染色大手・ソトー株式を買い集めへ、日本毛織(3201)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3201】日本毛織 (東証1部) ---

現在値 852円/100株 PER11.7 PBR0.70 5月配当優待 11月配当優待

羊毛紡織の有力会社だが、利益柱は商業施設賃貸。介護・売電も展開。
配当は5月末・11月末の年2回22円配当のため、配当利回りは2.58%となります。

ニッケは株主優待制度を導入しており、5月末・11月末に単元株を保有する株主に対し、

500円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約3.75%となります。

業績を確認していきます。 
■2015年11月期 売上高 1,028億円、営業利益 73億円、EPS 62.2円
■2016年11月期 売上高 1,009億円、営業利益 76億円、EPS 67.8円
■2017年11月期 売上高 1,034億円、営業利益 83億円、EPS 71.5円

■2018年11月期 売上高 1,113億円、営業利益 80億円、EPS 71.9円 ce
□2018年5月2Q 売上高 532億円、営業利益  35.7億円、EPS 31.4円

□2018年5月3Q 売上高 791億円、営業利益  54.3億円、EPS 52.5円(10/12)

2018年5月中間期の売上高は前年同期比2.4%増の532億円、営業利益は同12.4%減の

35.7億円となり、中間予想との比較はないものの、増収減益となりました。主力の衣料

繊維事業において、羊毛原料高騰にともなうコストアップがあったほか、学校服用素材

の備蓄時期調整の影響を受け減収減益となりました。また、産業機材事業については

昨年10月に買収したプラント設備輸出入商社・エミーのフル寄与があったものの、車載

電装品FAの受注が少なかったため、増収減益となりました。その一方、不動産事業に

ついては「ニッケパークタウン(加古川)」の改装効果と、介護施設の入居率UP、保育園
の新規稼働効果もあり、増収増益を確保し、全社業績を下支えしました。

2018年11月期の予算については期初予想を据え置いており、売上高が9.2%増の1,130

億円、営業利益は4.2%減の80億円を予想しています。衣料繊維事業では原材料高騰の

影響が依然として色濃く影を落として苦戦していますが、産業機材事業においては自動

車向けの不織布や縫製糸が堅調に推移しているほか、FA・計測器についても足許の受

注が持ち直しています。不動産事業は「ニッケコルトンプラザ(市川)」の一部改装休業が

響くものの、介護と保育が寄与し、当該セグは2桁の増収を確保する見通しです。今期

9期連続の営業増益の達成がかかりますが、3Q時点では少々雲行きが怪しい状況です。


当社は2019年11月期を最終年度とする中計「NR130一次中計」において、3年後に売上

高1,200億円(CAGR6%)、営業利益90億円(CAGR6%)を目指しています。この中計期間で

260億円の投資を行う計画であり、衣料繊維事業における高機能材の研究開発費用や、

中国におけるフィルターの製造、加古川・市川の2大商業施設の改装等に資金を投じて

いく計画となっています。

 

このように、基本的には本業絡みのオーガニック成長を企図して投資を進めていくものと

みられましたが、昨年10月に産業商社のエミー(年商22億円)を買収したほか、本年8月に

は、毛織物染色大手であるソトー(3571)の株式95万株を買い集めしており、発行済株式

の8.4%を握って、筆頭株主(9.2%)であるダイドーリミテッド(3205)に次ぐ第2位株主へと躍り

出ました。ソトーとは元より協業関係にあり、生産設備連携や染色加工における技術強化

をシナジーとして挙げていますが、“青息吐息”であるダイドー社がソトー株を手放すこと

まで視野に入れた上で動いている可能性もあり、運よく持分法適用に出来れば、ソトーは

保有不動産が多いため、様々な意味において業容拡大の大チャンスであると言えます。

(ソトーはかつてスティール・パートナーズに目を付けられて悶絶大増配させられた歴史が

あり、大株主対応の経験値が高いので、当社はあくまで友好的に手掛けると思います)

 

一方、株主還元に関しては配当性向30%(ROE7%)を基準としているため、配当は22円を

据え置く方針です。ただ当社はほぼ実質無借金であるとともに、200億円にも及ぶ投資

有価証券を保有しているため、盤石な財務状況を維持しており、還元余力は甚大です。

そのため、目標ROEである7%基準を意識してなのか、今期は既に11億円(1.36%)に及ぶ

自社株を買い切っており、今期の予想総還元性向は増配なしでも50%を超えてくる公算

です。ただかつてはフル還元だった時代もあるため、より一層踏み込んだ株主還元に期

待したいところではあります。

 

*参考記事① 2018-03-11  1,051円 --

一転して8期連続の営業増益を達成、総還元性向も50%超へ・日本毛織(3201)。

 

*参考記事② 2017-09-29  1,020円 --

減益予想から一転、8期連続の営業増益にリーチ・日本毛織(3201)。

 

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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