ここ最近、計画相談の話がネタになっています。

当初は7月に再開する予定だったのですが、1か月前倒しで始まりそうです。それに合わせて、計画相談の計画作成支援システム導入の話も進んでいます。

 

今回は精神障害の方を主にした計画作成ですが、経験では全障害を担当しました。

計画相談支援だけでなく障害児相談支援として障害児の計画も作成をしたことがありますが、相談支援事業は果たして事業として成り立つものなのでしょうか。個人的には、単独では成り立たない事業かな、と思っています。

 

厚生労働省が公表した調査(障害者相談支援事業の実施状況等の調査)の最新版では、全国には10202の指定特定・指定障害児相談支援委事業所(サービス等利用計画を作成する事業所)があり、このうち市区町村から障害者相談支援事業(障害のことに関しての一般的な相談を受ける事業)の委託を受けている事業所(委託相談支援事業所)は全体の22%で、残りの78%は委託を受けずに計画相談支援・障害児相談支援(要はサービス等利用計画の作成事業)を行っているとのことでした。

(調査の出典:障害者相談支援事業の実施状況等について(平成31年調査)

 

今まで自分のいた事業所では、こんな感じでした。

・最初に計画相談を行った事業

 →事業としては単独事業所だけど、全体としては委託事業。ただし計画相談の部分に関しては委託はなく、単体事業として財政的な支援はなし。(ただし計画相談自体は市の方からやって欲しいといわれたのに、その点の支援は全くなし。)

・次の計画相談を行った事業所

 →委託相談支援事業所として財政的な支援を受けて事業を実施。事業所としては多機能事業所だけど、相談の部分に関しては委託事業として受けていた。

・今回の計画相談を行う事業所(今の職場)

 →事業として単独事業所で、全体としては就労継続支援B型の事業所に併設される形。委託なし。

 

最初の事業所では市の方から「何とかやってくれないか」と言いながらも「お金は出せない」という、なんともふざけた話。事業所としては地活Ⅰ型(この中で委託相談支援事業を行っている形)だったけど、計画相談の事業は「地活ではなく単独事業で行ってほしい」という始末で、本当にたちが悪い。不満を持ちながらもやっていましたね。

 

前の事業所では、完全に委託の形に。

地活Ⅰ型だったので、相談支援もセット。さらに計画相談も行ってほしいとのことで、ある程度財政的な支援を受けながら仕事をすることができたので、経営的なところはあまり気にすることもありませんでしたね。

 

そして今回は、単独事業に。

もっとも、今回の事業再開の経緯は地域に相談支援事業が不足していて、せめて自事業所(自分のところを利用している利用者さん)の分だけはやってもらえないか、との周囲の要請を受けて再開するに至った話。ただそのことを訴えている事業所は市から委託を受けている事業所なのだから、ある意味受けていくのは使命であって、基本的にNoと言わずに何とかしていくのが筋じゃないのって思ってしまいます。何しろその経験を前の事業所でやっていたので、委託を受けるということはどんな相談にもNoと言わずに受ける体制が必要なんじゃないの、と思っている自分がいます。その一方で市からは「自分たちのところだけじゃなくて、他も受けてくださいね」とくぎを刺されることに。確かにそうだけど、別に委託じゃないから自分たちのキャパシティの範囲でやらさせてもらうとしか言えませんしね。

 

まぁ今までの経験はこれくらいにして・・・本題に。

委託で相談支援事業を行っている事業所であれば市からの財政的な支援を受けることができるので、仮に計画の作成数が上がらなかったとしても何とかなる部分はあるでしょう。しかし委託を受けていない事業所は収入が計画の作成報酬だけなので、件数を上げなければ自分たちのお給料が出ません。されに新しく報酬改定がされ、相談支援専門員1人当たり1か月に40件以上の報酬を請求すると、40件目から1つ増えることに報酬が半減されるようにもなったので、効率よく請求するなら、1か月は39件までにするのが費用対効果として良くなります。

 

でもそれで実際にやっていけるのか。

仮に39件の請求を東京の区部(1級地)で行った場合、サービス等利用計画書を作った時は1642単位請求することができます。1級地の場合、1単位は11.2円なので1642×11.2=18390円、これに作成件数(39件)をかけると・・・71万7225円。1か月はこれくらい貰えるみたいです。

 

が・・・自分には1か月に39件も計画書を作ることはできません。

単純計算で1日に1件以上の計画を作成することになりますよね。で、計画を作成するときはちゃんとアセスメントを行って、十分に話を聞いて、どんなサービスを組み合わせていくか、サービスを使っていく上での留意点などをまとめなければいけません。その作業を1日でやって計画書に書き入れるなんて、自分にはできませんね。本当に中身のある計画を作るのであれば、そんな短時間で作ることなんて無理ですよ。さらに計画を作ったらご本人に説明して同意のサインをもらい、その計画書(ここでは計画案)を市役所に提出してOKが出たら、初めて計画書として認められる。もちろん市役所に出したのは計画案なので、ちゃんとした計画書を作成して、またご本人から同意のサインをもらって再び市役所に提出。この流れを1日で行うなんて、到底無理な話。

 

モニタリングに関しては、事業所に利用状況の確認が必要。

電話で確認することがあれば、直接事業所に行って確認をすることも。もちろん本人との面接も必要で、色々と話を聞いたうえで、現在の状況をまとめる。特に何もなければモニタリングの報告書を作成して、ご本人に説明して同意のサインをもらって市役所に提出だけど、もし内容を変える必要があればまた計画書を作成することになるので、当然プロセスが増えます。

 

こういった作業を丁寧にやっていくのであれば、利用計画書なんて数日で作れるものではありません。どうしても緊急に必要であるときは例外的な対応をすることもあると思いますが、基本的にはちゃんと話を聞いて、その話を受け止めて作成しなければ「誰の計画?」になってしまいます。全部コピペでいいなら作るのは簡単ですが・・・それって、相談支援専門員じゃなくても誰でもできることですよね。何のために相談支援専門員がいるのか。

 

そう考えると、月70万なんて額は、相談員1人だけの事業所ではあり得ませんよね。

前の職場では4人で作成してせいぜい50万円程度でしたから、単純に4で割ると1人当たりの作成額は12万5000円。委託事業なので人件費の支援もあるのでこの金額でもなんとかやっていけますが、単独事業所では無理ですよね。加算もあるけど・・・ハッキリ言って加算が当てにできるほどの単価でもありません。委託の場合は何とかなるともいますが、うちのような単独事業所ではやればやるだけ赤字になる事業所です。だからB型と一緒に運営することで何とかしていくしかないんですよね。

 

よく「私は相談件数を100件抱えている」なんて言う人がいます。

でもそれ・・・何の自慢にもなりませんよ。そんなに件数持っていてさばけるわけがない。内容も中身がない。相談支援専門員のコメントも「継続する」の一言って・・・あんたも何も考えていないの、って思います。地に根を張ったものをやっていくなら、もっと現実的な件数をやっていくしかないと思いますよ。自分の計画では、うちのB型でまだ計画を作っていない人・セルフプランの人を受け持って終わりかな。それでもトータルで40件だから、国の基準ギリギリの話。まぁ国の報酬請求議論も結局骨抜きの内容だと思っていますけどね。

 

本当にまじめに考えた時、委託を受けずに直営で行っている事業所の善意で成り立っているようなもの。正直介護保険のケアプラン作成がどうやって成り立っているのか知りたいです。不勉強なのでなかなか自分の領域外まで進んで調べることができていませんが、今の流れは完全に障害福祉と介護保険の統合を目指している状態。本当にこれでいいのか、甚だ疑問です。