業績未達続き、優待目的以外では手掛けずらい・ラックランド(9612)。 | なちゅの市川綜合研究所

なちゅの市川綜合研究所

「別に勝たなくてもいいので、負けないこと」を志向しております。
本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報等に基づき、作成されています。
当ブログの情報に全面的に依拠することはお控えいただき、最終的なご判断はご自身でお願いいたします。

IMG_5151.jpg

【9612】ラックランド(東証1部) --

現在値 2,226円/100株 PER30.4 PBR2.82 12月配当優待 6月優待

食品、飲食業向け主力の店舗企画、設計、施工会社。メンテナンスに強み。
配当は6月末・12月末の合計25円配当のため、配当利回りは1.12%となります。

ラックランドは株主優待制度を導入しており、6月末・12月末時点で単元株以上を保有する

株主に対して、3,000円分の東北地方特産品を進呈しておりますので、配当優待利回りは

約3.81%となります。なお、3月末・12月末現在の単元株主に対して、ギフトクーポン(割引)

券も発行しておりますので、そちらもフルに利用した場合の利回りは約6.06%となります。

業績を確認をしていきます。
■2015年12月期 売上高 297億円 経常利益 7.5億円 EPS 63.9円
■2016年12月期 売上高 349億円 経常利益 11.1億円 EPS 90.9円
■2017年12月期 売上高 311億円 経常利益 9.6億円 EPS 89.1円 

■2018年12月期 売上高 428億円 経常利益 4.0億円 EPS 11.4円 

■2019年12月期 売上高 450億円 経常利益 10.0億円 EPS 73.1円 ce
□2018年3月1Q  売上高 68.2億円 経常利益▲3.3億円 EPS▲25.4円 

□2018年6月2Q  売上高 210億円 経常利益 2.2億円 EPS 13.6円 ce

2018年12
月期の売上高は前期比37.7%増の428億円、経常利益は同58.2%減の4.0億円と

なり、売上高は予算比で上振れしたものの、利益については大幅未達となりました。前期

からずれ込んだ紀伊白浜のホテル大型リノベ案件が1Qで約40億円も売上寄与したことや、

主な増収要因となりますが、食品工場・物流倉庫の企画制作事業や商業施設の企画制作

事業において、大手デべや電鉄系顧客の開拓により大型改装案件を獲得したことなどが、

トップライン伸長に寄与しました。その一方で、利益については、不採算案件が少なからず

あったことに加え、新卒・中途社員の育成と戦力化が想定以下に留まったため、人件費と

外注費が大幅に膨らむ格好となり、全社利益を大きく押し下げました。


進行期である2019年12月期通期予算については、売上高は5.0%増の450億円、経常利益

は149%増の10.0億円を計画しており、主要2部門(スーパー、フードシステム)における受注

残高については、前年比ほぼ変わらずの87億円を確保しています。実績期の利益低迷の

要因となった新卒・中途社員の大量採用社員(100名)が一定程度戦力化してくる見通しと

なっており、売上高はもとより、外注費の削減による利益率の良化が見込まれます。なお、

4月26日にはで1Q決算の開示がなされており、売上高は前年同期比37%減の68.2億円、

経常利益は同赤字転落の▲3.0億円とかなり見栄えの悪い数字に仕上がっていますが、

会社側は「計画通りの進捗」、とアナウンスをしており、通期予算を据え置いています。


当社は目下10年間の長期計画を走らせており、2025年12月期に売上高500億円を目標と

しているほか、そのマイルストーン的な位置付けとして、実績期を最終年度とする3年中期

計画で売上高400億円・経常利益15億円を目指していましたが、売上高はまぁ兎も角、

益については大幅未達での落着となりました。一応、3年中計期間が終了したこともあり、

数字の置きなおしをしており、4年後の2022年12月期に売上高500億円、経常利益20億円

を改めて目指す計画です(売上だけは長期計画の前倒し達成が視野に入るとみられる)。

 

基本的な戦略として、当社は祖業である冷凍冷蔵設備工事の強みを活かして内装受注に

繋げつつも、他の電気工事や給排水・空調設備工事、防災設備工事などの付随の工事に

ついても業者を個別にMAしてグループに取り込んで、フルライン一括受注が出来るような

体制を採っており、これが同業内装他社にはない強みとなっています。昨年2月には墨東

工業という民再法適用となった金物制作会社を4億円程で買収(年商不詳)しているほか、

同年1月には日本ピー・アイという照明商社も買収(年商7億円)して、駒を揃えています。

特に、墨東工業はベトナム子会社の年商が1億円を超えており、次期3年中計の鍵となる

アジア展開における“橋頭保”としての役割が期待されます。

株主還元については、今期予想を含む直近4期では年25円の配当を据え置いています。

同業者であるスペースや船場が好財務を背景に配当性向40~50%超の水準でガンガン

株主還元しているのと比較すると非常に見劣りしますが、当社は実質無借金であるこれ

らの2社よりも財務が悪いので仕方ありません。ただ、配当利回りが4.5%~5.0%に達する

これら2社の配当利回りはさておくとしても業界最大手級で体力差のある丹青社で3.5%、

乃村工藝社で1.7%の配当利回りを出していること等も考慮すると、全方位的にバリュエ

ーションが出てしまっている当社の選好順位は最劣後となり、株主優待ありきの銘柄と

なってしまっているところは割引要素かもしれません。

 

*参考記事① 2018-11-08  2,916円 --

3Qまでの低進捗を巻き返せば中計達成だが・・ラックランド(9612)。


*参考記事② 2017-04-20 2,041円 --

商業内装業者の中ではグロース銘柄、ラックランド(9612)。

 

 

会社四季報 2019年2集・春号 [雑誌]

新品価格
¥2,200から

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 

特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


このエントリーをはてなブックマークに追加にほんブログ村