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【読書感想文Blog】ネタバレ注意⚠

読んだ本の感想とたまーに日常( ᐛ )

フォトミステリー―PHOTO・MYSTERY―

道尾秀介

2024/08/16

 

 

 

★ひとことまとめ★

推理力が問われる

 

 

 

 

 

↓以下ネタバレ含みます↓

作品読みたい方は見ないほうがいいかも

 

 

 

【Amazon内容紹介】 

 世の中にすでに存在する写真に文を添えることで
   まったくあたらしい物語が生まれた――

     道尾秀介による危険な悪戯

写真から生まれた、道尾秀介初のショートショート集。
読み返すほど深まる――写真と連動する新感覚のミステリー。


(タイトル[一部])
静かな午後 
さがしもの 
能才 
デュロン 
つちのうま 
今夜
聞いてごらん、と言った女性の肌は濡れていた 
何日か経つと静かになった         
中身は家の裏に埋めたそうな 
弟は野良猫とビーグルのあいだだった 
指 
髪飾りに見えるのは目だった 
いたずら少年は翌朝になって発見された 
旅立ち 

短いからこそ生まれる面白さに圧倒される「50作品」を収録。

 

 

 

【感想】

最近好きな道尾さん。

1~2枚の写真を見て、道尾さんが文を添える。

パッと見ほんわかとした写真なのに、道尾さんの文がつくことで一気に不穏な雰囲気に変わります真顔あせる

 

各写真のタイトル、フォントや太字がごちゃ混ぜなのって気持ち悪いですね汗うさぎ

わかりやすいのは省いて、ちょっとわかりづらくてこういうことだろうか?と考えた物の考察を書きます。

 

・ジャンプ力

バンドのドラムが落下死ってのが意味わからないなあ…

なんかテレポーテーション的なことが発生して、ほかのメンバーはジャンプしていて助かったけれど、ドラムはジャンプできないから死んだとか?う~ん。

 

・手羽先

男女2人の会話、「わたしたちがこうなっちゃったのに」というところから、別れることになったカップル?

晩飯を作ることも珍しいようなので、冷め切った夫婦?

2人ぶん料理→夫婦2人分の食事ということではなく、2人の人間を料理(殺した)ということかな。「食材のこと」とも言っているし。ただ、出されたのが人間の手だったらヤバイ!って夫(?)の方もなると思うんだけれど…。

おそらく、妻(?)の方は幸せなカップルを見て、自分たちはこんなに冷え切っているのに!とブチ切れて殺したってことかなあ…。

弓矢の下りはわからないけれど、中古品=人間2人を殺した中古の弓矢、ってことかな。人間を殺した弓矢って珍しいでしょってことかなあ~。わからん。

 

・いかないで

反転した文字の方がガラスの中の世界にいる誰かで、正しい向きの文字の方が現実世界にいる子。

最後は入れ替わっちゃったんですね。

 

・よくいるクレーマー

往復書簡で出ていた研究所ですね。間違えてチンパンジーのサンプルで作っちゃったのかな。

でも、よくいるクレーマーだろ、で片付けられちゃうのかな~

 

・大丈夫

死んじゃったワンちゃんのことを、あたしは忘れてないかな?ってことかな。

ずっと心の中で生き続けるんだよ~、ってやつですね。

 

・FはFlee/FreeのF

生き餌に出てきた父と息子の妹で、妹も生き餌にさせられそうになったからFlee(逃げる)して、Free(自由)になったってことかな。

逃げる時に指に釣り糸が巻かれたまま走ったから、指が千切れたか使えなくなったか…。

 

・夢

この写真は聖獣バロンだと思うんですが、文にあるように殺した人間が一つになったものではなく、実際のバロンは魔女ランダを含む悪霊と戦い人間を守る存在のようです。

ただ写真だけ見たら怖い鬼みたいに見えますよね。

 

・指

ドアに指挟んじゃって、指だけ置いてきちゃったのかな?

でもそうするととりよせバッグのくだりがわからないよなあ~。

 

・髪飾りに見えるのは目だった

蚊取り線香見つめている女の人の赤い髪飾りが目玉ってこと?

押し入れに隠れている主人公のことを見つけているってことかな?

