2019年7月20日(土)午前10時51分 山形県山形市/山形駅


8.山形10:52発→仙台12:10着 普通828M/仙台行き モハE721-1010
 往路と異なる4両固定編成がいた。4人分全てが空いたボックスシートはないため、車端部のロングシートに座る。こちらもやはり左側の景色を狙う。
もも「まだ序盤なのに飛ばそうったって、あと1回。」
さく「ああ、それはまだ後で。」


 北山形は3路線全てに相対式ホームを有している形となっており、仙山線は概ね中央部を1線スルー式で通す構造。なおE721系は日よけが省略されており、熱線や紫外線などを吸収する緑色の窓ガラスが用いられている。
めぐ「…一応、ここはこれで。」
なぎ「3回目ならもういいだろ。」
もも「4回目よ、あともう…。」


 羽前千歳で山形(新幹)線から外れる。かつては奥羽本線として、仙山線からの直通も設定されていたと…。
もも「アンタもアンタで楽よね…、後で調べりゃいくらでも。」
なぎ「調べて加えろったの誰だっけな?」


 山形県の県庁所在地たる山形市。その"中心"になる山形駅は、この日合計14分いただけで終わった。
さく「乗り換えだけだもん、こんなもんでしょ。」
もも「こんなもんったって…、同じホーム1本でさ。何かしようってのもないし。」
さく「だって前にタワーも上がったし、今回別に用もなかったし。」


 山寺は観光地らしく、駅前もそのような雰囲気を見せている。玄関口はやはりこちら側だ。
めぐ「ま、ここからも結構。」
なぎ「あきらめんな。」


 そのまま県境の山々へ進んでいく。傘を置き忘れたまま雨も降っており、この後の予定にどのような影響を及ぼすか…?


 トンネル途中で宮城県仙台市に入る。トンネルから抜けると窓の外側が曇り、これを『冷蔵庫現象』と名付けた昔話になる流れ。内部の温度が低温で安定しており、高温の外部に出てきて結露を起こすため。
さく「…見えないじゃん。」
もも「ってかこの辺、何もないでしょ。」


 やがて奥新川に停車。秘境感を思わせる雰囲気ながらも、ここは仙台市に位置。JRが定めている"特定市内"の範囲にある。
なぎ「…ある?」
めぐ「…多分ない。」


 周辺にめぼしい人工物があるわけでなく、車窓はただひたすらの自然美。それ以外に何を求めることもない。


 作並に停車したE721系。ご丁寧にも、市販のプランターで『作並』と表している。
さく「よくできてるもん。」


 熊ヶ根から陸前白沢にかけて渓谷美と橋が組合わさるも、タイミングを合わせられない。
もも「…いいんじゃない?わざわざ今日じゃなくたって、」


 もうすぐ愛子。住宅が増えてきた向こうは、青空も見せている。
めぐ「ごめん、寝る。」
さく「あ、寝てなかったんだっけ?」


 以降は同じ仙台市でも住宅が多く、比例して本数も多い区間。かくして左沢線の往復乗車を果たし、今朝の出発点となる北仙台に戻ってきた。


 東照宮の次は仙台。空もいつしか晴れ模様で、夜にかけて心配はなさそうだ。
さく「…これ大丈夫かも。」
なぎ「…そうだといいよな。」


 左沢を出て119分、本来スタートとすべきだったであろう仙台に到着。隣からは福島県のラッピング編成が、仙山線として発車する。
もも「ようやくここで落ち着いたし。」
めぐ「じゃあ、買って食べて…。」


 朝食から時間は経過せずとも、米を入れたくなったのでコンビニ売店へ。買ったら後で食べるとしよう。
めぐ「…ごめん、またいい?」
もも「あのさ…、利府行くのにようやく落ち着こうって。」


9.仙台12:18発→岩切12:28着 快速5571D/石巻行き HB-E211-8
 発車直前のハイブリッド車両がいたので、勝手に乗りたくなったからと乗車する。どうせ2駅なので、立ったままでいいだろうか。
なぎ「…意味あんのか?」
めぐ「せっかくだし…、次もゆっくりしたくて。」


