先日の厚労省の審議会で、労働者派遣法改正へ向けて公益委員案が示された。
民主・社民・国民新党の三党が、政権交代前に既に国会に提出していた改正法案の内容がそのまま反映されたものかと思ったら、どうもそうではないようだ。その内容は、派遣法の抜本改正どころか、むしろいつでも切り捨て可能な派遣労働を残したい経済界側の意向が色濃く反映されているのだ。
派遣法の最大の問題は、派遣先企業が労働者を切り捨てるときに一切責任を負わないということであり、今回の見直しは、派遣先企業が責任を負うべきという点が極めて重要なポイントになる。ところが、提出された公益委員案では、三党案に盛り込まれていた
「育児休業を理由とする不利益取り扱いの禁止」
「未払い賃金に関する派遣先の連帯責任」
「性別を理由とする差別の禁止」
「団体交渉応諾義務」
など「派遣先責任の強化」が全面削除されているのである。
期間制限違反など、派遣労働者が違法に使われていた場合、派遣先が直接雇用したものとみなす制度も三党案から大幅に後退し、直接雇用した直後に使い捨て可能な内容になっている。
上記のほかにも、施行期日が実質5年後とする意見や、事前面接一部解禁などの規制緩和が盛り込まれる危険性も否定できない。
1999年、派遣法改正作業は、財界の後押しで 「密かに、静かに」 成立した。
その結果として現在の惨憺たる貧困社会を生む大きな原因となった。
日本の派遣法がどう改正されるか、いまが正念場であり、私たち働く者は、派遣制度を巧妙に残存させようとする動きを批判的に見ていかねばならないと考える。
先日NHKでリストラで職を失って1年経ってもなかなか仕事に就けない中高年や若者の厳しい再就職事情を放送していたのを拝見した。
新政府が打ち出したハローワークの相談窓口開設などの施策により、失業が長期化した人々が新たな救いを求めて次々と訪れているものの、現実はただの相談であって、再就職に到るわけではない。
10月の完全失業者数は344万人で、前年同月に比べて89万人増。12か月連続の増加となった。就業者数は6271万人で、前年同月比117万人の減少。就業も職探しもしない非労働力人口は4438万人で、同32万人増えた。
失業中の生活や就職活動を支える公的支援が失業給付金だが、45歳未満の失業給付の受給期間は被保険者期間が5年未満なら失業理由に関係なく90日だけだ。3月末の雇用保険法改正で給付を60日延長できるようになったものの、例えば会社都合で退職した労働者が90日の受給後に60日延長されたとしても、現状の「10人の求職に4人分」の求人しかない現状のもとでは焼け石に水で、仕事を見つけられないまま失業給付切れに陥る人が、今後も大量続出するおそれがある。
仕事がないままの失業給付切れの防止や、失業給付を受けられない人、期限が切れた人の生活支援など緊急にとりくむ必要があるのではないか?特に、失業給付の期限切れの問題では、「全国延長給付」を直ちに発動すべきだ。雇用保険法27条は厚労相の判断で全国的に給付日数を延長できると定めている。
ところが、厚労相は政令に定めた発動条件に満たないこと、職業訓練の受講者への給付金制度があることをあげ、「全国延長給付」の発動に消極姿勢を示した。
そういうところを見ると、政治家の現状認識として、今なお失業があたかも本人の努力不足であるかのような状況判断がなされているのではないだろうかと危惧する今日この頃である。
ここ数週間の国内株価の下落と急激な円高・ドル安で日本経済の「二番底」懸念が現実味を帯びている。日本の株式市場のその指標が示す限りにおいては、リーマン・ショックが起こる前よりも悪い状況になりつつあるようだ。
政府も今月20日の月例経済報告で日本経済は「緩やかなデフレの状況にある」と認めた。デフレとは、基本的には需要が供給に届かず、値段を下げないとモノが売れないという経済状況が生み出す産物であり、インフレでモノの価格が上がってしまう状況よりも性質が悪い。
人々が、必要最小限のものを、それも少しでも安く買おうと汲々としている様子が伝わってくる。言い換えれば、人々が不要不急の出費を抑え、効用が同じものならば、より安いモノへ流れるようになっている。