でも、蚊が入ってこなくなったというのがわからないなあ~。唇の隙間から出てきたのはきっと舌だよね~。

カメレオンやカエルってああいう髪飾りみたいな目をしたしたのもいるし、カメレオンorカエルが女性に擬態していたってことかな?

んで、いまも家のどこかで擬態を続けていて、入ってくる蚊を食べている、とか…。

 

・幼体

・成体

洒落怖とかで有名なくねくねのオマージュ?かな。

けどくねくねって洒落怖の話通りだったら幼体があるものではなく、精神疾患の人間だったような。

おじいさんも「高く売れる」とか言ってるし、どういう世界線の話なんだ…

 

・地球の導火線

地球の導火線って何なんだろうなあ。これをつければ地球は爆発するんだ!世界が終わる!死ぬんだ(死ねるんだ)!=死ぬ方法ってことかな~?

そんで大人になって、水を使うもの=服毒自殺?を選んだってことかな。

 

・デュロン

・ベロン

封筒からデュロンって出てきて、頭に封筒がくっついたままだったデュロンくん。

封筒を外したくて思い切って外したら、皮ごとなのか、ベロンとはがれたからベロンくんに。

見た目がちょっとアレになってしまったから紙袋かぶせてる感じかな…?

 

・いたずら少年は翌朝になって発見された

少年が翌朝になって発見された理由はよくわからないんだよなあ。

「少しも寒く…」「蟻のま…」はアナと雪の女王の「レット・イット・ゴー~ありのままで~」の歌詞かな~とは思うのですが、お姉さんといたずら少年の関係もよくわからないしなあ。雪女だったとか?冗談に怒った雪女に殺されたとかかなあ。

 

・思い出

・旅立ち

思い出の語り手は犬で、旅立ちの写真のおじいさんが犬を拾ったおじいさん?

でも、思い出の1枚目の写真の意味はなんなんだろう。

 

 

 

答えが書いてあるわけではないから、釈然としないままのお話もあってすっきりとはしないけれど、頭を捻って考えるのは脳トレ的な感じで楽しかったです笑ううさぎ

斬首の森

澤村伊智

2024/08/10

 

 

 

★ひとことまとめ★

文字通り、首を挿げ替える

 

 

 

 

 

↓以下ネタバレ含みます↓

作品読みたい方は見ないほうがいいかも

 

 

 

【Amazon内容紹介】 

わたしは今すぐ逃げなければならない。

あいつらから、この森から。なのにーー

鬱蒼と暗い森の中に建つ合宿所。ある団体の“レクチャー”を受け洗脳されかけていたわたしは、火事により脱出する。男女五人で町へ逃げだそうとするが、不可解な森の中で迷ってしまう。翌朝、五人のうちのひとりの切断された頭部が発見される。頭部は、奇怪な装飾を施された古木の根元に、供物のように置かれていてーー

戦慄のノンストップ・ホラーミステリ!

 

 

 

【感想】

大好きな澤村さんですにっこり

夏はやっぱりホラーですねおばけくん風鈴

そんでもってとても良かったー!!!

なーーるほどねーーー!と思いました。

面白いので気になる人は以下読まないでぜひ本を読んでみてほしいですね本

 

 

 

いなくなっても誰も困らないような最底辺の人間たちを集めて、合宿で”セミナー”や”レクチャー”を行う異常な会社「T」。

自分の心の傷や澱を吐き出さない者には第1段階から第4段階までのレクチャーが実施される。

第4段階のレクチャーでは”討伐”と称し、大きな樹木に似たオブジェの枝からつるされたいくつもの金属の棒を使い、自分自身を”討伐”させる。

ぶら下がった金属を使って自分自身を殴らせ、昏倒し自分で殴れなくなると社員たちが代わる代わる殴り続ける。

 

主人公の水野鮎美はレクチャーに参加し、討伐により死亡した参加者の遺体遺棄を手伝わされていた。

鮎美たちは遺体をラップでぐるぐる巻きにして、穴を掘って地面に埋めた。

同じく遺体遺棄を手伝わされていた参加者・シンスケに、「主催者たちのしたことは殺人に等しく、自分たちは犯罪の片棒を担がされている」と言われたことで洗脳から解ける。

洗脳から解け恐怖に陥っていたところ、研修所で火事が発生。逃げ遅れた鮎美だったが、何者かに助け出される。

 