 10分足らずで岩切へ。利府支線はホームが完全に離れていた。
さく「まあ、時間ないよりいいでしょ。」
もも「いいけど…、また何。どうすんの?」


 せっかくなので31分というこの空き時間、駅の改札から外へ出よう。新しい自由通路と橋上駅舎を持つ、岩切駅を視察するにはちょうどいい時間だ。


 南口の駅前は典型的な住宅地となっており、その狭さから見て出入口が元々なかったと想像できる。遠目には新幹線が通るような高架橋も見られ…。
めぐ「…はい、次。」
さく「…ないね、こっちは住むだけの。」


 自由通路からは仙台方向の線路や、仙台の市街地を眺められる。近くには集合住宅が大きく構えている以外、ほぼ低層建築物しかないため見通しがいい。手前には側線が広がっていた。
もも「家ばっかりだもん、何も邪魔しない。」


 橋上駅舎そのものに目立ったデザイン性はなく、エレベーターが設置されるといった機能性を重視した構造。券売機で購入する際に待合室が背になるよう向いており、ガラス張りの内部を見たところ椅子は埋まっている。
なぎ「休みたいんだろ。」
めぐ「…一応見てから、メモ書きの時間かなって。」


 当然ながら、もう一方の出入口も見ておくのが礼儀というもの。北口の駅前にはロータリーがあり、バス路線がいくつか発着。元々地上に駅舎を構えていたと想像できる。こちらもやはり住宅が多いようで、店らしい店はあまり見当たらない。
さく「こっちも多分、なさそうかも。」
(つづく)
 

 

2019年7月20日(土)午前9時18分 山形県西村山郡大江町


 途中に大昔のガソリンスタンドらしき看板を発見。今となってはほぼ見かけないものかと…。
さく「丸いんだよね、ああいう。全般的に。」
なぎ「そうそう、それで昔とか。結構。」


 改めて洋式トイレに乏しい中で、なんとか用を済ませられた。ではもう1つ気になっている交流ステーションで、残りの時間を過ごそうか。
もも「結局そうなったし。時間だけ余らして、することない。」
めぐ「…もだけど、朝食べてないんだよね。」


(現)小岩井ミルクとコーヒー(キリンビバレッジ) 税抜98円
 そして水分と共に、朝食を確保しておきたかった。こういう立地で24時間営業は必ずしも必要なく、ドラッグストアが大いに役立つもの。甘めな"モーニングコーヒー"と共に、惣菜パン2つを選択。
もも「いや…、さ?店はないんだけど?」
さく「そう、だからこういうのしか。それにさ…。」

(現)大きなメンチカツ(山崎製パン) 税抜128円
 もはや定番の肉食系ドーナツ。それでもこの肉感はやめられない、それが『大きなメンチカツ』。

(現)まるごとソーセージ(山崎製パン) 税抜108円
 こちらは意外にもご無沙汰だったり。ホットドッグとも異なり、味付けが加熱されたからしマヨネーズ。手軽なそれこそ『まるごとソーセージ』。
さく「結構がっつりしてるし。」
めぐ「で、お昼にお米をね…。」

(現)十六茶(アサヒ飲料) 税抜84円
(現)グリーンDAKARAやさしい麦茶(サントリー) 税抜78円

 他2品はここからの水分補給用だ。ここからもそこそこ移動時間がかかるため、手元には余裕を持たせておきたい。
もも「…やっぱり時間だけ余らして終わったんじゃないのよ。」


 せっかくなので大江町交流ステーションについても取り上げよう。どうも外観は"櫓"をイメージしたらしく、外壁も石垣を意識した装いという。内装も地場の『西山杉』を使用したとあり、天井など木のぬくもりを感じさせた。(引用:大江町観光物産協会)
さく「それとさっきからさ、妙なのが聞こえてくるんだよ。」


 中は休憩スペースのほか、売店や各種展示コーナーなど。大江町の各種動画も流れており、時折流れる"ひだりじゃない"というフレーズが耳に残ってしまう。
もも「…あれ、アンタ傘は?」
めぐ「…あれ?」
なぎ「…置いてきたな?」


 ここまである種"ジンクス"のようなものを信用し、雨が降りそうな様相の時には買ってでも持ち歩いていたビニール傘。どうやらトイレに入った際、置き去りのまま忘れてしまったらしい。過去手元にビニール傘を持っていれば雨降らず、曇り気味な空の下で傘を持っていなければ…。そういうこと。
さく「ま、仙台だと晴れてたかもだし。なんなら途中でも。」
めぐ「じゃあ…、そうしようかな。」
もも「本当今日、不安しかないんだけど。」

