傘下REITが無事にPOローンチ、鴻池組も連結化へ・積水ハウス(1928)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【1928】積水ハウス(東証1部) ---

現在値 1,758円/100株 PER8.70 PBR1.02 1月配当株主優待 7月配当

鉄骨主力の住宅首位。リフォームや保育園など非住宅事業も展開。海外育成中。
配当は1月末・7月末の年2回合計81円配当のため、配当利回りは約4.61%となります。

積水ハウスは株主優待制度を実施しており、1,000株以上を保有する1月の株主に対して、

魚沼産コシヒカリ5㎏を進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.77%となります。

(※同利回りは1,000株保有時。5㎏=3,000円、と仮定した場合における想定の利回り)

業績を確認していきます。
■2016年1月期 売上高 18,588億円、営業利益 1,496億円 EPS 120円

■2017年1月期 売上高 20,269億円、営業利益 1,841億円 EPS 175円

■2018年1月期 売上高 21,850億円、営業利益 1,955億円 EPS 193円 

■2019年1月期 売上高 21,603億円、営業利益 1,892億円 EPS 186円(3/7)

■2020年1月期 売上高 23,670億円、営業利益 2,050億円 EPS 201円 ce
□2019年7月2Q 売上高 10,500億円、営業利益 910億円 EPS 91.5円 


2019年1月期の売上高は前期比同水準の21,603億円、営業利益は同4.2%減の1,892億

円となり、期初予想との比較では未達となったものの、中間時点の減額予算に対しては、

超過達成となりました。請負型の戸建事業が西日本豪雨による天候不順もあり落ち込ん

だほか、賃貸住宅事業についても物件の大型化にともない開発申請や近隣対策に時間

を要して苦戦しました。また、国際事業についても、米国において賃貸住宅2棟を中国系

の投資家に売却する予定だったものの、中国当局による資本流出規制により、お流れと

なったことが響きました。一方、日本生命に国際赤坂ビルの持分25%を400億円超で売却

したほか、傘下REITに「リッツカールトン京都」の持分40%を178億円(鑑定NOI4.0%)で

売却したことで、320億円の物件売却益を積み上げ、修正予算を達成させた格好です。


進行期である2020年1月期の予算については売上高が9.6%増の23,670億円、営業利益

は同8.3%増の2,050億円を予想しています。請負型の戸建住宅、賃貸住宅両事業について

は反発を見込んでおり、実際に期初時点での受注残高は1年前と比べて、戸建住宅で14%

増、賃貸住宅で2%増を抱えており、実績期のズレ分もあり順調な滑り出しが期待されます。

また、マリオットとの協業により全国の「道の駅」の隣で、合計15施設の宿泊特化型ホテル

を開設する計画となっていることから、その受注が確定しています。国際事業については、

実績期で売り損なった米国賃貸住宅2棟を販売する計画となっており、セグメント営業利益

は今期も高水準で推移するとみられることから、全社業績も大きく底上げされる公算です。


今期は第4次中計(3ヵ年)の最終年度となっており、当初は売上高23,830億円(CAGR5%)、

営業利益2,300億円(CAGR8%)を計画していましたが、事実上断念した格好となりました。

本中計では従来型ビジネスである戸建住宅や、賃貸住宅の伸びは元より殆ど見込んで

いませんでしたが、実際のところは趨勢減となってしまいました。また、成長ドライバーと

して期待されていた海外事業についても、上述のとおり販売が上手く進んでおらず、資本

の回転が効いていないため、約8,000億円とも推定される海外資産のエクスポージャーに

ついては、今後は少しずつ減らしていくものとみられます。

 

その一方、2018年5月に傘下のREIT2法人を合併させて、資産規模4,000億円超の総合型

REITに纏め上げており、キャピタルリサイクリングモデルの構築が進みました。足許の5月

23日には、410億円のグローバル・オファリングによるPOをローンチしており、スポンサーで

ある当社が赤坂ガーデンシティの一部を287億円で拠出するほか、本町南ガーデンシティ

の一部も209億円で拠出する予定となっています(売却予定日は6月10日)。このほか、中

堅ゼネコンの鴻池組を本年10月に連結子会社化するため、進行期中の2020年1月期には

営業利益で30億円オンされるほか、巡航化する2021年1月期には、およそ150億円程度の

営業利益寄与が期待されるため、中計はほぼ確実に未達ではあるものの、中長期的には

非住宅事業の基盤が築かれつつある点については一定の評価が可能かと考えています。

 

なお、財務面については引き続き余裕のある状況であり、自己資本比率は5割弱の水準

をキープしています。そのため、既に配当利回りで4%台後半となる高配当を吐き出してい

るものの、今期も2円増配の81円配当を予想しているほか、ROE基準として10%を設定し、

今期は10.8%→11.3%に引き上げる計画であるため、場合によっては追加で自社株買いを

繰り出してくる可能性もありそうです。

 

*参考記事① 2018-12-11 1,634円 ---

賃貸住宅鈍く中計達成は困難だが、高還元路線に陰りなしか・積水ハウス(1928)。

 

 

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基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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