その根幹にあるのは将来への漠たる不安、無駄を抑えようという心理だ。
そのデフレを政府が認めながらも、その俯いたマインドを持ち上げるような政策は見えてこないことが、今の日本株式市場の根本的な問題だろうと思われる。
新政権誕生から数ヶ月、早くも政権に対する苛立ちから支持率がじわじわと下がりつつある。雇用対策が庶民にとって焦眉の急であり続けているにもかかわらず、臨時国会で雇用対策は主題にはならない。国会審議事項にしなくても早急に打てる雇用対策は相当あると思われるのに、そこへの政治的関心は表面化していない。
リーマンショック以降の一年間極限まで我慢を強いられてきた挙句、更なる景気悪化という底なしの恐怖に、いま失業・求職中の人々から絶望にも近い声が聞こえ始めており、早急な対応を願うばかりだ。
戦後最悪の雇用情勢に好転の兆しがみえるという。
総務省が先月末に発表した労働力調査によると、9月の完全失業率は5.3%で二カ月連続で「改善」した。しかし、世間で感じる風は好転どころか、深刻化だ。この違いはなぜ生じるのか。さらに体感されている失業率はどの程度なのか。
今日の東京新聞に興味深い特集が組まれていたので、以下一部を抜粋させていただいた。
<以下、抜粋>
「今月で失業給付が切れた。早く何とかしなくては」。
工場などで大量リストラされた人々が緊急入居した神奈川県営いちょう上飯田団地に住む男性(46)は途方に暮れる。今年1月、派遣切りで職を失い、それ以来、仕事を探し続けている。「再び派遣切りで職と住まいを失うことは避けたい」と身分の安定した正社員を希望する。
しかし、ハローワークで見ても、新聞広告を見ても求人は請負や派遣ばかり。「以前は、条件が悪くても正社員の募集があったのに…」。就職のめどはまだ立っていない。
今年7月、国内の完全失業率は過去最悪の5.7%に達したが、その後、毎月0.2ポイントずつ「改善」され、9月には5.3%になった。しかし、同月の完全失業者の実数(原数値)は363万人で11ヶ月連続で増え、前年同月比で92万人増となった。
失業者は増えたのに、失業率が下がった。どういうことなのだろうか?
雇用情勢は本当に改善されたのか。「違う」と断言するのは、派遣ユニオンの関根秀一郎書記長だ。「昨年末に失業した多くの人々は夏まで失業給付を受け、求職活動していた。でも給付が切れた。生活ができないため、最近は短期間のアルバイトやパートで何とかしのごうとしている」。
労働力調査では、実際は失業中でも月末の一週間にアルバイトなどで一時間でも働けば、就業者で失業者ではない。従って、上記の求職者もアルバイトをすれば、就業者だ。
関根さんは「これが『改善』の中身だ。再就職の困難が逆に失業率を好転させている」。
と説いた。
総務省が先月10月30日発表した労働力調査によると、9月の完全失業率(季節調整値)は5.3%となり、前月比では0.2%ポイント低下と改善したと発表された。
この「明るい兆し」のニュースに、実感できない違和感を感じる人々も多いだろう。
統計上の失業率の算定方法だが、「完全失業者数」のカウントの条件は「仕事がなく、職探し中で、すぐに仕事に就ける」ことを前提とする。
このカウントに含まれないのが「非労働者人口」(上記失業者の3条件のいずれかに該当しない人)であり、その数が急増しているという。いわゆる「職探し中」に当てはまらない、職探しそのものをあきらめた人々であり、その人々が再就職をあきらめれば、失業率は『改善』してしまうのだ。
さらに危惧しているのは、最近の求人の賃金がデフレ傾向にあることだ。
最近のハローワーク求人を見ても、賃金が安い求人が増えている。採用側企業も、多少待遇面を悪くしても応募者が増えることを想定して、つまり、求職者の足元をみて採用し始めた。
例えば失業給付期間が終了しても仕事が見つからず、今就職しなければ生活が破綻しかねない求職者が、アルバイトなど期間雇用で「食いつなぐ」という「就業者」が増加していると聞く。これも最近の失業率を一時的に『改善』させている要因ではないかと思う。
