福岡市を中心に活動している人気の劇団ギンギラ太陽’sの舞台を、映画館で鑑賞できるように映画にしたもの。


先週、業務試写で観せて頂いたのですが、当日はギンギラ太陽’sの主宰者・大塚ムネト氏が熊本の会場まで来て、マスコミ向けに質疑応答などされました。


舞台の(まさに)映画化と言えば、劇団☆新感線なんかの『ゲキシネ』なんかがありますが、あれも含めて普通は特定の公演をそのまま収録した「ライブ」ですよね。笑いや拍手みたいな観客のリアクションも入ってます。しかし、この作品の場合、どうやら映画撮影用に行なったパフォーマンスを撮影したものみたいです。ちなみに、オリジナルの舞台は70分ぐらいあるらしいのですが、こちらは45分に再構成したものだそうです。


新幹線やら駅舎やらを擬人化したお話です。最初の新幹線・0系が解体を目前に、もう一度東京へ走って行こうとする。様々な妨害を受ける彼の危機を、太陽の塔やYS-11など、彼と同様高度経済成長の象徴(だったけど、今や見捨てられた存在)たちが救う…。


ある意味、劇場版クレヨンしんちゃんの『オトナ帝国』に通じるものがあるとでも言いましょうか。私よりちょっと上の世代の、万博をリアルに体験した世代にはどストライクのお話でしょうが、たぶん現代のお子様たちにも何となく理解はできると思います。


九州人として一番ツボだったのは、誤解の多いあの銘菓のキャラ。ここの劇団のいろんな作品に登場する人気キャラなんですね。


…で、ここからが、わたし的には最大のツボの話(オイオイ)。


劇中の、1行のとあるセリフ。

これって、もしかして「新幹線と言えば、あの映画」へのオマージュじゃないの?


試写と質疑が終わってから、幸運にも大塚氏と立ち話程度ですがお話させて頂きました。そこで、思い切ってさっきの疑問をぶつけてみました。


…正解!


「あの映画」の話でさんざん盛り上がってしまいました。

「やっとあの事に気づいてもらえた!」

と、大塚さんにえらく喜んで頂きました。

いや、私も嬉しゅうございました。

「あの映画」好きな人に悪い人はいませんから。


ミスターYKの秘密基地(アジト)

一昨日、業務試写で観せて頂きました。


近年特に増えているという「うつ病」がテーマということで、セオリー通りならば重苦しくてお涙頂戴の作品になりそうなものですが、この映画は全体的にほんわかムードで、クスリと笑わせる箇所がいくつもあります。


原作のエッセイ漫画は未読ですが、映画の中にも登場する画の雰囲気から推察するに、恐らく原作のテイストにかなり近づけているのではないかと思います。


主演は宮﨑あおいと堺雅人の『篤姫』コンビ。またもや夫婦役です。生真面目サラリーマンの夫が、心身ともに疲れ果ててうつ病になり、(この時点では)売れない漫画家の奥さん・うつ姫(爆)…もとい、あおいちゃんが支えていきます。


まあ、堺さんは、優しそうだけど神経細やかそうで、いかにも「うつ病になりそう」なイメージです(いろんな意味で失礼千万な発言、平にご容赦を)。あおいちゃんは…可愛いですね(そこかよ)。


あおいちゃんの両親が、大杉漣と余貴美子という、これまた強烈な組み合わせ。でも、作品のムードに合わせてあたたかモードです。


堺さんのお兄さん役で津田寛治がワンシーン登場。予想通り、うつ病の人に対して最大の禁句である「頑張れ!」を(悪気はないけど)連発してくれます。しかもご丁寧に、短時間に集中砲撃。

このあたり、若干わざとらしいと言えばわざとらしい匂いがしないでもないですが…。

全く関係ないんですが、私の親友の結婚披露宴の時、彼の上司がスピーチで「別れる」「切れる」「離れる」などの禁句を見事に散りばめ、しまいには三島由紀夫が割腹自殺した話までしたことを思い出しました。あそこまでくれば、絶対に「うっかり」じゃなくて、ワザとだよなあ。あいつ、よっぽど上司に嫌われてたのか?


話を戻します(逸れ過ぎだろ)。


そんな感じで(どんな感じだ?)、最近の邦画の中では悪くない出来でしょう。上映時間を2時間以内に収めていたら、もっとよかったですけど。


題材もいいし、主演の組み合わせも「いかにも」なので、結構ヒットするんじゃないでしょうかね。

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2011年08月度 月間段位アップ賞
「ひよこパーカー」


2011年08月度



こんなもの頂きました(笑)。




それはともかく…。


今夜10時からUstreamで配信される『Uラジくまもと』に出演させて頂きます。お時間がある方はぜひ!

