一部指定替時の増資回避も、その後のMSワラント発行は案外。スター・マイカ(3230)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3230】スター・マイカ(東証一部) --

現在値 1,487円/100株 PER12.0 PBR1.59 5月配当優待 11月配当優待

中古区分所有マンションへ投資し賃貸と売却を組み合わせて物件運営。
配当金は5月末・11月末の年2回で合計32円で、配当利回りは2.15%となります。

スター・マイカは株主優待制度を実施しており、100株以上の5月末株主に対して1,000円

のクオカードを進呈しているほか、11末の株主には2,700円相当の美容・健康・生活関連

商品(基本的にノエビアの入浴剤)を進呈しておりますので、これらを合算した場合の配当

優待利回りは約3.96%となります。

業績を確認していきます。
■2015年11月期 売上高 193億円、営業利益 24.6億円 EPS 61.6円
■2016年11月期 売上高 209億円、営業利益 32.5億円 EPS 92.7円 
■2017年11月期 売上高 230億円、営業利益 35.7億円 EPS 114.2円 

■2018年11月期 売上高 260→300億円、営業利益 36.6→39.2億円 EPS 118.4→123.8円 ce
□2018年5月中  売上高 175億円、営業利益 29.8億円 EPS 100.1円 

□2018年8月中  売上高 235億円、営業利益 34.9億円 EPS 112.9円(9/27) 

2018年5月中間期の売上高は前年同期比42.7%増の175億円、営業利益は同31.2%増の

29.8億円となり、期初の予想水準を大幅に上回って着地しました。本業の中古マンション

販売/賃貸事業については、新築物件の価格高止まりを背景に伸び率が再加速したほか、

インベストメント事業については、上期に予定していた一棟卸物件が予定通り引渡された

た上、想定超の売却額となったため、今上期も物件転売で数字を作った格好となりました。

2018年11月期の通期予算も中間決算後に修正しており、売上高が30.0%増の300億円(従

予:260億円)、営業利益は同9.9%増の39.2億円(従予:36.6億円)へと其々増額しています。

中古マンション販売事業は例年下期以降に数字が集中しやすい傾向があり、実際9月末

に既に開示されている3Q決算によれば、当該セグでの順調な数字の積み上がりが確認

出来ます。一方、3Q単独期間では、インベストメント事業の売上高は皆無であり、4Q単独

期間でも数字があがってこない可能性がありますが、増額後の通期予算に対して足りない

数字は僅かなので、本業の中古マンション販売だけで十分に達成可能かと思われます。

 

当社は本年1月に新5年中計として前中計をローリングしており、最終年度である2022年

11月期に売上高230→500億円(CAGR17%)、営業利益は35→70億円(CAGR15%)という、

かなり強気な定量目標を掲げています。この強気予想の背景には順調な販売用不動産

の増加(簿価ベースで448億円、コスト控除後の含み益123億円)により数字が見えている

ことや、累計販売件数の積み上がりによりデータベースが高度化し、仕入や販売の確度

が良化したこと、AIに代表される“不動産テック”との融合によりデータベースそのものが

改善したことが理由にあるとみられます。

 

また、そもそもの成長策として、本中計期間の5年間で、中古マンション販売事業における

不動産の残高を2倍以上となる1,000億円へ積み上げる計画となっているため、その財務

的布石として、本年9月にUBSに約40億円分のMSワラントを発行しています。基準日の

株価よりも行使下限が高く、希薄化率も7.2%止まりなので既存株主に配慮されたワラント

ではありますが、足許の株価は行使下限価格を大きく下回る水準で推移しており、元より

“お守り”的性質と解されるものの、これは全く調達出来ずに終わる可能性も高そうです。

一部上場時にPOがなかったものの、自己資本比率は3割弱に回復していたので、あとは

デットでやりくりするとみていただけに案外ですが、やはり資金ニーズは根強いようです。

 

かような背景もあってか、これまで増配傾向を継続【7.5→9→14.5→23→29→32円(予】

しており、中長期的な配当性向目標である30%までは高い配当成長が続くものと考えて

いましたが、既にアナウンスされた今期の期中増配も僅か1円幅にとどまっており、財務

温存を意識し始めた可能性がありそうです。そのため、今期も期末にかけ更なる再増配

があるかと思いますが、好業績に比して増配幅は低めに抑えられるものと予想します。

 

*参考記事① 2018-03-13  2,256円  --

ローリング後の新中計は強気路線へと回帰、スター・マイカ(3230)。

 

*参考記事② 2017-09-23 1,538円 *分割修正済 --

東証一部指定も、予想外の増資“不発”。スター・マイカ(3230)。

 

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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