一昨日、業務試写で観せて頂きました。
世界的ヒットメイカーにして早撮り&多作(濫作?)の名人、スピルバーグの新作です。
第一次世界大戦の頃のイギリス。農村の牧場の少年が育て上げた馬が軍に買い取られ、フランスの戦場で敵のドイツ軍に捕らえられ、その後も戦場を転々としながら、脱走兵、村の少女、再びドイツ軍の心優しき砲兵など、様々な人たちと関わっていきます。一方の少年も、馬を取り戻すべく、志願兵となって戦場へ。お互いに違う形で、悲惨で過酷な戦争を体験していきます。
実に分かりやすい「スピルバーグの映画」です。大スターがほとんど出ていないのも、原作の精神を尊重するためだったのでしょう。彼らしいです。ちょっとしたオムニバス映画とも言えるかも知れません。
戦争ものが多いスピさんですが、これは初の第一次大戦もの。いつもだったら、戦闘場面で人体を景気よく破壊する残酷描写に気合を入れるところですが、今回はかなり控えめ。やっぱりディズニーの配給だからでしょう。クライマックスの“中間地帯”のエピソードなんかも、まあスピさんらしい展開ではありますが、やっぱりディズニー的と言えます。
観ていて思い出したのが、アンソニー・マン監督の傑作西部劇『ウィンチェスター銃’73』。伝説の名銃と呼ばれたライフルが、主人公(ジェームズ・スチュワート)の手から奪われ、武器商人、インディアン、無法者など、様々な人々の手に渡りながら、西部を転々とする。そして、それを追う主人公。もしかして、スピさん、実はこれをやりたかったんじゃ?と邪推してしまいました。
でも、ラストシーン(夕陽をバックに、逆光でシルエット状態の主人公たちの表情がよく分からない。多くを観せずに感動させる)は、思い切りジョン・フォードでした。これも、やっぱりスピさんらしい。相変わらずです。