通期減額も、はや未達圏。株主還元強化に期待・西松屋チェーン(7545)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【7545】西松屋チェーン(東証1部) ---

現在値 1,288円/100株 PER15.2 PBR1.38 2月配当優待8月配当優待

ベビー・子供衣料と生活雑貨のロードサイド大型店を全国展開。
配当金は2月8月の年2回計21円で、配当利回りは1.63%となります。

西松屋チェーンは株主優待を実施しており、100株を保有する2月・8月の

年2回・各1,000円分の株主優待カードを発行しておりますので、配当優待

利回りは3.18%となります。別途、長期優遇制度(※3年)もあります。

業績を確認していきます。
■2014年2月20日期 売上高 1,276億円、経常利益 55億円 EPS 45.0円
■2015年2月20日期 売上高 1,285億円、経常利益 55億円 EPS 49.3円
■2016年2月20日期 売上高 1,328億円、経常利益 61億円 EPS 58.2円
■2017年2月20日期 売上高 1,362億円、経常利益 80億円 EPS 79.0円  
■2018年2月20日期 売上高 1,405億円、経常利益 81億円 EPS 84.5円ce修正 
□2017年8月20日中 売上高 686億円、経常利益 35.2億円 EPS 36.9円(9/27)

2017年8月中間期の売上高は前年同期比0.7%増の668億円、経常利益は同

16.2%減の35.2億円となり、期初計画を下回りました。春物実需・夏物の伸び

悩みにくわえ、マタニティ用品の不振が響いたほか、利益面では人件費増加

が大きく影響し、経常利益ベースでは予算比で7億円強もショートしました。

なお出店については新店17店に対し、閉店3店だったため、純増15店となり

当上期末の総店舗数は922店となりました。

2018年2月期の通期予算も下方修正しており、売上高は前期比3.1%増となる

1,405億円(従:1,430億円)、経常利益は0.9%増の81.2億円(従:88億円)に其々

減額しておりますが、これは上期の凹み分くらいしか反映しておらず、下期の

秋物積極投入等による巻き返しが前提の修正予算のため、注意が必要です。

出店に関しては、通年で新店50店を目標としているため、そちらについても

やや過大感があります。なお、9-11月(3Q)期単独累計期間の既存店売上高

は台風影響もあり、97.1%まで沈んでいるため、予算割れ進捗とみられます。

 

当社は中長期的な業績の定量目標値を掲げていませんが、基本的な成長

戦略としては、出店によるトップライン増とPB商品自社開発による利益増の

二本が柱と思われ、(有名な話ですが)PB商品に関しては大手電機メーカー

のOBを再雇用して、少しずつSPAの色合いを濃くしてきています。出店に関

しては、従来の大型駐車場付きロードサイド店から、SCの居抜きのビルイン

でも出店するようになってきており、間口を広く取りに来ています。これは、

アマゾン等によるオムツのネット販売により、ベビー用品の購入チャネルが

これまでと大きく変化していることが理由として挙げられ、「オムツの安売りで

、ついで買い」させるというモデルが通用しにくくなっていると推察されます。


そんなわけで、業績面は構造的な苦しさがやや目立ってきたものの、無借金

かつ500億円弱の現金を抱えるチタン級の財務で、体力を持て余しています。

いくら出店を続けていても、基本はオールドエコノミーの成熟企業ですので、

今期21円の配当予想(性向25%)にくわえて、既に7億円ほどの自社株買いを

買い切っているため、総還元性向40%弱と相応の株主還元を行っています。

 

残念なのは、当社の大株主として(マイルドな)睨みを効かせていた、いちご

アセットのファンドが持分をどんどん処分して、残り7%になってしまったので

会社側は踏み込んだ株主還元をする理由が薄くなってきており、今期末で

500億円を超えてくる(と思われる)手許現金が、ブタ積みされ続ける可能性

が高くなってしまいました。会社側は個人投資家に対して、殆ど旨味のない

「3年以上の長期保有による追加の僅少優待導入策」を繰り出すなど、株主

還元を強化するフリだけして、お茶を濁す意向が強そうであり、この辺の株

主還元方針に関しては、なんとかしてほしいところではあります。


*参考記事① 2017-05-20 1,202円 ---
「グロース銘柄」としての評価余地が復活か、西松屋チェーン(7545)。

*参考記事② 2016-11-06 1,461円 --
中間増配はいちご処分売り対策か、西松屋チェーン(7545)。

 

 

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