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いやあ、ソフトバンクのCMがエラいことになってます。いや、わたし的にですが。


増村保造作品大好きで、彼の作品で印象的なヒロインを演じてきた若尾文子さん(以下「文子様」)は、日本映画最強のヒロイン(これも、わたし的に、ですが…)だと思っている私にとって、このCMのシリーズに文子様が登場するようになってから、目が離せなくなってしまいました。


とは言え、さすがに「おばあちゃん」の役というのは、若干複雑ではありました。それがビミョーに風向きが変わってきたのが、松田翔太扮する再婚相手={新しいおじいちゃん」が登場してから。


孫と言ってもいいぐらいの年代の男と(たぶん)何の抵抗もなく結婚してしまう。自分が選んだ愛のためなら、世間や家族が何と言おうと知ったこっちゃないという文子おばあちゃんの生き方は、ちょっと増村映画のヒロインに通じるものがあるなあ、と漠然と思っていました。


これが、いよいよ決定的となったのが、先月あたりから始まったバージョン。

ここでの文子様は、おばあちゃんではありません。強く「女」を感じさせます。


久々に文子様の前に現れた新しいおじいいちゃん。再会の慶びから、彼の歯の浮くようなセリフにも、ウブな小娘(死語)のように素直に喜ぶ文子様。

ところが、立ちくらみを起こした孫娘の彩を抱きとめて、またもや歯の浮くようなことをヌカしたおじいちゃんに対して

「あなたッ!」

と一喝。


あー、これだよ、これこれ!嫉妬に狂う文子様!しかも、嫉妬の相手は実の孫!この、自分が抱いた愛情のためならなりふり構わないところ、『妻は告白する』を引き合いに出すまでもなく、増村映画における文子様の「正しい「お姿!


この後の、犬のお父さんの「おー、怖っ!」というリアクション。『夫が見た』を見て女性の精神的なタフさを知った、当時中3の私が抱いた感想と同じです。


そして、元カレとの三角関係から、おじいちゃんから、その生き方を「ロック」だと言われた文子様。


そうか、文子様だけでなく、安田道代も渥美マリも、増村映画のヒロインの生き様って、ロックだよなあ。(って、気づくの遅いよ)


だから、『曽根崎心中』で宇崎竜堂を起用したんだな。(それは違うだろ)


で、なぜかロックバンドを結成すると言い出した文子様。

「私、歌ーぅわよ」

という独特のセリフ回し。娘役時代の文子様と同じだ(感涙)。


まさか、こんなところで増村映画を追体験できるとは…。(強引だな)



あ、ちなみに、小林旭から『仁義なき戦い』シリーズつながりで(それもちぃがうだろ)口パクについてツッコまれている犬のお父さんこと北大路欣也も、増村作品『濡れた二人』で文子様と共演してます(母子役じゃないよ)。


先週の木曜日、ラピュタ阿佐ヶ谷で観てきました。


私と同じ、1968年の作品。そろそろヤバくなってきた頃の大映(倒産したのはこの3年後)がバンバン作っていた(中途半端な)エロ映画の一本になるんでしょうが、後に続くその手の作品と比べると、結構マジメ(かなあ・・・)です。で、意外に面白い(フィルムの状態が意外に良かったのも嬉しい驚き)。


「セックス・ドクター」なんて言うから、それこそ大映末期のこの手の映画の中で最も有名な『夜の診察室』みたいな話かと思ってました。あちらは、セックス・カウンセラーである父親の仕事に首と片足を突っ込んだ女子大生(松坂慶子の初主演作!)の話でしたが、こちらは泌尿器科=性病の専門医が主人公。となると、ちょっと違うよな、この題名。


主人公に扮しているのは船越英二。我々の世代だとテレビの『熱中時代』の校長先生、少し上だと『時間ですよ!』になるんでしょうが、今の人たちには「サスベンスドラマの帝王」船越英一郎の父ちゃんと言っても、まったくピンと来ないんだろうなあ。


基本的には知的で紳士的な二枚目役が多かった人ですが、『野火』なんかの市川崑作品では性格俳優としての実力を発揮。そうそう、ガメラシリーズでは2回ほと博士を演じてました。

その路線の延長線上にあるのが、この映画の主役なんでしょうが、こんな(少なくとも企画的には)キワモノにも律儀に出ている船越さんって・・・。俳優もスタッフも「専属制度」が厳しかった時代ならではですな。


