【4355】ロングライフホールディング(東証JQS) UP
現在値 245円/100株 PER23.1 PBR1.03 10月配当株主優待
介護付き有料老人ホームは関西中心、富裕層向けが特徴。在宅介護・リゾートも展開。
配当金は10月末一括の8円配当のため、配当利回りは3.27%となります。
ロングライフホールディングは株主優待制度を導入しており、10月末の2単元株主に対し、4,400円相当の自社オリジナルカレー(8箱)を進呈しておりますので、2単元保有時における配当優待利回りは約19.59%となります。なお、新たに2年以上の長期保有制限が付されていますのでご注意ください。
業績を確認していきます。
■2016年10月期 売上高 115億円、営業利益 4.4億円 EPS 21.3円
■2017年10月期 売上高 123億円、営業利益 4.6億円 EPS 22.8円
■2018年10月期 売上高 128億円、営業利益 2.9億円 EPS▲11.2円
■2019年10月期 売上高 132億円、営業利益 1.1億円 EPS▲30.9円
■2020年10月期 売上高 140億円、営業利益 3.0億円 EPS 10.6円 ce
□2020年1月1Q 売上高 31.6億円、営業利益▲1.2億円 EPS▲18.6円(3/13)
□2020年4月2Q 売上高 69.0億円、営業利益 0.8億円 EPS 1.9円 四e
2019年10月期の売上高は前期比2.8%増の132億円、営業利益は同62.5%減の1.1億円となり、増収こそ確保したものの、対予算では大幅未達となりました。主力のホーム介護事業において、前期開業の宮崎台(神奈川)・静岡呉服町の2施設が通期稼働となったものの、稼働の立ち上がりが計画より遅れたことが未達の主要因であり、トップラインが伸びなかったことにより各段階利益もショートする格好となりました。原価面についても、全国的に採用費・人件費が増加したことや、介護施設の稼働テコ入れのためのブランディング費用も嵩んで利益を圧迫しました。一方、同じく前期に石垣島・箱根で新施設を開業したリゾート事業についてはこれら2施設の開業により、セグメント売上がほぼ倍増したほか、セグメント利益についても僅かながら営業黒字へと転換しています。
進行期である2020年10月期の予算については、売上高が5.9%増の140億円、営業利益は同170.4%増となる3.0億円と大幅な反発を見込んでいます。ホーム介護事業については、立ち上がりが遅れた宮崎台・静岡呉服町の入居率向上が見込まれるほか、新施設として越谷(63室)・寝屋川公園(66室)・池田旭丘(45室)の開業を予定しています。介護事業におけるこれら新規3施設の先行費用が嵩むものの、在宅介護事業は首都圏拠点拡充による効率化により採算性の向上が見込まれるほか、黒転したリゾート事業も法人販売を軸に販売を進めていく方針であり、業績面は投資期から回復期に入っていく見通しです。なお、3月13日に開示済の1Qによれば入居率は66%台に留まっており、開業したばかりの越谷の押し下げ効果があるものの、進捗についてはややネガティブな印象です。
当社は中長期的な業績目標値を特に開示していないものの、高級化をコンセプトとして他社との差別化を進め、中長期的に業容を拡大する方針を採っています。国内事業における介護施設については、開業済の静岡呉服町のように市の繁華街ど真ん中に開設し、本人や家族の利便性を追求するとともに高級化(高単価化)を図っています。また、サブセグメントでリゾート施設の開業も進め、当社老人ホームの入居者にリゾート利用権を付することで差別化を図っており、函館・箱根・湯布院・石垣島の4施設を揃えて、一通りの駒を揃えています。ただ実際の介護施設の低調な入居率を鑑みるに、差別化があまり効いていないような印象を受けますが、一応リゾート事業単独でも黒字化を果たしているため、シナジー発現についてはある程度長期の目線で見ていきたいと思います。
もうひとつの成長ドライバーが海外事業であり、既に2011年から中国・青島で高級老人ホームを開業しているほか、2018年6月にも「新華錦・櫻桃谷」を開業しています。これらの2施設にくわえ、3,000室の巨大プロジェクトである青島の「小蓬莱」の開業を2025年に予定していますが、業績への寄与はかなり先となる見通しです。また海外事業以外では、福祉用具事業(電動車いす販売)などもありますが、売上の嵩のわりに利益貢献僅少であることから、現実ベースでの成長シナリオは国内の介護施設の新規開業がメインと予想され、先に開業済の越谷に代表されるヘルスケアREITなどの外部ファンドの旺盛な新規物件取得にともなうオペレーターの受注が柱となりそうです(越谷の家主はフージャースAM、組成中の私募ヘルスケアREITのシード物件になるとみられる)。
なお本来的にはオンブック(固定資産)で施設を開発・保有していきたい考えがあるものと推察されますが、財務状況については期を重ねるごとに悪化の一途を辿っており、非現金支出である減価償却の溜まりもせいぜい年4~5億円程度なので、自己資本比率は15.9%水準まで沈んでいます。そのような財務状況にも拘わらず年8円の配当を維持しているため、資本政策については理解に苦しむ部分が多く、会社側には今期末配当より速やかに無配転落させて欲しいと考えています。
*参考記事① 2019-03-07 353円 UP
1Qを待たずに減損で早くも通期下方修正、ロングライフホールディング(4355)。