1Qを待たずに減損で早くも通期下方修正、ロングライフホールディング(4355)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【4355】ロングライフホールディング(東証JQS) -

現在値 353円/100株 PER42.4 PBR1.15 10月配当株主優待 

介護付き有料老人ホームは関西中心、富裕層向けが特徴。在宅介護・リゾートも展開。
配当金は10月末一括の8円配当のため、配当利回りは2.27%となります。

 

ロングライフホールディングは株主優待制度を導入しており、10月末の単元株主に対し、

2,160円相当の自社オリジナルカレー(4箱)を進呈しておりますので、配当優待利回りは

約8.38%となります。

業績を確認していきます。 
■2015年10月期 売上高 112億円、営業利益 6.5億円 EPS 31.0円
■2016年10月期 売上高 115億円、営業利益 4.4億円 EPS 21.3円 
■2017年10月期 売上高 123億円、営業利益 4.6億円 EPS 22.8円

■2018年10月期 売上高 128億円、営業利益 2.9億円 EPS▲11.2円 

■2019年10月期 売上高 141億円、営業利益 4.2億円 EPS 8.3円ce修正(3/6)
□2019年4月中 売上高 66.2億円、営業利益 1.5億円 EPS▲5.3円ce修正(3/6)

 

2018年10月期の売上高は前期比4.4%増の128億円、営業利益は同91.5%減の0.4億円と

なり、増収こそ確保したものの、対期初予算は大幅未達となりました。主力のホーム介護

事業については、宮崎台(神奈川)・静岡呉服町の2施設の新規開業効果もありセグメント

増収を果たしたものの、これら2施設の開業費と施設減価償却費が想定を上回ったことや

全国的に採用費・人件費が増加したことも影響し、利益が大幅に圧迫されました。また、

石垣島・箱根で新施設を開業したリゾート事業についても、同様に減価償却費が想定超

となり、セグメントでは前期よりも赤字幅が拡大した形での落着となりました。

 

進行期である2019年10月期の予算については、売上高が9.6%増の141億円、営業利益

は同42.1%増となる4.2億円と大幅反発を見込んでいます。ホーム介護事業については、

越谷・寝屋川公園の開業を予定しているほか、前期開業の宮崎台・静岡呉服町の入居

率の向上が貢献してくる見通しですが、本年2月半ばに開示された4半期毎入居データ

によれば、3ヶ月前の2018年10月から本年1月にかけての入居率は、65.0%のまま良化し

ていないため、足許では会社側計画を下回るピッチで進捗しているものとみられます。

なお、昨日3月6日には、老人ホーム2施設と調剤薬局1施設の減損合わせて▲0.8億円

を計上しており、1Q決算の開示を待たずして最終利益のみ減損分を修正しています。

 

当社は中長期的な業績目標値を特に開示していないものの、高級化をコンセプトとして

他社との差別化を進め、中長期的に業容を拡大する方針を採っています。国内事業に

ついては、静岡市の繁華街ど真ん中にある静岡呉服町に代表される、施設そのものの

高級化もさることながら、サブセグメントでリゾート施設の開業を進め、当社老人ホーム

の入居者にリゾート利用権を付することで、差別化を図っています。既述のとおり、この

リゾート事業単独では赤字となっているものの、函館・箱根・湯布院・石垣島の4施設の

開業が完了したため、やっと営業販促として訴求出来うるだけの駒が揃った印象であり、

今期から目論見通りに老人ホーム事業を側面支援出来るかどうかが注目といえます。

 

また、もう一本の成長の柱が海外事業であり、既に2011年から中国・青島で高級老人

ホームを開業しているほか、足許2018年6月にも「新華錦・櫻桃谷」を開業していますが、

3,000室の巨大プロジェクトである青島の「小蓬莱」は、2025年の開業予定のため、業績

への寄与はかなり先となります(※海外事業はまだ赤字)。

 

ということで、どちらかと言うと中長期的な業容拡大よりも、足許で60%台半ばの入居率

の改善が最優先事項かと思われますが、このように国内・外で新施設の開業を進めて

いるため、資金需要はいくらでもある状況となっています。ただ直近数期の業績は芳し

くなく、非現金支出である減価償却の溜まりもせいぜい年4億円程度なので、財務悪化

のピッチの方が早く、自己資本比率も前期比で3.2pts.悪化して、18.8%水準となりました。

そのため、タコ足配寸前となる年間配当8円でも過大な印象であり、昨日の減額修正時

に配当据え置きまで一緒アナウンスしてしまったのには、理解に苦しむ部分があります。

 


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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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