 ということで左沢の"散策にならなかった散策"はここまで。少々の距離を隔てれば道の駅と温泉があり、本数が限定されるもののバスが通じている。次に来る機会があれば、ぜひそちらも楽しみにしたいものだ。


7.左沢10:11発→山形10:51着 普通334D/山形行き キハ101-13
 復路も同様にオールロングシート、トイレのない専用気動車を2両連結。この便こそ、当初到着する計画だった折り返しにあたる。傘がないならばジンクスからして、今回は結構不安だ。
もも「アンタの計画なのに、雨が降ったら全部だめとかさ。」
めぐ「一応…、そのために2日連続で。」


 では往路と対になるよう、左側の景色を見ていこう。しばらくは山のほうを向いている…。
さく「…何かない?」
もも「そればっかりだし、ないならパス。」


 羽前高松は片面ホームに新しい待合室とトイレ、隣接して高松地区の公民館がある無人駅。簡素ながらも雰囲気はなかなかよさそうだ。
めぐ「降りるわけにいかないもん。」
さく「そりゃそうだよ、次…。昼過ぎるし。」


 車内から改めて寒河江の近代的な橋上駅舎と、左沢線の車両基地を見ておきたかった。しかしどうもやはりタイミングは難しい。するとここから、客が一気に乗車してくる。
さく「いいじゃん、調べて出てくるもんだろうし。」


 往路ではヒマワリ畑を見た羽前長崎。ホームの反対側は住宅が多い景色となるが、こちらもタイミングがしっくりこない。おまけに雨も降ってきた。
もも「ほらやっぱり…、傘置いてきたのが悪い。」


 羽前金沢の付近に来れば、左側がひたすら田畑の広がる風景となる。初夏に植えられた苗が青々と育ち、秋になればやがて黄金色に染まり。稲穂が実っていくのだろう。


 福島から通じてきた東北中央自動車道。2025年時点では相馬から東北自動車道を挟んで、新庄真室川まで1本でつながっている。山形から先、秋田県まで1本で繋がるのはいつになることか…?
もも「本当、免許もね…。」
めぐ「…ようやく新車でってのに?」


 東金井に停車したキハ101。復路は左側に座ったため、住宅街の景色を向いている。
なぎ「あんま邪魔すんなよ。」


 北山形は3路線(左沢線,仙山線,奥羽本線)全てに相対式ホームを有している形。あとはそのまま山形まで、1067mmの線路を仙山線と共用する。
さく「後はもう流れでいいでしょ。」


 トイレなしオールロングシートで40分、特に不満もなく到着。単線ですぐ隣から発車するとわかった以上、1分乗り換えでも勝算はあった。
もも「随分余裕かましてたけど、完全に確信犯ね。」
なぎ「…これ座れるか?」

 これにてひとまず山形を後にした旅行班。仙台市内へ戻って向かう先は利府、そして…。
(つづく)

 左に沢で"あてらざわ"。

 

2019年7月20日(土)午前8時29分 山形県寒河江市/寒河江駅


 寒河江は数少ない有人駅にして、折り返す便も多い拠点駅。1面2線の島式ホームであり、先に入っていた山形行きが隣から発車するタイミングだ。せっかくなので気分転換がてら、外へ出よう。
もも「そうそう、この時間大事って。」
さく「言ってたけど、まあね…。」


 ここで後ろ2両を切り離し、前2両はワンマンとなる。ここまでは4両となっていたため、ワンマンで運転することができなかった。
もも「ってか、切り離すシーンってんでしょ。」
めぐ「…そうだけど?」


 近代的な橋上駅舎が上に架かっている。この駅は2001年まで若干異なる位置に有したらしく、かなり以前の鉄道雑誌にて移転工事が完成したことを取り上げていたと覚えている。
めぐ「完成までなんか、バス代行とかあって。」
なぎ「そんなもんよく覚えて…。」


6.山形7:50発→左沢8:44着 普通327D/左沢行き キハ101-12
 北仙台から北山形を経て、目立っていた運動部の高校生。西寒河江までに全て下車していった。
さく「これでようやく楽になれるよ。」
もも「いや、だからさ…?そういう。」


