たまには、私の得意分野(?)のサントラについても書いてみようかと思います。
結構前に発売されていたものですが、最近になってようやく入手できました。
イタリアの大物プロデューサー、ディノ・デ・ラウレンティスが製作、ハリウッドを避けて映画製作を続けていたジョン・ヒューストンが監督。
アダムとイヴ、カインとアベル、ノアの箱舟、バベルの塔、ソドムとゴモラなど旧約聖書の有名な話をオムニバス形式で綴った1966年の超大作。
リチャード・ハリス、ピーター・オトゥール、エヴァ・ガードナー、ジョージ・C・スコットなどの豪華キャストに混じって、ヒューストン自身もノア役で出演しています
(最初は、あのチャップリンに出演依頼をしたそうですが、自分以外の監督作品には出ないということで断られ、面倒臭いからヒューストンが自分で演じたらしいです)。
音楽担当は、何と日本の黛敏郎。純音楽だけでなく、溝口健二や小津安二郎をはじめ有名監督と数多く組んで、映画音楽の世界でも有名だった方です。
私の心の師匠・伊福部昭大先生のお弟子さんでもあります。その縁で、伊福部先生のコンサートに行った時、ご本人を間近で見たことがあります。
また、テレビ朝日の『題名のない音楽会』の司会を長年務めていたことでも有名です。
その一方で、建国記念の日になると必ず記念行事に出現するなど、多分に右寄りの印象を残した方です。
そう考えると、この作品を担当したことについては、「キリスト教はいいの?」なんて疑問に思ったりもしますが、意外にその辺はこだわらなかったのか、単純にビジネスとして割り切って担当したんでしょうな。
ちなみに、音楽も最初はストラビンスキーに依頼しようとして挫折、次にあのエンニオ・モリコーネにお声がかかり、10数分分の作曲・録音をしたものの、結局ボツになったとのことです。
サントラは、公開当時にアナログLPのアルバムが発売され、それに数曲加えたものが92年にCDで発売されました。
今回のこのCDは、映画に使用された音源を完全収録した2枚組。収録時間は合計で123分(ちなみに、映画自体の上映時間は174分)。
92年版の収録時間が45分だったので、3倍近くに増えたことになります。
もっとも、映画用音源はモノラル版しか残っていなかったらしく、アルバム用ステレオ音源との混成になっています。
モノラルの方も音質が今ひとつでした(例えモノラルの古い音源でも、録音や保存状態がよければ、今聴いても鑑賞に堪えうるものが結構あります)。
邦題にもなった、オープニングの天地創造のシークエンスに流れる、10分以上にもわたる大曲をはじめ、
重要な曲がかなりモノラル版しか残されていなかったのは、ちょっと残念ですね。
その天地創造の曲など、黛さんらしい、ちょっと前衛的な曲も多い一方、ちょっと牧歌的なノアのモチーフ、
そして伸びやかで壮大なメインテーマなど、結構バラエティに富んだ曲で構成されています。
1500枚限定発売。