離れ小島のバンガロー村に来ていた少年が、折からの暴風雨で重傷を負います。たまたま来ていた船越ドクターは、専門外にもかかわらず手当てにあたり、居合わせた5人の男女から輸血して辛くも少年の命を救います。数ヵ月後、すっかり快復した少年とその両親の来訪を受けたドクターは、少年に梅毒感染の初期症状が顕れていることに愕然とします。検査の結果、両親は陰性。つまり、島で少年に輸血した男女の中に梅毒患者がいたわけです。満足な医療設備もなく、しかも一刻を争う緊急事態だったとはいえ、血液検査もせずに(と言うよりできなかったんだから仕方ないんだけど)輸血をした結果、幼い少年をとんでもない目に遇わせてしまったことに、医師としての良心の呵責に苛まれた船越ドクターは、輸血した5人の男女の身元を調べ、血液検査を強要・・・もとい、強く勧めてまわります。


こんな映画に律儀に出演した船越さんそのままに、劇中のドクターも、「何もそごまでしなくても・・・」というくらい、執念で5人の身元を洗い出して、彼らの私生活に余計な干渉をします(という風にしか見えない)。いくらお医者さんの頼みとはいえ、バンガロー村の管理会社が5人の名前や住所をあっさり教えたり(個人情報にうるさい現代ではあり得ない展開)、それらの情報がすべて正確だったりという安易な展開には、目をつぶりましょう(何せ大映ですかr)。


要するに、船越ドクターがこの5人のもとを訪れることでそれぞれのドラマに遭遇するという、一種のオムニバスものになってるんですね。そういう点では、やっぱり『夜の診察室』といえるのかなあ。しかも、この5人の中にいるはずの梅毒感染者を探して回るという、ある意味犯人探しのミステリーに似た構造にもなっているわけです。


で、この5人というのが、若い女性2人とムサイオッサン3人という、ビミョーに偏ったメンバー構成。もっとバラエティに富ませてもよかったのでは?ま、どうでもいいけど。


最初に船越ドクターが訪れたのは、若い女性その1。敬虔なクリスチャン一家のお嬢様で婚約者もいるので、梅毒にかかっているはずはない。だからこそ、進んで検査を受けたのですが…いきなり陽性。初っ端から“犯人”が見つかったので、ミステリー的面白さは早速終了。まあ、実に意外な感染経路が判明するのですが…。


船越ドクターの“任務”もここで終わり…のはずなんですが、何と先生、「他にも感染者がいるかも知れない。全員を検査して、他の感染者にも治療を受けさせないと…」と、完全に「余計なお世話」レベルの動機で捜査を続行。


2人目は、ある会社の中間管理職のオッサン。演じているのは名バイプレイヤーの田武謙三(たぶけんぞう。以下、多部未華子にちなんで「田武ちゃん」)という人。東宝作品が圧倒的に多いですが、昭和40年頃から他社出演も多くなり、特に大映末期の「この手」の映画に結構でてました。ルックスは割りとフツーですが、個性的なキャラも好演してました。『怪獣大戦争』のX星人なんか意外に凄みがありましたが、『モスラ対ゴジラ』での俗物根性丸出しの県会議員みたいな役がピッタリでしたね。この映画での焼くもその線です。


船越ドクターの依頼に一度は激怒した田武ちゃんですが、不完全な消毒のおしぼりや酒の回し飲みからでも梅毒が感染すると聞いたせいで過剰反応、仕事帰りの飲み屋でも落ち着かないし、奥さんの夜のお誘いも断ったりして精神的にクタクタ。結局、血液検査を受けて陰性であることが判明。心配が杞憂だったことに大喜びしてハメを外し、苦笑もののオチがつきます。このコメディ・タッチのパートが、ベタながらも一番面白かったですね。監督の湯気太郎…もとい弓削太郎さんはコメディ作品が多く、田武ちゃんという適役を得て本領発揮といったところでしょうか。


3人目は、街中で新興宗教の教祖みたいなことをしている爺さん。おもともとはラーメン屋か何かだったのが、ある日突然神がかりなキャラに変身したらしい。ところが、近所の人たちからすれば、神がかりというより気が触れたようにしか見えず、「脳梅毒」だというもっぱらの噂。聞き込みでその情報を得た船越ドクターは、それを鵜呑みにして爺さんへの疑惑を深めます。…って、こっちの方がよっぽど「医師にあるまじき行為」だろ。