鮎美を助け出したのは男女のグループだった。同じ合宿の参加者だった、土屋嘉明・久保靖・佐原はるな、そしてシンスケこと太刀川信介。

彼らは皆洗脳から解けており、脱出の策を練っていたところに偶然火事が発生し、合宿所から脱走したのだった。

 

脱走したのはいいものの、ここが何県のどこかさえわからない。

合宿所へのバスはすべての窓のカーテンが閉められていて、車内にて提供されたお茶を飲むと眠気が生じ、社員に起こされたときには合宿所についていた。スマホも身分証もすべて社員に回収されている。

彼らは太刀川の指示に従いながら、木の実や草などを食べて飢えを凌ぎ森の探索を続けるうちに、木の上に建てられた建物を発見する。

彼らはここで夜を明かすことにしたが、朝起きると太刀川がいなくなっていた。

鮎美、土屋、久保の3人で太刀川を捜しに行くが、彼らが発見したのは、枝にたくさんの刃物がぶら下げられた巨木の下に置かれている太刀川の頭部だった。

目の前の巨木は、あのレクチャーの”討伐”で使われていた樹木そっくりだった。

この森とは、討伐とは、太刀川はなぜ首を切られたのか、何者に切られたのか―…

 

 

 

ざっくりとまとめると、

フリーの記者・小田和真が「T」の合宿からの脱出者・水野鮎美にインタビューをする体で話が進んでいき、合宿中そして脱走中に起こった出来事について鮎美の視点で話が進んでいきます。

異常な会社「T」で行われている異常な洗脳行為および殺人行為。「T」の社長・続木宣治の祖父であり、新興宗教「ひのたま教」の教祖・続木宣雄。

ひのたま教そして「T」の本拠地山間部にある禁足地「斬首の森」。

200年以上前に隕石、当時の人たちから見ると「火の玉」が落ちた。落下後30~40年が経ち、そこには木々が生え盆地となった。

森は自然と禁足地となり、そこで発見される動物たちは手足がいくつもあったり首がいくつもあったという。しかもそれはただの奇形ではなく、その森の植物を食べたものは分裂して増殖できるようになるのだった。

当時の人々はそんな分裂した人間や獣を退治するために、分裂が始まる前に本体の首を切って討伐していた。分裂中の本体の首を斬ると、出てくるコピーは首無しになる。首無しコピーはしばらくは動けるけれど、食事が取れなくてそのうち餓死する。

あの刃物のぶら下がった木々は、そうやって討伐した証だった。

ひのたま教でキヨが行っていたことは、病の人間を治すのではなく分裂したコピーの方を返していただけだった。

そして現代。なぜ「T」は人を集め討伐に模したレクチャーを行い、死体を埋めていたのか。

 

 

続木宣治もとい続木宣雄は文字通り首を挿げ替えて何年も何年も生き永らえていた。

新鮮な首から下を求めていたのか~。続木は不死の魅力に取り憑かれちゃったんですね。

消化器官がほとんど動かないと言っていたけれど、やはり首から下は別の人間だからうまくいかないんですかね真顔

しかも首から下は普通に腐っていくみたいだしなあ…。首から上は年をとらないのかな?

続木は森の植物を食べてしまって分裂人間(?)になってしまって、そんな気持ちの悪い生き方はご免だったから、過去の討伐の話を思い出して自分の首を自分で切った…のか?

でも、わざわざ討伐の儀式をレクチャーに取り入れるんだな~。自分も本来は討伐された対象だろうに…。

 

でも分裂が本格化する前(コピーが出つつあるとき)に本体の首を切ったら、胴体からは首無しコピーが出てきちゃうはず凝視はてなマーク

当時分裂中の続木の近くにも誰かがいて、その誰かの首を切った後に自分の首を切ったんだろうか。

首と胴体が切れたら、どうやって首を別人の胴体に付けるんだろう。誰がつけるんだ?首が勝手に動くのか?と思っていたけれど、鮎美が小田にくっつく場面で何となく理解はできた。胴体と離れても、意思?はちゃんと胴体に伝わっているのね。首が生きている間だけかな?と思ったけれど、首が死んでも土屋さんの胴体は鮎美を助けるために動いてたしなあ。

ちょっとそこらへんのルール(?)が理解できていません。

どんくさそうな鮎美が土壇場でルールに気づいたところはちょっとご都合主義っぽさを感じたなあ。

 

 

一度首を切って別の人の胴体にくっつければ、もう二度と分裂しない。

ただ、分裂人間の名残なのか、首は何度でも挿げ替えることができる。

現実的に考えてもしょうがないのですが、こういう人はどうやって生きていくんだろう。続木宣雄は続木宣治になったけれど、戸籍は?住民票は…?そんなのないのかな。病気になったら首挿げ替えればいいんだもんね…?

