立が甘かったとみられます。

なお、通期予算を減額してはいるものの、それでも今期は下期偏重の業績になるため、

修正後予算についても達成確度については一定の不透明感が残ります。

 

当社は時限の定めのある中計及び対応する業績目標を開示していないものの、中期的

な定性的取り組みとして、①グループ各社の製造・販売・保守一貫サービス体制の構築、

②アフターメンテ強化、③マーケット拡大、④製品改良、⑤海外部門強化の5点を掲げて

おり、中長期的な「漠っとした」目標感として、売上高400億円を目指しています。同業の

マルゼン(5982)が外食向けで競合するほか、同社はオートフライヤー設備等でファミマ

やセブンなどの開拓を進め順調に成長しているため、トップライン成長がモタついている

当社はマルゼンに追いつくどころか差が開いてしまっている状況です。当社は特に得意

とする外食向けで、省スペース型設備の開発や顧客の海外進出に合わせた特注モデル

の開発等に注力して差別化を図っていく方針であり、厨房設備市場の需要自体は順調

であることから、そうした新製品の開発・拡販による価格転嫁により、足許の運送費や

原材のコスト増を吸収していけるかどうかが、今後の業績成長の論点となりそうです。


なお株主還元については、今期も据え置きとなる年20円配当を予想しています。当社の

時価総額100億円程度であるものの、ネットキャッシュで約60億円弱を抱える超好財務

企業であり、今期の配当性向も減額修正してなお20%水準にも満たないため、自己資本

の積み上がりが早く、配当余力は非常に大きい状態です。そのため、当社株にはBBH

フィデリティ(5.7%)といった所謂バリュー系のファンドが触手を伸ばしていますが、特定株

比率も高いので、特にカタリストとしての機能は望み薄であり、基本的には昨年10月の

株式分割と、本年1月の株主優待制度導入から大体読み取れる通り、“次のステージ”

への期待をどこまで織り込むかどうか・・・ということになろうかと考えております。

 

会社四季報 2019年3集夏号

新品価格
¥2,200から

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 

特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


このエントリーをはてなブックマークに追加にほんブログ村