6冊目:世界は終わらない
益田ミリ
2024/02/01
7冊目:泣き虫チエ子さん 愛情編
益田ミリ
2024/02/01
【感想】
またまた益田ミリさん
6冊目の本は、書店員歴10年の土田くんのお話です。
すーちゃんの恋で出てきた土田くんだったのかー!!
6冊目で印象に残った部分↓
「わたし、ちょっと自分のマンガでやってみたいことがあるんです」
「益田ミリのままマンガの中に入って主人公と話してみたいなーって」(P69)
→実現している
自分の創ったキャラクターとお話するってどういう気分なんだろうなあ〜
「また最初からってなんか、
もう面倒くさいっつーか
恋をして、どんどん好きになって
ちょっとイヤなとこ見えはじめて
ケンカして仲直りして互いに少しずつ慣れていって 情がわいてくる
時間がかかる
それをまた一から土田さんとはじめるのは
もう面倒くさいんだよね」(P93)
→わかる〜
友達と不倫についての話をしていたとき、
「結婚して子供生まれても不倫する人はいるじゃん?〇〇(私)は子供産んでみて、不倫したいと思った?というかまた恋をしたいと思う?」
って聞かれたんですが(友達も私もアンチ不倫)、
「そんな気沸かないというか…めんどくさいよね…」と回答しました
たとえ良いなと思う人がいたとしても、一から相手のことを知って、紆余曲折あって…をまたやるのがもうめんどくさい
しかも、更に子供や夫を裏切る(バレずにやる)ということも追加される。
めんどくさい以外の何物でもない
子供や夫を裏切る罪悪感よりもまず面倒くささが先にくる。
仕事して子育てして家事もやって不倫もするとか器用すぎる…。ある意味、不倫してる人ってマメなんだなあと思います。
「シュリンクというのは マンガにかけるビニールのことで シュリンカーという機械を使います 伯父さんが最後に読んでいた本を、今日、オレはシュリンクしました
伯父さんとの世界を閉じこめた」(P180-181)
→本好きだった伯父さんが亡くなって、出棺のときも伯父さんの顔が見られなかった土田くん。きっと、土田くんが本を好きになったのは伯父さんの影響もあったんだろうな。
なんとなく、おじさんのぬくもりがなくなる前に、シュリンクで閉じ込めたかったのかな。
P81に出てきた、星新一の若者と老人の宇宙飛行士の物語読んでみたいなあ。読んだことあるかなあ?
ちょっと調べて見たけれど、「宇宙の男たち」かな?
星新一のノンフィクションも読んでみたいなあー!
7冊目は、秘書のチエ子さんとくつの修理屋さんのサクちゃんの仲良し夫婦のお話。
チエ子さんもすーちゃんのカフェの常連さんだったのか!
「いつのまにか大人になって 毎日毎日大人の顔をして働いて なんとはなしに自分の手を見てみれば 当たり前だけど大人の手をしている 時間はたえず流れ やがて人生は過ぎ去ってしまう」(P19)
→最近、自分の実年齢と内面の年齢に乖離が生じている気がします。今年で3歳??もうそんな年齢になるの!?と毎年驚きます
子供の頃思っていた30代と今、全然違うなあ。というか、そもそも子供の頃30代のことなんて真面目に考えていたっけ…?子供の頃は、なんとなく大人ってずっとずっと先のことだと思っていました。
成人してもまだ大人ではなかったな。実家暮らしだったし、中身は子供のままでした。
自分が親になってようやく覚悟というか、大人になれた気がする…。周りの大人に上手に溶け込める、カモフラージュできるようになったというか。
周りの30代の会話に上手に受け答えできるし、平均的な大人になれている気がする。
もしかしたらみんなそうなのかもなあ。
チエ子さんがひとりで故郷に帰りたい本当の理由は 一年に一度くらい 子供の顔になって
お父さんとお母さんの 娘でいたいからなのかもしれません(P25)
→いつもは”母親”の私だけれど、親の前では”子供”に戻れる。
どんなに親が長生きしても、私の年齢ほどの年数はもう生きられないだろう。
寿命が85歳くらいと考えると、残り20年くらい。そのうち、健康な状態(脳も体も)で会えるのは、10年くらいかなあ。
そう考えると、私はあと10年くらいしか子供になれないんだなあ…。そして、あと10年くらいで後悔のないように恩返しをしていかないといけない。。。
「お元気ですか? って書き始めるのが なんだかとても 淋しいのです
だって ずいぶん 他人行儀 こんな言葉を自分の両親に使っている今の自分は きっと お父さんやお母さんが死んでしまったあとも
少しずつ立ち直って 元気に生きていくんだろうなって わかってる わかっていることもふくめて チエ子さんは淋しいのでした」(P49)
→邪ですが、私が子供が欲しかった理由ってこれなんですよね。結婚していて夫がいても、結局は他人。両親が亡くなった時に、自分は耐えられるかな、立ち直れるかな、と不安でした。
でも、親の、自分の遺伝子を受け継いだ子供がいたら、なんとか踏ん張って頑張って生きていこうと思えるんじゃないか。
少しずつ立ち直って、前向きに人生を生きていくために、子供が欲しい。自分の生きる意味を子供に押し付けるわけじゃないですが、子供の存在が自分の精神的な支えになるだろうと思っています。
「ね サクちゃん 今度ケーキ買ってきてくれるときリクエストがある
サクちゃんがおいしそうって思ったのを2種類買ってきてほしいの」
「だって女の子は『どっち食べよ〜♡』って迷うのが大好きだからだよ♡」(P81)
→サクちゃんがあんまり好きじゃないケーキを買ってきたときのチエ子さんの言葉。
また次も同じ物を買ってこられるのは嫌だから意思表示したいけれど、せっかく買ってきてくれた相手の気持ちを無下にしたくない…。
チエ子さん、うまいですね〜嫌なケーキがあってももう一つを選べますしね。
ちなみに私の夫は、おみやげでもなんでも、買ってあげたものに対して平気で「嫌い」と言います
理由はチエ子さんと同じで、お世辞で「おいしい」とか言ったことにより、また同じものを買ってこられたら嫌だから。
初めはイラッときていましたが、心の中で悶々とされた挙句、ずっと我慢してたけれど実は…って言われるよりはいいですよね。
次からは別のもの買うね〜で終了しています
でも、女性同士ってこういうことにあんまりならない気がする〜。よっぽど嫌いなものなら別だけれど、基本的には話を合わせて当たり障りなく場を終わらせる気がするなあ
益田さんの本を読んでいると、うまく言語化できない微妙な気持ちを言語化してくれていてるので、スッキリとした気持ちになります
益田さんの本の登場人物たちはみんな心優しくて、一生懸命頑張っていて、好きです。目の前の自分のやるべきこと、人生に堅実に取り組んでいる感じがして、応援したくなる。
自分はどんなときでも自分の視点からでしか見ることができないけれど、漫画の中で土田くんやチエ子さんやすーちゃんなどの視点を見ていると、自分だけじゃないんだなという気持ちになれます。
みんな悩んで苦しんで悲しんで、どうしたらいいか試行錯誤しながら頑張って生きてる。
励まされますね〜