昨日は仕事で、生で見られなかったので、ニコ響の録画配信を観ました。

 

前半(チャイコフスキー)も後半(プロコフィエフ)も、とっても素晴らしかったです。

 

当初はいくつもりでいたんですが、早々に全席売り切れてしまいました。「名曲」シリーズは、お得感があり、人気があるんだと思います。

 

 

 

綱川淳美氏は、メタルシェルを使っていました! 最高です。

 

 

5インチのクラシック・ラグ仕様ですね。メーカーはわかりません。傾きが40度くらいある、このセッティングこそが、綱川さんの特長ですね。なんか、真似したくなっちゃいます。アマチュアから見たら、プロ奏者は、みなさんが「鑑」です。

 

そういえば、4月に入手したスネアのメンテがまったく進んでいません。(思い出しました)

 

 

今日の夜ぐらいから再開しようかと思います。

MHK-FM「ベストオブクラシック」

N響 第2035回定期公演
初回放送日:2025年6月6日

解説:広瀬大介(音楽学者)

案内:金子奈緒

 

ストラヴィンスキー:

バレエ音楽《ペトルーシュカ》 ほか

パーヴォ・ヤルヴィ 指揮

NHK交響楽団

コンサートマスター:長原幸太
(2025.4.17,サントリーホール)

 


先々週のN響の放送には、惹き込まれてしまいましたね。パーヴォ・ヤルヴィ、いい指揮者ですね。N響もフレッシュなコンマスさんが入って、活気づいているように聞こえます。

 

すばらしい。

 

2日間の放送で、僕がちゃんと全曲聞けたのは、《ペトルーシュカ》だけでしたが、とてもよかったです。

 

いまのN響になってから、デュトワさんには音楽監督をしてもらいたかったなあ…などとヘンなことを考えてしまいますが、まあそれは叶わぬことです。(11月に客演指揮はします)

 

《ペトルーシュカ》のスピード感が素敵で、ちょっと印象に残る演奏だったので、どうしても「保存」しておきたくなって、なんと「レコーダー」を買ってしまいました。このためだけに(笑)

 

カセットテープではなく、デジタルで、ちゃんと「保存」したかったのです。

 

そこで、TASCAM HD-P2というデジタル・ポータブルレコーダーを買いました。

 

 

約20年前の録音機なので6,500円で買えました。媒体はCFカードですが、昔のデジカメ用のCFカードを所有していたので、特に困らないです。

 

PCで録るのは、なんかもうイヤ。インターフェイスのケーブルや機器が多くなって煩わしいし、すでにPCを立ち上げるのでさえ鬱陶しくなってしまいました。

 

だから、「オーディオ機器」が一番。

 

HD-P2は、さすがに古く、単三電池8本の駆動では、あっという間にバッテリーが上がっちゃいます(4時間ぐらい使える?)。

 

今度、外に持ち出して「フィールド・レコーディング」といこうと思います。

 

ああ、それにしても忙しい2週間でした。

 

そんな中でもこうして「趣味」の時間が取れるというのは嬉しいことです。

NHK-FM「ベストオブクラシック」

サイトウ・キネン・オーケストラ

ブラス・アンサンブル 演奏会
初回放送日:2025年5月26日
案内:大林奈津子

 

 

 

2025年2月19日に、すみだトリフォニーホールで行われたコンサートのライブ録音。

 

うちはNHK-BSが入らないので悔しい。映像で確認したいことがいっぱいあった。「誰のソロなの?」とか、「どうやって叩いてるの?」とか。

 

Eテレでも抜粋版を放送していたようであるが、4月の放送というので、NHKプラスでも観られない。ああ、残念。

 

ブラス真骨頂のヤナーチェクとか、サン=サーンスのオルガン交響曲とか、プロコフィエフのロメオとジュリエットとか、フルオーケストラものについては、何をかいはんやで、それはもう凄まじい演奏であり、どこの部分を切り取って聴いたとしても恍惚の響き。

 

 

このラージ・アンサンブル(あえてこう記す)は、絶対に聴きにいかなければならない。心の手帳に予約した。

 

日本の先生方の素晴らしさは言うに及ばず、メンバーはベルリン・フィルやウィーンで活躍中の(または活躍していた)超一流奏者ばかり。ビッグネームすぎて目が眩む。

 

聴けてよかったなあ…と純に思ったのは、ピアソラの《ブエノスアイレスのマリア》。音色と音律が僕の好みにぴったり。ぐっとくる音楽だ。

 

全曲とも編曲はパーカションの竹島悟史さんと、トランペットの高橋敦さんでやっているとのこと。

 

竹島さんの活躍は、とても感動する。編曲してドラムも叩いて、ガーシュインのピアノも超絶技巧で弾きこなした。写真やメンバー表を確認しなければ、全部ひとりで演奏しているとは気づかない。いったいどうなってるの? って感じだ。

 

 

公式インスタグラムからの写真を引用させていただいちゃった。うー、これすごいです。

 

楽器マニアとしては、これ全部揃えたいです(笑)

 

演奏はとても無理なので、せめてイクイップメントだけでも…というのはいつもの僕の癖なのである。

 

アンコールに《花は咲く》、そしてウェザー・リポートの《バードランド》と来た。ジョー・ザビヌルはウィーン出身なので、キューブルベックさんやフォーグルマイヤーさんには、親しみのあるジャズアーティストなのかもしれないな、などと。

 