 以後はすっかり空きの多い車内。周囲も再び開けて羽前高松へ。ここまで見る限り、電化されていないだけで完全に通勤路線のそれである。
なぎ「じゃあこういうロングで、トイレなしがいいってか?」
めぐ「まあ、ここだけで終わるならね。1時間ぐらいだし。」


 高台のようなところへ上がってきた。柴橋の次は、路線の終着駅たる左沢。最後にトンネルを2つ抜ける。
めぐ「…あれ?」
さく「別にトンネルの1つ2つ、奥多摩だってそう。」


 向かいの足元を見れば、置き忘れられている水筒が1つ。
もも「多分さっきの子たちのよ。」
さく「そのままってわけにもいかんし…、どうするよ?」

 山形から54分で到着。乗車時間も限られているため、オールロングシートでも問題にならない。ホームは1本だけであり、寒河江からは1列車しか乗り入れられない。


 駅舎は大江町交流ステーションを併設しており、なかなか大きいもの。もっとも駅機能は1階の一部分に集約されているため、実質はそこまで大きいものでなかったり。
もも「さすがに早いでしょ、今朝…。」
さく「後でしょ、時間あるじゃん。」


 日本海側に位置する内陸の"まち"だけあって、おそらく冬は雪が多く降るのだろう。駅前へ通じる道には消雪パイプが埋め込まれ、路面が赤茶色くなっている。
めぐ「これ、あるとこう…。」
なぎ「なんかパイプの鉄分とかが出るんだってな。」


 大江町の地図があるのでとりあえず見ておきたい。駅を基点として、歩いて回るルートがいくつか用意されている。当初計画では10:04着の予定となっており、12:54発までじっくりと回れたことだろう。
もも「そうそう、場所を確認するのもね。大事なこと。」
なぎ「じゃあ、行くか。」


 今回は予定を早めたため、90分を切る滞在時間。そんな限られた時間で、自己流で可能な限り見て回ろう。駅前のドラッグストアはまだ開いていない。
もも「なんか…、またヤーな予感がするんだけど。大丈夫?」
めぐ「…調べてはない。」


 銀行と郵便局があって、コンビニはない左沢の駅周辺。最高速度"40"の下に付く補助標識は、区間内に"高・中速車"とあるものが残っていた。
めぐ「アレ、今ないヤツなのよ。」
なぎ「昔あったんだっけな…、じゃあいつだ?」


 山形県道23号は国道458号にぶつかっており、調べれば天童市から続いてきてこの『左沢』が起終点らしい。直進方向にあたるのは県道112号で、国道287号を経て長井とある。信号機は雪の多い地域らしく縦型だ。


 交差点を左に向いてみよう。国道をそのまま進めば、最上川を渡って山形市にたどり着く。この国道458号も曰く付きで、2019年時点でも未舗装の峠道(十部一峠、2021年以降通行止)が残っていたり。
もも「本当、そういう…。」
めぐ「いいじゃん、こういうのも。」


 国道から外れ、古くからあるまちなみへ。こちらも消雪パイプが埋め込まれ、路面が赤茶色くなっていることで雰囲気も出ている。
さく「…何かない?」
もも「調べてないってんだし、わかんないわよ。」


 ふれあい会館と公園。調べたところこの町民ふれあい会館は、452席を有する文化ホールという。
めぐ「ごめん、トイレ行きたいんだけど。」
なぎ「ああ、さっきの中になかったからな…。」


 結局は何をするということもなく、駅に戻る流れになった。駅周辺は基本的に住宅と、古くからの店々が目立つ。朝9時という時間だけあってか、しっくりくる飲食店は見当たらない。そびえるのは…?
もも「いや、だから。スルーじゃなくって。」


 大江町役場も駅から近い位置にある。正面こそ新しくしているものの、建物自体は古めかしい。参議院通常選挙の期日前投票があるため、この土曜日は裏手が開いている。表玄関は開いていなかった。
さく「ってか、あそこ入ったのも平日だったでしょ。」
なぎ「そもそも勝手に入り込むなって…。」
めぐ「ごめん、他ないから駅…?」


 とりあえずトイレに入りたい。役場でできないとなれば、駅しかないだろう。引き上げて戻るのが最善だ。
めぐ「あったと思うんだよね。」
もも「いいけど、いつも危なっかしいからさ。」
(つづく)