ヤマダ電機の旗艦物件取得はまだ遠いか、タカラレーベン不動産投資法人(3492)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3492】タカラレーベン不動産投資法人(東証REIT) --

現在値 86,200円/1株 PER--.- P/NAV--.- 2月分配/
優待 8月分配/優待

タカラレーベンがスポンサー。オフィスと住宅を軸にホテルなども投資対象とする総合型。


予想分配金は2月・8月の年2回合計6,300円配で、分配金利回りは約7.30%となります。
タカラレーベン不動産投資法人は投資主優待制度を導入しており、2月・8月末に10単元

以上を保有する株主に対して、2,500円分のヤマダ電機優待券を進呈しておりますので、

10単元保有時の配当優待利回りは7.88%となります。

業績を確認していきます。当法人は7月のIPOとなります。
■2018年8月期_1期 営業収益 3.7億円、経常利益 0.35億円 DPU 98円 

■2019年2月期_2期 営業収益 21.1億円、経常利益 11.4億円 DPU 3,300円(10/22)

■2019年8月期_3期 営業収益 20.9億円、経常利益 10.3億円 DPU 3,000円

2018年8月期_1期の営業収益は、予想比3百万円増の3.7億円、経常利益は同25百万円

増の0.35億円となり、分配金は当初予想の26円→98円へ、72円上振れて着地しました。

数字自体が小さいのは、上場1期目の運用期間が僅か33日で巡航していないことに起因

するものであり、それにも拘わらず分配金が大幅に上昇したのは、減価償却費の見立て

が保守的だったことが主な要因です。なお利益超過分配(OPD)が41円分出ていますが、

これは一時差異調整引当額(いわゆる“ATA”)であり、出資金の払戻しではありません。


進行中の2019年2月期_2期の予算は、運用期間が181日となって巡航期間入りするため、

実績比較はないものの、営業収益は21.1億円、経常利益は11.4億円を見込んでいます。

1期同様に減価償却費が見立てを下回る見通しのため、上場時に開示した予想を既に

上回っており、分配金は従来予想の2,905円→3,000円へと95円増額されています(うち

OPD/ATAを5円含む)。旗艦物件の一つである東池袋のオフィスで大口解約が出ており、

期初時点の稼働率は82.8%まで落ち込んでいますが、本年9月からスポンサーのPM会社

と保証有りのML契約を既に締結しているため、(池袋のオフィスで保証有りを選択してし

まう経営判断の適切性は別問題としても、)ダウンサイドの手当てはなされています。

 

なお、財務状況については、上限LTVを60%まで許容しており、現在のLTVは49.7%水準

となっているため、概算で140億円程度の取得余力があるとみられますが、既に決して

低くない水準なので、外部成長はPOに頼る形になるかと思います。ただ足許の株価が、

本年7月の上場時の公募価格である@96,000円を大きく下回る水準で推移しているほか、

NAV割れしている状況とみられるため、現時点でアテに出来る状況ではありません。

 

その一方、スポンサーのタカラレーベン側は本業の住宅を中心に、商業施設やホテル等

のパイプラインが20棟以上溜まっているため、拠出意向が高いと推察される状況であり、

鑑定価格と取得価格に差のある一部の地方オフィスビルを売却して、譲渡益で利回りを

作り、NAV割れでも無理やりPOを強行してくる可能性についても留意した方がいいかも

しれません(※手前の期の利回りだけは良化するものの、既存投資主価値は毀損する)。

 

また、当法人がIPOする際の最大のウリであった、ヤマダ電機がマイナースポンサー(5%)

に入ることにより、同社のオフバランスニーズの受け皿としてのトロフィーアセットの取得

(旧池袋三越、新宿駅前など)の取得が期待されるところですが、適当な大きさでシェアア

ウトしない限りデカ過ぎるのと、当法人が要求する利回り目線に到底合ってこない可能性

が高く、中期的目標とする1,500億円位までAUMを拡大させてからの話となりそうです。

 

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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