大和証券G入りで、業績モメンタムは再加速へ・サムティ(3244)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3244】サムティ(東証一部)  OP

現在値 1,994円/100株 PER8.17 PBR1.16 11月配当優待 5月配当

関西軸に投資用マンション開発、不動産再生販売等を行う。賃貸が安定収益柱。
配当金は5月・11月の年2回、合計77円のため、配当利回りは3.86%となります。

サムティは株主優待制度を実施しており、11月時点の3単元超保有株主に対して、当社

が運営するセンターホテル東京、大阪の宿泊券を各1枚ずつ進呈しております。これらを

1枚5千円として換算した場合の、3単元保有時想定配当優待利回りは約5.53%となります。

業績を確認していきます。なお、会社側の中間予想は非開示です。
■2015年11月期 売上高 384億円、営業利益 59.3億円 EPS 204円
■2016年11月期 売上高 524億円、営業利益 85.8億円 EPS 196円 
■2017年11月期 売上高 604億円、営業利益 101億円 EPS 234円 

■2018年11月期 売上高 842億円、営業利益 140億円 EPS 283円 

■2019年11月期 売上高 860億円、営業利益 160億円 EPS 240円 ce修正

□2019年5月2Q 売上高 478億円、営業利益 139億円 EPS 237円
□2019年8月3Q 売上高 717億円、営業利益 148億円 EPS 237円(10/2)

2019年5月中間期の売上高は前年同期比3.3%増の478億円、営業利益は同53.0%増の

139億円となり、期初予算との比較はないものの大増勢となりました。不動産事業につい

ては、傘下の住宅REITに対して、本八幡(100戸)・志賀本通(88戸)・熊本呉服町(54戸)・

神戸(46戸)などを一棟売りしたほか、外資ファンド等に対しても開発型賃貸マンションを

中心に15棟を売却したことが業績に大きく寄与しました。このほかにもホテルアセットも

売却しており、「エスペリアイン大阪本町」、「エスペリアホテル長崎」のほか、開発中の

「メルキュール京都ステーション」についても先行して土地を売却しており、これら開発

型案件の利益率が特に高かったことから、利益が一段と膨らんだものとみられます。


なお2019年11月期の通期予算については5月の時点で増額しており、売上高が2.0%増の

860億円(従予:UNCH)、営業利益は14.0%増の160億円(従予:150億円)に修正しています。

業績の原資となる前期の仕入高については125億円に留まっていましたが、期中での仕

入れが順調に進捗しており、今期の仕入れ予算250億円に対して2Q末の時点で9割弱を

確保(売上高ベースでは約574億円分を確保)しています。今期は一般投資家向けの投資

用マンションを縮小させる計画となっており、開発型賃貸マンション(14棟)と、再生流動化

41件の転売で数字を作っていく計画となっていますが、8月末に計21棟の賃貸マンション

を総額180億円超で傘下REITにバルクで突っ込んでおり(※後述)、結果として既に公表

済みの3Qの時点で通期の予算はほぼほぼ出来上がっているような格好となります。


今期は新3年中計「サムティ強靭化計画」の初年度となっており、3年後の2021年11月期

に営業利益200億円(CAGR12%)を目指すほか、その他のKPIとしてROE15%(実績16.9%)、

自己資本比率30%(実績37.9%)を設定しています。今回中計については、従来のP/L重視

の業績拡大戦略から一変して、アセット品質や財務余力の確保を優先したB/S温存志向

の強い内容になっており、傘下REITにおけるAUM残高の積み上げを目指すほか、REIT

向けに利回りの取れる地方での仕入・開発に注力するような組み立てとなっています。

実際に2018年9月には発行済株式数が1.5倍となるライツ・オファリングにより、149億円

もの巨額の資金調達で財務体質を大幅に改善させ、その布石を打ち終えていました。

 

ただ今年に入って明らかな方針転換をしており、既に傘下のREITには資本参加していて

提携関係にあった大和証券グループ本社が、本年5月にスポンサーたる当社の自社株の

処分と転換社債の割当を受ける形で127億円を出資し、当社持分の3割を握る筆頭株主に

躍り出ています。大和証券はかねてよりREIT事業に傾注しており、傘下にオフィス、住宅

に加えてヘルスケアの公募REITを運用しているほか、このほかにも住宅とホテルの私募

REITを含めると延べ5本のREITを抱えています。今後は同社運用REITへの物件拠出が

見込まれるほか、本年8月には大和証券が当社傘下REITの三社割当増資を“親引け分”

を除いて一手に引き受け、スポンサーとREITの親子で一層の関与を深めています。

 

また、今後は当社主導ながら合弁で公募のホテルREITを立ち上げる計画も進行しており、

2020年度までの組成を目指しているため、実際にこの上期に売却したホテルは公募REIT

のウェアハウジングとみられます。そのため、大和証券という大きな出口を得たことから、

中計で掲げる業績目標について、その達成蓋然性は飛躍的に高まったと考えています。


なお株主還元については、実績期より配当性向を30%水準まで切り上げており、今期は9

円増配となる77円配当(配当性向32.0%)を予想しています。5月に上方修正した際に配当

予想を2円増額して表記の金額となっていますが、今期の着地が上振れる場合は再増額

される可能性も十分にあろうかと思います。

 

*参考記事① 2019-03-26 1,473円 OP

150億円規模のライツ完了で、財務は一段良化・サムティ(3244)。

 

*参考記事② 2017-03-10 1,114円 OP

傘下REITの調達環境と金利影響が大きい、サムティ(3244)。

 

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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