いやあ、ソフトバンクのCMがエラいことになってます。いや、わたし的にですが。
増村保造作品大好きで、彼の作品で印象的なヒロインを演じてきた若尾文子さん(以下「文子様」)は、日本映画最強のヒロイン(これも、わたし的に、ですが…)だと思っている私にとって、このCMのシリーズに文子様が登場するようになってから、目が離せなくなってしまいました。
とは言え、さすがに「おばあちゃん」の役というのは、若干複雑ではありました。それがビミョーに風向きが変わってきたのが、松田翔太扮する再婚相手={新しいおじいちゃん」が登場してから。
孫と言ってもいいぐらいの年代の男と(たぶん)何の抵抗もなく結婚してしまう。自分が選んだ愛のためなら、世間や家族が何と言おうと知ったこっちゃないという文子おばあちゃんの生き方は、ちょっと増村映画のヒロインに通じるものがあるなあ、と漠然と思っていました。
これが、いよいよ決定的となったのが、先月あたりから始まったバージョン。
ここでの文子様は、おばあちゃんではありません。強く「女」を感じさせます。
久々に文子様の前に現れた新しいおじいいちゃん。再会の慶びから、彼の歯の浮くようなセリフにも、ウブな小娘(死語)のように素直に喜ぶ文子様。
ところが、立ちくらみを起こした孫娘の彩を抱きとめて、またもや歯の浮くようなことをヌカしたおじいちゃんに対して
「あなたッ!」
と一喝。
あー、これだよ、これこれ!嫉妬に狂う文子様!しかも、嫉妬の相手は実の孫!この、自分が抱いた愛情のためならなりふり構わないところ、『妻は告白する』を引き合いに出すまでもなく、増村映画における文子様の「正しい「お姿!
この後の、犬のお父さんの「おー、怖っ!」というリアクション。『夫が見た』を見て女性の精神的なタフさを知った、当時中3の私が抱いた感想と同じです。
そして、元カレとの三角関係から、おじいちゃんから、その生き方を「ロック」だと言われた文子様。
そうか、文子様だけでなく、安田道代も渥美マリも、増村映画のヒロインの生き様って、ロックだよなあ。(って、気づくの遅いよ)
だから、『曽根崎心中』で宇崎竜堂を起用したんだな。(それは違うだろ)
で、なぜかロックバンドを結成すると言い出した文子様。
「私、歌ーぅわよ」
という独特のセリフ回し。娘役時代の文子様と同じだ(感涙)。
まさか、こんなところで増村映画を追体験できるとは…。(強引だな)
あ、ちなみに、小林旭から『仁義なき戦い』シリーズつながりで(それもちぃがうだろ)口パクについてツッコまれている犬のお父さんこと北大路欣也も、増村作品『濡れた二人』で文子様と共演してます(母子役じゃないよ)。