エレキ製品の市況活況受け急回復、近鉄エクスプレス(9375)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9375】近鉄エクスプレス(東証一部) --

現在値 2,351円/100株 PER30.7 PBR1.45 3月配当優待 9月配当優待

国際航空貨物混載大手の一角。国際網充実。商船三井が2位株主。
配当は3末9末の年2回計26円配当のため配当利回りは1.11%となります。


近鉄エクスプレスは株主優待制度を導入しており、3末/9末に単元以上を
保有する株主に対して、500円相当のクオカードを進呈しておりますので、
配当優待利回りは約1.53%となります。なお、1年以上保有を継続した場合
は1回あたりのクオカードが4倍の2,000円となりますので、その場合の配
当優待利回りは2.80%となり、利回り的には一気にジャンプします。


業績を確認をしていきます。
■2014年3月期 売上高 2,815億円 営業利益 137億円 EPS 130円
■2015年3月期 売上高 3,271億円 営業利益 165億円 EPS 145円
■2016年3月期 売上高 4,205億円 営業利益 153億円 EPS 135円
■2017年3月期 売上高 4,743億円 営業利益 130億円 EPS 62円

■2018年3月期 売上高 5,250億円 営業利益 150億円 EPS 76円 ce修正
□2017年9月中 売上高 2,624億円 営業利益 68.7億円 EPS 34円(11/9)

 

2017年9月中間期の売上高は前年同期比15.4%増の2,624億円、営業利益

は同47.3%増の68.7億円となり、期初予想を上回って着地しました。日本の

航空輸入はエレキ製品、輸出については半導体関連が市況活況の影響で

取扱数量が大幅に伸びたほか、東南アジアもエレキ製品の伸びや販売の

拡大により、航空・海上ともに前年比3割強となる力強い伸びを示しました。

前期大幅減収となった米州もエレキ製品や穀物が伸びて巻き返したほか、

またAAPLも堅調に推移したため、全てのセグで増収増益を確保しました。

2018年3月期通期の予算も中間時点で増額しており、売上高が10.7%増の

5,250億円(従予:5,000億円)、営業利益は15.1%増の150億円(従予:135億円)

に修正しています。半導体・電子部品等のエレキ製品の需要が世界的に

増加しており、(利益よりも)取扱数量を優先させてきた当社の拡大戦略が

うまくハマる形で、今期もトップラインから2桁の成長を見込んでおります。

一方で利益に関しては、上期の上振れ分しか積み増しておらず、保守的

に見えますが、下期から取扱数量増に応じた人員増加や航空会社への

支払運賃の増加といった原価の増加が利益を抑える要因となりそうです。

今期は2019年3月期を最終年度とする3年中計の中間年度となっており、

本年3月に減額ローリングした後の目標値は、売上高が5,680億円、営業

利益が180億円になっています。市況による追い風の要素が強いものの、

今般の業績修正で営業利益150億円が見えたため、来期にはAAPLとの

システム統合費用が年13億円→7億円程度に落ちること等を踏まえると、

今期の上振れ着地を前提に、かなり達成確度が高まってきた印象です。

“質より量”を志向し、「航空70万t・海上70万TEU」という取扱目標のKPIを

掲げていた中での定量目標達成(見込)は大変力強く、AAPLとのシナジー

効果がまだ殆ど発現していない状況ですので、意義があると言えそうです。

(※AAPLの“のれん償却”は、2036年まで年60億円強もかかるので注意)

 

株主還元については、配当金推移が【18.5→20→23→26→26→26円(予】

となっており、大苦戦となった前期で増配基調がストップしてしまい、今期

も据置の26円配予想となっていますが、既述のとおり今期は業績の順調

な推移が確認されるほか、コンセンサス予想(経常利益/会社側修正予想

150億円vsCons.161億円)もさらに切り上がっている状況ですので、今期は

いよいよ増配基調の奪回が視野に入ります。

 

ちなみに当社の外野では、同業フォワーダーの郵船ロジスティクス(9370)

が、親会社の日本郵船(9101)に5割弱のプレミアムを乗せて完全子会社化

TOBをかけられ、市場から姿を消す見通しとなりました。海運市況に苦しむ

郵船側の都合や、業種的にシナジーを生みやすいという背景もありますが、

この上乗幅を払っても、好況なフォワーダーの業績をフルに取り込みたい

という意向を確認出来た点は、非常に意義が深いと思われます。(※なお、

シナジー効果や親会社の財務、当社の財務および時価総額を考慮すると

近鉄による当社へのTOBはまずありえないと思われます。)

 

*参考記事 2017-08-20 1,780円

中計減額も、足許の回復基調は強め・近鉄エクスプレス(9375)。

 

*参考記事 2016-12-14  1,780円 --

APLL買収寄与も利益まだ先、近鉄エクスプレス(9375)。

 

 

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