賃貸住宅鈍く中計達成は困難だが、高還元路線に陰りなしか・積水ハウス(1928)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【1928】積水ハウス(東証1部) ---

現在値 1,634円/100株 PER8.87 PBR0.95 1月配当株主優待 7月配当

鉄骨主力の住宅首位。リフォームや保育園など非住宅事業も展開。海外育成中。
配当は1月末・7月末の年2回合計79円配当のため、配当利回りは約4.83%となります。

積水ハウスは株主優待制度を実施しており、1,000株以上を保有する1月の株主に対して、

魚沼産コシヒカリ5㎏を進呈しておりますので、配当優待利回りは約5.01%となります。

(※同利回りは1,000株保有時。5㎏=3,000円、と仮定した場合における想定の利回り)

業績を確認していきます。
■2015年1月期 売上高 19,127億円、営業利益 1,465億円 EPS 130円 
■2016年1月期 売上高 18,588億円、営業利益 1,496億円 EPS 120円

■2017年1月期 売上高 20,269億円、営業利益 1,841億円 EPS 175円

■2018年1月期 売上高 21,850億円、営業利益 1,955億円 EPS 193円 

■2019年1月期 売上高 21,600億円、営業利益 1,850億円 EPS 184円 ce修正
□2018年7月2Q 売上高 10,026億円、営業利益 786億円 EPS 83.8円 

□2018年10月3Q 売上高 14,881億円、営業利益 1,140億円 EPS 120円(12/7) 

2018年7月中間期の売上高は前年同期比0.7%減の10,026億円、営業利益は同11.6%減の

786億円となり、予算との比較はないものの、コンセンサス比下振れでの着地となりました。

請負型の戸建事業が西日本豪雨による天候不順もあり落ち込んだほか、賃貸住宅事業

についても物件の大型化にともない開発申請や近隣対策に時間がかかったため、これら

2セグはトップライン段階から減少しました。また、一次取得者向けの土地分譲事業なども

同様に落ち込んだものの、その一方でタワーマンションの分譲は堅調に推移しました。


なお、2019年1月期の通期予算に関しても中間時点で減額しており、売上高が前期比0.3%

増の21,660億円(従予:21,850億円)、営業利益は同5.4%減の1,850億円(従予:2,000億円)に

それぞれ修正しています。減額修正の内訳は、賃貸住宅の受注減少で▲90億円、国際事

業における豪州開発において、容積率緩和が議会承認を受けられなかったことによる計画

見直しで▲70億円、となっています。ただ足許においては、4月より実施した営業体制改変

効果が徐々に発現している模様であり、毎月開示されている月次受注によれば、戸建住宅

は前年同月比2桁増の受注ペースに復元しているほか、4Qに米国における賃貸住宅一棟

売りが控えていることなども踏まえると、通期落着はややマシな数字になるとみられます。


今期は第4次中計(3ヵ年)の中間年度となっており、最終年度である2020年1月期に売上高

23,830億円(CAGR5%)、営業利益2,300億円(CAGR8%)を計画しています。本中計では従来

型ビジネスである戸建住宅や、賃貸住宅の伸びは殆ど見込んでおらず、ストック型に分類

されるリフォームやフィービジネスに軸足を移すほか、成長ドライバーとして都市再開発や

海外事業に最注力する方針となっています。実際の動きとしては、本年5月に傘下のREIT

2法人を合併させて、資産規模4,000億円超の総合型REITに纏め上げたため、規模の拡大

により物件拠出がし易くなったほか、REIT自体のプレゼンス拡大による成長の加速が期待

出来るようになりました。また、海外事業の受注残高も3Q時点においては前年同月比3割

増の1,500億円まで積み上がっているため、REITや海外に関しては順調と言えます。

 

然しながら、これまで利益の柱であった賃貸住宅の落ち込みが想定を超えて推移している

ものと推察され、実際に当社顧客の場合は地べたを保有している地主の相続対策が多く、

所謂“アパート融資の貸し渋り”の影響は限定的とみられるものの、実際には地方案件を

中心に受注が低迷してしまっていることから、本中計の達成は困難と考えています。

 

なお、財務面については引き続き余裕のある水準をキープしており、自己資本比率は5割、

D/Eレシオも本中計期間中は0.5倍まで許容しているものの、それを下回る水準で推移して

いるとみられます。そのため、既に配当利回りで4%台後半となる高配当(年79円配)も十分

に維持可能ですし、9月に実施した2百万株の自社株買い(約33億円、0.29%)は額としては

小規模ながら、株主還元余力を示すという意味でアナウンス効果があったと考えています。

また実際にROE10%というハードルも課しているため、追加の自社株買いも期待出来ます。

 

 

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基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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