 

鮎美と一緒に行動していたメンバーたちの末路だけれど、

・太刀川さん→分裂中に鼓麻に首を切られる。よってコピーは首なしに。

・佐原さん→自分の手で、分裂し生えてきた手足を切ろうとした。その際、自分のコピーに返り討ちに合い首を斬られた。

ただ、終盤で顔のついたコピーが鮎美を助けに来たということは、分裂完了済みのコピーにやられたってことかな?

分裂中に首切ったら首無しコピーのはずだからね。

土屋さん→久保に首を斬られるも、首はしばらく生きていて久保に噛み付く。分裂中の胴体は、首が死んでもなお鮎美を助けるために久保を攻撃しつづけた。

・久保→森の植物は口にしていないので、胴体目当ての鮎美に首を切られて死亡。

・鼓麻→普通にコケて頭をぶつけて死亡。土屋によって無駄に首を切られる…

 

 

 

色々考えながら読むのも楽しかったな~ニコニコ

比嘉姉妹シリーズとは違った感じで面白かったですドキドキ

52ヘルツのクジラたち

町田そのこ

2024/08/03

 

 

 

★ひとことまとめ★

誰にも聞こえない、52ヘルツの声

 

 

 

 

 

↓以下ネタバレ含みます↓

作品読みたい方は見ないほうがいいかも

 

 

 

【Amazon内容紹介】 

「わたしは、あんたの誰にも届かない52ヘルツの声を聴くよ」
自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれていた少年。
孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会う時、新たな魂の物語が生まれる。

注目作家・町田そのこの初長編作品!

 

 

 

【感想】

こちらもずっと読みたかった作品ですクローバー

タイトルになっている"52ヘルツのクジラ"とは、他のクジラには聞き取れない周波数52ヘルツの声で歌う、実在する(した?)クジラのことです。

 

1989年に米海軍が海中探査システムで録音した周波数52ヘルツの音源。米ウッズ・ホール海洋研究所の分析の結果、この特異な音はクジラの声だと特定された。

1度きりの録音ならクジラではないのでは?と思うけれど、11年間に渡り録音されていて、1シーズンに泳ぐ距離なども特定されているよう。

そして調査の結果、52ヘルツの声を出すのはどうやら世界でたった1頭だけ。

この52ヘルツのクジラの声に応えるクジラはおらず、たった1頭広い海を泳ぐ、"世界でもっとも孤独なクジラ"と呼ばれている。

しかし、そのクジラの姿は目撃されておらず、クジラの種類も特定されていない。おそらく奇形か、ほかのクジラとの混血と推測されている。

 

そんな孤独なクジラと自分を重ねた登場人物たちのお話。

 

 

自身の過ちにより大切な人を亡くしてしまい、すべてをリセットしかつて祖母が暮らしていた大分県の小さな海辺町に移住してきた主人公・貴瑚(きこ)。

人と関わらず生きていくためにここを移住地に選んだが、町内では自分は東京から逃げてきた風俗嬢と噂されており、噂話でもちきりの住民たちに早々に嫌気がさしてしまう。

 

雨降るある日、貴瑚は1人の少年と出会う。

彼は母親から名前ではなく"ムシ"と呼ばれ虐待を受け、町内の老人会会長である祖父からも見て見ぬふりをされていた。

貴瑚は彼に”52”とあだ名をつけ、彼を保護することを決意する。

これは、あの時あの人の52ヘルツの声を聴くことができなかったことへの贖罪なのかもしれない。

それでも、今はこの子を助けたい。

 

***

芸者だった祖母は、家庭のある男を好きになってしまい、妾として子を産んだ。

妾の子として産まれた貴瑚の母親は祖母を憎み、決して同じ轍は踏まぬと心に決めるが、祖母と同じように決して結婚できない相手の子を産んでしまう。それが貴瑚だった。

 