見せかけの改善数値で楽観されてしまう怖さが官庁発表の統計数字にはある。
新たな予算措置が執られない失業者対策が、このような楽観からくるものでないよう現実を直視してもらいたいものだ。
解散総選挙で一旦廃案になった労働者派遣法の改正作業がいよいよ動き出す。新政権には期待したい。
今年6月のこのブログで書いた通り、私は登録型派遣には反対の立場であり、労働者の働き方に多大な影響を与えるこの議論について大変な関心を持ってこの動向を注視している。
しかしながら最近、派遣法改正についてまた不穏な動きが出てきているようだ。
先日の新聞で、派遣労働のあり方を見直す厚生労働相の諮問機関「労働政策審議会」の委員に、当時、派遣法の規制を緩和した主要メンバーでもある労働省局長が加わっていたことが判明した。要するに諸悪の根源を生み出した張本人が何故かまた委員として派遣法改正論議に発言しているという。
また、鳩山連立政権では公約であったはずの派遣法改正に対して、文部科学大臣を筆頭に、民主党内にすら派遣法改正への慎重姿勢をとる勢力が発言力を増しており、改正作業がなかなか進まない。
さらに私が最近少し気になっているのは、テレビの街頭インタビューや、mixiなどのインターネット投稿サイトなどで、一般の人々の中でも、「派遣をなくして正社員化すると雇用の調整弁が失われ、企業自体がつぶれかねない。そうなれば失業者が増えるのではないか」と論じる人々が少なくないことだ。この理論は経営側が安く労働者を使える派遣法を維持したい宣伝文句として使われてきた理論なのだが、いまや一般の人々が経営側の主張に同調してしまっているのである。
2000年代初めの大企業の業績回復には、派遣法による自由な労働者の使い捨てによるコスト削減は企業の利益拡大に大きく貢献した。
しかしその利益は、人件費に回らず内部留保として企業に溜め込まれており、その莫大な資金は余剰人員となった従業員のために使われる事はなかった。企業の業績は伸びたが、労働者の生活は向上しなかったのである。
「派遣をなくせば失業者がふえる」という理論はすでに破綻している。それはもう今日の惨憺たる現実が証明している。
日本の派遣法がどう改正されるか、いまが正念場である。
私たちは、派遣法を巧妙に残存させようとする動きを批判的に見ていく必要があると考える。
新政権になり、公務員OBの天下り問題が追求されている。
先日も新聞紙上では、厚生労働省所管の独立行政法人による不正な委託費の流用や、入札に関する不透明さが指摘されていた。
毎年、補助金や交付金という名で投入される税金は約6兆にのぼると言われ、ここから捻出される大金が天下りをした元中央省庁の幹部OBに流れたり、接待費や使途不明な調査費などに使われているなどと公表されることが多くなった。
このようなニュースを見るたびに、生活苦や雇用不安にさらされている庶民からすれば、まさに天下り問題は時代劇でいう「悪代官」のイメージがオーバーラップしてくるほどだ。
厚生労働省といえば我々の「雇用」に関する諸問題を取り扱う機関であり、そこで決定される様々な方針や施策が勤労者の生活へ与える影響は大きい。
その厚生労働に関する外部団体として、ハローワークや人材銀行以外にも様々な団体が設立されているのをご存知だろうか。
財団法人産業雇用安定センター、社団法人雇用問題研究会、財団法人日本職業協会など。利用したことのない人からすれば、どのような業務をしているのかなかなわからないものだ。
先日、長年勤めた会社をリストラされ、再就職活動を開始した方が、人事からの勧めもあり、出向・移籍という形で再就職支援をしてもらえる財団法人があると聞き、利用したという方から話しを聞いた。
その方の話しによれば、その財団法人へ期待して何度も窓口に通ったものの、紹介される求人企業はハローワークでいつも同じ公開求人している企業や、生命保険の勧誘の仕事など、その財団法人の独自性が全くない情報ばかりなので利用をやめたという。
この法人について私は名前の特定はしないし批判するつもりはないが、この財団法人、やはり役員の殆どが元官僚天下りなのだそうである。