教祖爺さんに扮しているのは、これまた名脇役の吉田義夫。若干コワモテ気味なので悪役も多かったけど、フツーの爺さん役も多数。この教祖様役は、そんな吉田さんの両面を活かしたキャラでしょう。やたらと怒鳴り散らす怪しげな教祖である一方で、孫娘には目が無いフツーの爺ちゃん。船越センセイの申し出にも一度は激怒したものの、「可愛いお孫さんに梅毒をうつしてもいいんですか?」という卑劣な(?)攻撃にあっけなく陥落、陰性でめでたしめでたし。この話が一番短くて起伏がありません。話ごとに質・量共にムラがあるのが、オムニバスとしてのこの作品の弱点でしょう。


4人目は若い女性その2。「常識的」にはこの人が一番怪しいし、彼女自身もそう思っている。演じているのは、笠原玲子さんという人。ちょっとキツめの顔立ちですが美人で、慎重164cmと当時の女優さんとしてはかなりスタイルがいいと思います。この作品でも半裸(この中途半端なエロ描写だ大映作品の特徴です)で踊るシーンがありますが、長い美脚です。この映画の前年の『ガメラ対ギャオス』で新人ながら初のヒロインを演じましたが、その後はほとんど脇役に徹していたようです。そういう意味では、例えオムニバスの1挿話とは言え、玲子さんがヒロイン役というのは嬉しいですね。


玲子さんには、彼女を追って田舎から出てきた元恋人がいて、毎日のように楽屋にやってくるのですが、暗い過去のために彼を拒み続けています。デートに遅刻した彼を待っていた玲子さんは強姦され、それがこころの傷となって彼も田舎も捨てて東京に出てきたわけです。ですから、当然カレには未練があるのですが、見も心も汚れてしまった私にはふさわしくないとばかりに拒否りまくっているのです。


元カレ役は三夏伸という人。どちらかというとムサい系の人で、件の『ガメラ対ギャオス』では、突然のギャオス出現にビビり、(いくら小生意気とはいえ)ガキンチョを置いてきぼりにしてにげようとしたところをギャオスに食われてしまう新聞記者を演じてました。しかし、子供をほったらかしたりカノジョを待たせたために強姦されたりと、これじゃ「困ったヤツ」専門役者みたいだな。


結局玲子さんも陰性だと分かり、東京での暮らしに疲れていたこともあり、田舎に戻って彼と結婚する決心をします。ええ話やなあ。


最後の一人がクセ者。タクシー会社の社長さん。若い頃は戦地で女遊びに明け暮れ、今も愛人をかこっている元気な(?)爺さん。


演じているのは、スキンヘッドが印象的な石山健二郎。この映画みたいな俗物オヤジから東宝戦記太作での陸軍のお偉いさん、その中間ぽい『白い巨塔』の財前義父役まで、なかなか幅広く活躍した人です。

愛人が妊娠したことが判明、しかもその検査の過程で梅毒に感染していることが分かります。2人目の“犯人”がいたわけです。


外見は豪放磊落ですが、子供が産めない奥さんにも、気の毒な身の上の愛人にもきちんと愛情を注いでいる、実は人情派の社長さん。愛人は新しい命と引き換えに命を落としますが、すべてを赦した奥さんが赤ん坊を引き取ることに同意します。これもええ話。


途中で登場する素人くさい医師は、この映画の監修も務めている医学博士の奈良林祥。夫婦の性に関するカウンセラーを長年務めてきた人だそうで、この人は間違いなく「セックス・ドクター」。劇中に確か固有名詞は出てこなかったけど、『日本沈没』の竹内均教授みたいな「ほぼ本人役」でしょうな。ノリがいいせいか、素人にしては好演しているように見えます。お水のネーチャンを口説くところの俗物ぶりなんか、演技だとしたらなかなかの名優ぶりですが、たぶん「素」でしょうな(爆)。


大映に所属していた監督さんたちは、71年の倒産後は他社に移籍したりテレビに活躍の場を移したりしましたが、この映画の湯気…(もういいから)弓削太郎さんは、大映倒産後の作品発表の記録がありません。不思議に思ってウィキってみたら、大映倒産の1年後に失踪、その翌年に父親所有の別荘で首吊り死体(しかもミイラ化)の状態で発見されたそうです。ツラい話です。


音楽は、伊福部大先生の愛弟子の一人、池野成さん。なぜか、弓削さんの映画はほとんど担当しているようです。ムダに(?)美しいメインテーマは、山本薩夫の『牡丹灯籠』ににた雰囲気。そして、梅毒の患部が画面に登場したり、陽性だと判明した時にかかる、やはりムダにおどろおどろしい曲など、いかにも池野さんらしい作品です。音楽テープ、残ってないんだろうなあ。


エロ映画というよりは、梅毒の恐ろしさ、そして、ちゃんと治療すれば治るということについての啓蒙映画ですね。



ミスターYKの秘密基地(アジト)