その後、母親は義父と結婚し子供が産まれた。

妾の子である貴瑚が家族から疎まれるのは、当然の流れだった。

両親から虐待される日々。

 

それでも貴瑚は母親が大好きだった。もう一度愛されたかった。

しかし その願いは叶わず、貴瑚は人生のすべてを両親に搾取されていた。

 

 

 

そんな貴瑚に救いの手を差し伸べたのが、旧友の美晴と、美晴の職場の同僚である岡田安吾、通称"アンさん"だった。

美晴とアンさんの献身的な支えにより、家を出てようやく自分の人生を歩み始めた貴瑚

しかしその道のりは険しいものだった。

就職活動が上手く行かず、先の見えない不安で押しつぶされそうになる日々。

“52ヘルツのクジラ”の声は、そんな日々を過ごしていたある日、ルームメイトの美音子から教わったものだった。

 

"52ヘルツのクジラ”の声と出会ってから就職先も決まり、順調に生活を送れるようになった。 

 

 

アンさんと美晴と定期的に会う中で、貴瑚はアンさんからの好意には気づいていた。

しかし、自分たちの関係は恋愛のそれではなく、もっと超越した関係、例えるなら神を崇拝するのに近い関係だと信じていた。

 

生活が上手くまわるようになったと感じだした頃、貴瑚はひょんなことから職場の専務である主税(ちから)に見初められ、二人は付き合い始める。

順風満帆な付き合いかと思われたが、貴瑚は職場で「主税には婚約者がいる」という噂を耳にする。

わたしには妾の血が流れている。自分もまた、同じ道を歩むのか。

貴瑚にはすでに答えが出ていた。

 

主税と付き合い続けることを選んだ貴瑚だったが、ある日職場の社長である主税の父親のもとへ主税の浮気告発文が届く。

差出人は、「岡田安吾」。アンさんだった。

 

 

 

 ―――

広い広い海原。暗い海の中では相手も見えない。頼りになるのは声だけ。

けれど、自分の声は誰も聞き取るとこができず、誰にも届かない。

広い世界をたった1人で生きていく。

 

クジラはどういう気持ちだったんだろう。

寂しかったんだろうか。意外と悠々自適に過ごしていたんだろうか。

 

スマホ一つで簡単に人と繋がれる時代だけれど、だからこそとても孤独を感じる。

SNSを見ればみんな幸せそうで、自分だけが取り残されているように感じる。

自分も含め、そういう人は多いんじゃないでしょうか?

孤独を感じている人には、52ヘルツのクジラの話は刺さりますよね。

 

貴瑚の52ヘルツの声はアンさんに届いたけれど、残念ながらアンさんの52ヘルツの声を貴瑚が聞くことはできなかった。

貴瑚はわかりやすい大きな声を発する主税の元へ行ってしまったけれど、それは仕方なかったんじゃないかなと思いました。

私もそういう人に惹かれた時期があって、そういう人の魅力もわかるから…。

貴瑚もアンさんもクジラではなく人間なのだから、やっぱり言葉にしないと伝わらないことも沢山あります。

 

アンさんが仮にトランスジェンダーであることを貴瑚にカミングアウトしたいと思っていたとして、貴瑚が尋ねたらすんなりとカミングアウトしたんだろうか。

貴瑚が、私はアンさんが魂の番だと思っていると言ったら、カミングアウトしてくれたんだろうか。

おそらく、「自分は魂の番じゃないよ、でも、一緒に貴瑚の魂の番を探してあげるからね」などと応えたんじゃないかなと思います。

 

アンさんの場合は、52ヘルツの声というよりも、できるだけ声を発さないようにしていたように思うんだよなあショボーン

貴瑚と出会ったときには、もう声を発する段階ではなかった気がする。

ほんの少しだけの期待はあったかもしれないけれど。

 

主税のしたことは本当に最悪ですよね〜。

アンさんが発さないようにしていた声を、わざやざほじくり出して聞いたわけですからね。

そして、お得意のわかりやすい大きな声を使って拡散した。アンさんが、声を聞かせないようにとても気をつけていた人にまで聞かせた。

 