今回の景気悪化で最も打撃を受けた業界の一つが、転職支援ビジネスの人材紹介業だったわけだが、最近の転職ビジネス市場を見ると、撤退する業者と同じくらいのテンポで新たに人材紹介ビジネスに参入する会社が増えてきているようだ。
その会社の多くは、人材紹介を専業として発足するというよりも、自社の本業の商売が低迷しているため、自社に「人材紹介事業部」という部門を新設してスタートしている。
例えば、システム開発運用会社。本業の受託請負の低迷により求職するエンジニアの増加を好機として紹介事業部を新設するケース。あるいは建設業界での建築関係スペシャリスト紹介や、医療業界では医師、薬剤師などの有資格者紹介など、いずれもいままで紹介業とは無縁と思われていた会社が名乗りを上げている。
これに加えて、労働者派遣法問題で渦中の人材派遣会社が派遣法改正をにらんで有料職業紹介事業へ営業をシフトさせるなど、不況にもかかわらず競争が厳しい業界となっている。
しかしながら現実には企業求人数は低迷し、人材ビジネスの市場はまだまだ厳しい。古くから人材紹介業を営んできた会社から多くのコンサルタントが業績不振で会社を去ったり、固定給なしのフルコミッション(成功報酬)での仕事を余儀なくされているベテランコンサルタントの窮状を耳にしている。
こうした状況なのだから、真新しい戦略もなく単なる売上げ目的で未経験の人材ビジネス分野に安易に参入してもうまくいかないのは目に見えており、実際に短期で撤退してゆく事業者も多いようだ。
人材紹介ビジネスは、それが登録型であれスカウト型であれ、転職希望者のキャリアや方向性など、インタビューを通したコンサルティングが必要で、繊細さが要求されるビジネスである。それが今は、御自身がいままで転職経験がないのに転職アドバイスをする素人コンサルタントが増えていたり、相談したのに、案件紹介もなく音信不通となるといったクレームも増えているようだ。
失業率が急上昇している現在、転職希望者は信頼出来るパートナーを切に望んでいるのだから、不況を人材獲得の好機と、営利のみを考えている新規参入企業が業界モラルを低下させないか危惧している。
いずれにせよ、人材そのものにValue(価値)を見出さない今の日本の閉鎖的な状況が早く改善されることを望む。
完全失業率は雇用や失業の実態を客観的に把握するための定義としてILO(国際労働機関)が定めた基準に基づいて求めた失業率の国際基準だが、では「失業者」とはどのように定義されているのだろうか?
求職活動をあきらめている、いわゆる「求職意欲喪失者」などについてはILOに準拠した統計を作成するいずれの国においても失業者に含まれていない点で、その実態の把握の仕方が各国でも曖昧な点では目安に過ぎないのは言うまでもない。
だが、私たちが発表で聞かされる失業率 5.xx%という数字、どうも日本の「失業率」の集計の現実を知ると、実勢に合わないのではないかという疑いを持たざるを得ない。
例えば、こうだ。
・調査期間を1年間と仮定し、この1年間の中で『1度でも』就職した人は、就業者とみなされる。たとえば1日だけしか働いてなくてもその人は、就業者とみなされるのだ。従って、調査期間中に1度も働けなかった人だけを失業者とみなされるのである。言い方を変えれば、1日だけ働いて364日働けなくても就業者とみなされる。
・不況で開店休業の商店店主とか、個人事業主などフリーで働いていて仕事が取れなくなった人たちは、1人もカウントされていない。
日本はハローワークに求職登録して全く働かない状態でなければ完全失業者にならないのだ。
これらを見ても、国が発表している失業率が実勢に合わず、いかに低めに設定されているかを垣間見るのである。実態としては、発表されている「完全失業率」を大きく上回る失業者が存在することを総務省統計局も認めている。「失業率の実態は10%を超えている」という指摘を否定していないことは興味深い。
選挙を控えた政府が明るい論調で景気が回復しつつあると宣伝するその実体は、企業による大規模なリストラによる人員コスト削減に依存しているところが大きいようである。








