【3482】ロードスターキャピタル/筆頭株主から自社株買いは、大幅なディスカウントに成功。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3482】ロードスターキャピタル(東証一部)  BY

現在値 587円/100株 PER5.43 PBR1.59  12月配当 株主優待なし


都内のオフィスを取得、付加価値を高めて売却。クラウドファンディングも展開。
 

配当は12月末の一括16.0円配当であり、配当利回りは2.73%となります。

ロードスターキャピタルは株主優待制度を実施しておりません。

業績を確認していきます。
■2016年12月期 売上高 46.5億円、経常利益 7.0億円 EPS 27.7円 
■2017年12月期 売上高 87.9億円、経常利益 11.8億円 EPS 44.3円 

■2018年12月期 売上高 96.7億円、経常利益 21.1億円 EPS 64.2円

■2019年12月期 売上高 151億円、経常利益 32.7億円 EPS 97.4円 

■2020年12月期 売上高 168億円、経常利益 37.4億円 EPS 108.1円 ce
□2020年3月1Q 売上高 42.7億円、経常利益 6.8億円 EPS 19.6円(4/30)

□2020年6月2Q 売上高 80.0億円、経常利益 19.0億円 EPS 56.0円 四e

2019年12月期の売上高は前期比56.3%増の151億円、経常利益は同54.5%増の32.7億円となり、売上高・利益ともに期初予算を上回り、5割超の大幅な増収増益を果たしました。主力の自己勘定投資事業において、新宿御苑さくらビルを生保会社に売却したほか、錦町三丁目共同ビルや北品川369ビルを外資系不動産ファンドに売却するなどした結果、想定超の利幅を確保した模様です。クラウドファンディング事業についても、売上高が1年で71%増の3.7億円に成長したほか、AM事業についてもCBRE‐GIと晴海トリトンスクエアの元SCSK保有床を共同取得し、かかる期中運用業務も新規受託しています。


進行期である2020年12月期の予算については、売上高が11.6%増の168億円、経常利益は14.3%増の37.4億円を見込んでいます。売上原資となる販売用不動産残高は、1年前の231億円から300億円まで積み増してが出来ており、具体的にはオープンハウスから仕入れた佐久間町3丁目ビルや芝5丁目の千代ビル、南平台BXIビルなどが含まれます。また、既に1Q時点でJR西日本に北千住の旧第百生命ビルを売却したほか、足許4月にはアース製薬一棟貸しの神田司町ビルの引渡を済ませています。このほか、3Q(7月3日)にも新宿区の大型物件の売却を予定しているため、これら名有り物件だけで利益予算の半分超の目処は立っているものと考えられます。こうしたことから、新型肺炎影響による投資家及び金融機関の態度硬化が一部みられるものの、会社側は期初予算を据え置いています。


当社は2017年9月にマザーズに上場し、実績期まで4期通算して年5割超のペースで売上高・利益成長しているものの、中長的な業績目標値については明らかにしていません。基本的には自己勘定投資事業(転売)で利益を稼ぎつつも、自社保有物件を増やしてその賃料収入でランニング経費を賄う・・・というよくある自己勘定型モデルとなっています。当社のウリはマネジメント層による“目利き力”であり、ゴールドマンサックス(GS)・リアルティ出身の岩野社長と、GS・AMの不動産部門ヘッドだった貝塚氏らによる強力なマネジメント陣営を敷いており、配下にも多くのGS出身者がおります。

 

そのため、彼らの属人的なGS人脈に依存する部分は大きいものの、良質な物件仕入れと多様な出口ルートの確保が最大の強みとなります。出口という観点では、クラウドファンディング(CF)事業が順調に育っており、松井証券との提携もあり会員数も直近1年で16,812人→22,895人に順調に増加させています。このCF事業については、従来のデット型だけでなくエクイティ型を開始したほか、提携先のFundrise社が提供する米国の非上場REITに投資する海外eREIT型の提供も昨年末より開始しており、資金調達力を漸増させています。新型肺炎の影響で、出口や資金調達環境が不透明となる中で、CF事業が育っていることは他社に無い強みであり、依然として転売事業に依存した当社事業を裏から支えていくことが中長期的に期待されます。

 

財務面については、2017年IPO時に@455円で15.5億円(OA込/分割修正済)を調達して以降、特段のエクイティ調達を行っておらず、デットのフル活用による転売で数字を作っているため、自己資本比率は10%台後半に留まっています。また、この3月には筆頭株主のRenrenが保有する23.8%の株式を約40億円(@784円)で自己株取得することを明らかにしていましたが、市場環境の激変により、この取得対価を約25億円(@496円)まで大幅に値切った上で取得することに成功しています。本件取得により更なる自己資本比率の低下が見込まれるものの、おそらくこれは消却せずに売り出すことを前提とした取得とみられるため、株主還元目的では無いオポチュ二ステックな資本政策の一環と考えられます。

 

*参考記事① 2019-05-11 939円 OP

豪華経営陣による破竹の好業績も、増資要警戒圏か・ロードスターキャピタル(3482)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。  


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