多様性とかポリコレとか色々とあるけれど、どうしても受け入れられないことって人それぞれあると思うんですよね。
受け入れられないという事実を認めてあげるのも、多様性だと思うんです。

アンさんのお母さんもそう。

私は、アンさんのお母さんが娘のトランスジェンダーを受け入れられないこと、別に悪いことだと思わないです。

薬を飲んで療養すれば治るなんて言われて、アンさんからしたら辛いことだと思うけれど、家族でも理解してあげられないことってあると思います。

そんなお母さんの気持ちもわかっているから、アンさんはひっそりと1人で生きてきたんだと思うんですよね。

 

地に足つけて、自分の身の程をわきまえて生きてきたアンさんのほうが、主税よりよっぽど大人だったと思います。

主税は貴瑚に様々なものを与えているようで、縛り付けて貴瑚の人生を搾取しているだけ。

結局は貴瑚の両親と変わらないと思います。

 

 

琴美から虐待を受けている52。結局琴美は52も認知症が進みつつある自分の父親も置いて、男と逃げてしまった。

本当に、どうしてこんなに無責任なことができるんだろうなあ。。

母親を頑張ろうと思った時期もあったんだろうけれど、子供の人生はずっと続いていくわけで…。気まぐれみたいに母親やるやらないは許されないですよね。

 

私も、もうしんどい悲しいびっくりマークと爆発して、夫に任せて家飛び出て息抜きすることも数ヶ月に1回ペースであるけれど、子どもを捨てたいなんて考えたことはない。

子どもには自分以上に幸せな人生を歩んでほしいとはずっと思ってる。でも、そういう親として当たり前な気持ちを持つこともできない親も世の中にはたくさんいるんですよね。

なんなら、子どもがいるから自分の人生ダメになった、って子どものせいにする人もいますよね。  

産むのを決めたのは親だし、堕胎できる週数を過ぎていたとしても気が付かず放置していた親の責任だし、産んでどうしても育てられないなら赤ちゃんポストという選択もあったはず。

せっかく児相に保護されても何としても子どもを連れ帰る親もいるし、なぜ虐待してまで自分の手元に置いておきたいのかがわからない。

 

という話を夫にしたら、

「愛する気持ちもあるけど、それと同じくらい憎しみもあるんじゃないの?

子どもは自分とパートナーの血が半々入っているから、自分に似て・相手に似て愛しいと思うこともあれば、似ているからこそ憎いこともあるんじゃない?」と言っていました。

うーん、そうなのだろうか。

だとしても、子どもは親のストレスのはけ口や八つ当たり先ではないはず。

長く続いていく子どもの人生を軽んじすぎだと思ってしまいます。

 

 

こういう作品を読むと、やっぱり親との関係や幼少期の環境というのは、その人の人生に一生ついて回るのだな~と感じます赤ちゃんぴえん

産みたくて産んだのではなく、育てたくもないのなら、無理して育てる必要ないと思うんですよね。

周りからは人としてどうかと思われると思いますが、虐待だって人としてどうかと思われる行為なので、虐待するくらいなら手放したほうが子どものためでもあると思います。

親に捨てられた子ども。親はいるけれど虐待されて愛されない子ども。どちらがまだマシなんだろう。

マシという言葉しか使えないのが悲しい。


いまでは私の親もすっかり丸くなり、私も子どもが生まれて多少親の気持ちもわかるようになりましたが、それでも今でも許せないことはあります。

酒に酔うと怒鳴り暴力的になった父親。

自分の置かれた環境に不満ばかりで、ヒステリックに喚いていた母親。

良かれと思って手伝っても、「余計な事しやがって」と怒られる。褒められるよりもあれもダメこれもダメと怒られる方が多かったなあ。


いま考えると、私が手伝っても親からしたら手間を増やされただけだったかもなあ、と思いますが、褒められず認められず否定されるばかりなのは悲しかったですね。

よくできたね、ありがとうって言ってほしかった。

こういう記憶は今でも覚えているし、自己肯定感の低さの原因の一つになっていると思います。

 

52もきっと大人になっても色々と悩んだり辛い記憶が思い出されることもあると思う。貴瑚のように。

でも、貴瑚にアンさんがいたように52には貴瑚がいるから、幸せな人生を送っていってほしいなと思いました虹