カタログ通販からネット通販への脱却なるか、千趣会(8165)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8165】千趣会(東証一部) ーー

現在値 788円/100株 PER41.1 PBR0.78 6月配当優待 12月配当

「ベルメゾン」展開するカタログ、ネット主体の通販大手。頒布会に特徴。
配当は年2回の合計8円で、配当利回は1.02%となります。

千趣会は株主優待制度を導入しており、6月・12月末に100株以上を保有する
株主に対して、1千円分の商品券進呈していますので、配当優待利回りは
3.55%となります。なお長期保有により1年あたり500円ずつ商品券が加算

されるため、3年以上の保有で最大で5.45%の利回りが確保できます。

業績を確認していきます。
■2013年12月期 売上高 1,415億円、経常利益 46.3億円 EPS 93.4円  
■2014年12月期 売上高 1,425億円、経常利益 35.4億円 EPS 41.5円
■2015年12月期 売上高 1,343億円、経常利益▲25.4億円 EPS▲108円 
■2016年12月期 売上高 1,290億円、経常利益 16.7億円 EPS 27.3円 
■2017年12月期 売上高 1,350億円、経常利益 16.5億円 EPS 19.2 ce
□2017年6月中間 売上高 689億円、経常利益 7.5億円 EPS 9.6円 ce

2016年12月期通期の売上高は前期比3.9%減の1,290億円、経常利益16.3
億円と黒字転換したものの、期初計画を割り込みました。主力の通販事業に
おいて衣料品および服飾雑貨が低迷したため、通年での月次売上高は93.5%
と当セグメントだけで70億円近く減収しています。また、第二の柱である
ブライダル事業も梅田と千葉の新規開業で増収増益を果たし、全社の利益に
相当程度の貢献をしたものの、組数・単価は思うように伸びませんでした。

進行期である2017年12月期については、売上高が4.6%増の689億円、経常
利益は同1.4%減の16.5億円を予想しています(※営業利益ベースでは増益)。
主力の通販事業において、小幅な増収を予想しておりますが、Jフロントから
事業譲受を受けた通販会社の分のオン分が含まれるため、
実態としては減収
予想となり、利益面に関してもカタログの縮小や物流施設効率化などによる
原価低減策による要因が大きく、通販事業は依然として雌伏期が継続します。

また今期は2018年12月期を最終年度とする5年中計の4年目であり、残り2年
弱で売上高1,650億円・営業利益50億円(直近実績12億円)を目指していますが
マテリアルからは既に諦めムードが漂っています。やはり通販事業の底入れと
スマホシフトが十分出来ておらず、中途半端にカタログ通販も残しているので
どっちつかずの無駄が多い状況となっています。これは難しいところですが、
Jフロントとのシナジーを生むような協業を目指すのであれば、同社の顧客層
を考慮するに、カタログを安易に捨てられない部分があるものと推察します。

ただ通販以外のブライダル事業に関しては、持分法適用のワタベウエディング
が宿泊(雅叙園)などを中心に、思いのほか業績が好調に推移しており、同じく
傘下のディアーズブレインとドレスやアルバムなどの内製化を進めることで、
原価率削減が見込まれますので、本事業についてはやや良化の余地があります。

ワタベを単純合算するとブライダル事業の売上高は単独で600億円に及ぶため、
ここが当社評価の肝と言えます。今期ないしは来期辺りに通販事業を収益均衡
まで持っていければ、財務がマシなブライダル銘柄と見ることも可能であり、
そこまでいくとまた違った展開が待っているような気がします。詳細について
はコメントしませんが、今回の総会で買防策を廃止したのは気になります。



*参考記事① 2015-09-07 746円 --
Jフロント傘下で再建中、千趣会(8165)から株主優待が届きました。


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