外部成長なかりせば分配金3,300円目標・タカラレーベン不動産投資法人(3492)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3492】タカラレーベン不動産投資法人(東証REIT) OP

現在値 102,800円/1株 PER16.7 P/NAV0.98 2月分配/優待 8月分配/優待

タカラレーベンがスポンサー。オフィスと住宅を軸にホテルなども投資対象とする総合型。

予想分配金は2月・8月の年2回合計6,140円配で、分配金利回りは約5.97%となります。
 

タカラレーベン不動産投資法人は投資主優待制度を導入しており、2月・8月末に10単元

以上を保有する株主に対して、2,500円分のヤマダ電機優待券を進呈しておりますので、

10単元保有時における配当優待利回りは6.45%となります。

業績を確認していきます。当法人は昨年7月のIPOとなります。
■2018年8月期_1期 営業収益 3.7億円、経常利益 0.35億円 DPU 98円 

■2019年2月期_2期 営業収益 21.3億円、経常利益 11.7億円 DPU 3,392円(4/12)

■2019年8月期_3期 営業収益 21.5億円、経常利益 10.5億円 DPU 3,040円(6/26)修正

■2020年2月期_4期 営業収益 22.5億円、経常利益 10.7億円 DPU 3,100円(6/26)修正

2019年2月期_2期の営業収益は予想比10百万円増の21.3億円、経常利益は同32百万円

増の11.7億円となり、分配金は当初予想の3,300→3,398円へ98円上振れて着地しました。

収入面において、ポート全体の稼働率を期末の96.3%から98.3%へと引き上げた稼働率効

果による賃収増が効いたほか、旗艦物件である大井町NTビルにおいてLED化工事を実

施するとともに、電力をPPSに切替えたことで費用を削減しました。なお、利益超過分配

(OPD)を198円分出していますが、これは一時差異調整引当額(いわゆる“ATA”)であり、

出資金の払戻しではありません。


進行中の2019年8月期_3期の予算は、去る6月26日に修正しており、営業収益は1.2%増

の21.5億円、経常利益は11.3%減の10.5億円と大幅な減益を見込んでいます。分配金に

ついても3,398→3,040円と実に358円も減少します(うちOPD/ATA6円を含む)。テナント

の大型解約のあった旗艦物件の一つである東池袋のオフィスにおいて、既に埋め戻しが

完了しているため、賃料保証付サブリースがパス・スルー契約に切り替わる予定であり、

採算性が良化する一方で、昨年のIPO時の取得物件の固都税費用化が開始されること

から、これが165百万円分も利益を押し下げます。なお、期中3月にデットで鵠沼海岸の

商業施設を5億円(鑑定NOI5.5%)で取得しており、小規模ながらほぼ通期で寄与します。

 

当法人は期限の定めはないものの中期的な分配金目標を掲げており、固都税費用化等

の一時的な費用増を排除した現状の巡航分配金2,919円を、内部成長のみでも3,300円、

外部成長ありの場合で3,500円水準を目標としています。財務面については、鑑定上限

LTVを60%まで許容しており、現在のLTVは47.6%水準(※鵠沼取得後)となっているため、

となっているため、鑑定LTV50%までレバレッジを効かせた場合は約34程度の取得余力を

キープしていましたが、6月28日付でドーミーイン盛岡を25.2億円(NOI5.4%)で期中取得し

ているため、ほぼ50%に近づいているものとみられます。当法人は地方物件が多く、物件

価格の建物割合が高いので、減価償却によるCF創出が相対的に多く、これを内部留保

して追加資産取得原資とすることがしやすいREITですが、さすがにこの盛岡物件は金額

的に重いので、そろそろ財務改善を意図したPOが意識される頃合となってきました。

 

足許の株価も、昨年年7月の上場時の公募価格である@96,000円を大きく上回る水準で

推移しているほか、NAV近傍まで埋めてきているため、株価的には特に問題ない状況で

あり、スポンサーのタカラレーベン側も本業の住宅を中心にパイプラインが14棟以上溜ま

っているため、拠出意向は高いと考えられます。当法人は実は需給の逼迫している地方

のオフィス物件(地方はホテル供給はあっても、オフィス供給が殆ど無かった)を結構保有

しているので、そちらを益出しして利回りを作りながらスポンサー開発の地方の住宅物件

を組み入れていくのが基本シナリオかと思われ、現状6%近い分配金利回りを維持しつつ

組み立てていくものと予想します。

 

*参考記事① 2018-12-27 86,200円 NT

ヤマダ電機の旗艦物件取得はまだ遠いか、タカラレーベン不動産投資法人(3492)。

 

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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