ペッパーに時価総額逆転許す、試される古参・吉野家ホールディングス(9861)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9861】吉野家ホールディングス(東証1部) --


現在値 1,833円/100株 PER56.0 PBR1.87 2月配当優待 8月配当優待

牛丼屋の老舗、国内2位。収益源の『吉野家』を直営軸に全国展開。
配当は年2回の合計20円配で、配当利回りは約1.10%となります。

吉野家ホールディングスは株主優待として、2月末8月末に100株以上を
保有する株主に対して、3,000円分の食事券を進呈しておりますので、
配当優待利回りを算出した場合、約4.36%となります。

業績を確認していきます。  
■2014年2月期 売上高 1,734億円、経常利益 32億円、EPS 13.5円 
■2015年2月期 売上高 1,800億円、経常利益 39億円、EPS 16.2円 
■2016年2月期 売上高 1,857億円、経常利益 23億円、EPS 13.1円 
■2017年2月期 売上高 1,886億円、経常利益 27億円、EPS 19.3円 

■2018年2月期 売上高 2,020億円、経常利益 51億円、EPS 32.5円 ce  
□2017年8月中 売上高 976億円、経常利益 24億円、EPS 19.9円(10/6)

2017年8月中間期の売上高は前年同期比4.5%増の976億円、経常利益は

同2.1倍増の24億円となり、期初計画水準を確保しました。主力の吉野家

の既存店が概ね前年以下の水準で推移したほか、社保適用対象の増加

により人件費が膨らんだものの、外販事業の強化や積極的な新製品の投

入でカバーしました。一方ではなまるについては新店効果に加え、アプリ

の投入や、吉野家との相互送客を意図した「天ぷら定期券」の投入により

当該セグはトップライン段階から13%の増収を果たしております。


なお2018年2月期通期の売上高は7.1%増の2,020億円、経常利益は85.4%

増の51億円の期初予想を据え置いています。下期6ヵ月の出店は3,117→

3,207店と90店の純増計画に修正しているため、当初147店だった通期の

店舗純増計画数は14店ほど下方修正された形となります。通期の既存店

売上高前提も、吉野家が102.4%と荷もたれ感があるため、好調なはなまる

やアークミールで相殺して、概ね予算線を確保する可能性が高そうです。

 

今期は中計の中間年度であり、2019年2月期に売上高2,100億(CAGR4%)・
営業利益60億円(CAGR55%)の数値目標を置いています。初年度から未達

だったため暗雲が立ち込めていましたが、丁度折り返し地点となる今上期

である程度キャッチアップした印象を受けます。基本的には、はなまる及び

海外出店(FC)による成長とカウンター改造や自動洗浄による生産性向上策

が増収・増益施策となりますが、既述の人件費増(社保適用増加)にくわえ、

本年8月に米国産牛肉の関税引き上げが発動したため、こうした構造的な

原価増が非常に重いため、中計の達成確度は決して高くないと思われます。

 

中国だけで300店強を擁する期待の海外事業についても、足許では上手く

いっていない模様であり、中国は減速・インドネシアも出店遅れ・マレーシア

は赤字(?)・アメリカは出店難、とそれぞれの国で課題を抱えている状況です。

 

そのため、中長期的な成長展望がしずらい状況にまた陥ってしまいましたが

昨今の肉ブームは当社(アークミール)にとって追い風であり、新興のペッパー

フードサービスに時価総額で抜かれるというエポックメーキングな出来事は

あったものの(ペッパー社14百億円・当社12百億円)、吉野家・どん・VOLKSと

いう肉系の有名3業態を擁する当社の事業ドメインは決して悪くありません。

外食系屈指の好財務を活かし、是非“肉”のシナジーを活かした次のMAに

期待したいと思います(ラーメン屋のせたが屋ではシナジーが出ずらいため)。

 

*参考記事① 2016-11-17 1,539円 ーー

構造苦も海外展開には改めて期待、吉野家ホールディングス(9861)。

 

*参考記事② 2016-11-17 1,539円 ーー

上期未達も「せたが屋」買収と本社ビル売却は評価、吉野家HD(9861)。

 

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