ただ、私=野蛮な(似非)ロックドラマーである私としては、「竹島先生! もっとがんがん叩いちゃっていいですよ!」ってリクエストしたい部分もなきにしもあらずであったが(すみません)、なんだか、みなさんが愉しそうに演奏されているのが放送から伝わってきて、聴いている僕がめちゃめちゃ嬉しくなった。このクオリティで《バードランド》を聴くことなんてないから、ふつう。

 

得した気分。放送はプライスレス。

 

以下は、フォーグルマイヤーさんのインタビュー記事からの引用。(公式ページより)

 

―SKOブラス・アンサンブルの特色は何だと思いますか?
友情だと思います。これは必ず言いたかったのですが、こんな特別な感情を持てたことを、とても光栄に感じています。自分が所属しているオーケストラで来日公演をすることは多いですし、日本はいつも魅力的な土地で、食べ物もおいしいし、日本の皆さんにも信じられないぐらい親切にしていただいています。ですが、やはり何か壁がある。きっと、尊敬と丁寧さからくる壁だと思います。SKOブラス・アンサンブルは、ヨーロッパの演奏家と日本の演奏家という、珍しいアンサンブルですよね。何年も一緒に演奏するうちに信頼関係が築け、そこには僕が感じていた小さな壁すら存在しないんです。本当の友達になれたと感じています。これは言葉では言い表せない、大きなプレゼントをもらったと感じています。僕たちは、楽器や音楽を通じてコミュニケーションをとることができます。一緒に成長し、ヨーロッパと日本の音楽家が一緒に演奏するからこその強さが生まれました。これは、僕にとってプライスレスな経験です。

 

(「サイトウ・キネン・フェスティバル・イン松本」公式ホームページより)

 

素晴らしい! かっこいい!

 

(追記)

NHKさんの録音も素晴らしかった!

前の記事:

 

1995年のサザンオールスターズ「ホタル・カリフォルニア」を観た(聴いた)。感動した。年代的には、我々が就職したばかりのころの作品で、収録されたライブにも、当然ながら行けていない。

 

なのに、後年、VHSソフトだけは入手してあった。しかし観た記憶があまりない。もしかしたら、ちょっとだけ観て、そのままだったのかもしれない。なんて勿体ないことをしていたのだろう。

 

30年たって、ようやくこの作品の真価が理解できた。

 

 

これを観ちゃうと、もう、ドラムを叩きたくてしょうがなくなる。この時代なのよ、僕にとっての最強のサザンは。

 

 

松田さんのセットは、まだ、PearlZenithal Resonator(Zシリーズ)だった。珍しく3点キットで、タムタムが14インチのようである。

 

おそらく、BD: 22×18、TT: 14×12、FT: 16×16で、スネアだけは映像に写っていないので不明だ。(フリーフローティングのカーボンファイバー、14×6.5インチの可能性あり?)

 

ドラムサウンドについては、これまで聴いたサザンのライブ映像の中で、もっとも高い品質で録音されていると思う。特にスネアの音が素晴らしい。スナッピーのシズル感もちゃんと出ていて、すぐにでも真似したくなる音質。

 

で、それ以上に、僕は思ったのだ。

 

大森隆志のいるサザンが本物の「サザン」なんだと。

 

 

最近の人は、サザンは最初から5人組だったと思っているかもしれない。そうならば、非常に残念だ。

 

これを書きながら、思い出したことがある。そうだ、僕は20年前、「ター坊が戻ってくるまで、サザンのライブもアルバムも封印する」と決めたのだ。

 

それから、20年以上が経ってしまった。

 

もちろん、ター坊が戻ってくる気配はないし、おそらくは戻って来ないだろう。

 

ということは、僕はもう一生、サザンのライブには足を運べない。それは、とても悲しいことだ。

 

「大森」の「以前」と「以後」では、何が違うのだろうか。

 

このビデオを観て、その答えが見つかったような気がする。サザンはかつて、ギターロックだった。かっこいいリフやソロ、これらはみな大森隆志のアイデアであり、プレイであった。ター坊の奏でる歪んだコードも、クリーンなアルペジオも、サザンオールスターズには絶対に必要なサウンドだった。

 

2023年のライブビデオは、たしかに最高に良かった。貫禄のステージだったし、音楽的にも新鮮さがたんまりと用意されていた。しかし、欠けていたものがあるとすれば、それはリードギターの存在感だったのではないかと僕は考えている。

 

 

いまになって気づくことがある。大森隆志がサザンだった。もっと実演を聴いていればよかった。

 

いま、大森隆志はどのような音楽活動をしているのであろうか。

 

…と思って調べたら、なんだ、横浜でライブやってるじゃん!

 

 

…ということで、いつも行っている界隈なので、さっそく予約した。サザンでのご自作も披露してくださるかもしれないな…という淡い期待を抱いて、相鉄ムービルに向かおうと思っている。

 

期待するのは『GORILLA』とか、『なんば君の事務所』とかかなあ…。ぜひ、やってほしい。

 

 

 

 

NHK-FM「ブラボー!オーケストラ」

「亀井聖矢と佐渡裕/

ショパンのピアノ協奏曲第1番」

初回放送日:2025年5月25日
解説:小石かつら(音楽学者)

 

ショパン:

ピアノ協奏曲第1番ホ短調作品11
亀井聖矢(ピアノ)

佐渡裕 指揮

兵庫芸術文化センター管弦楽団
(2024.9.13,兵庫県立芸術文化センター大ホール)

 

 

EXPO 2025(大阪・関西万博)から、さっき帰宅したばかりである。とても疲れた旅だった。万博は「雨」と「夜」は避けた方が良いと思う。

 

帰ってきて、落としておいた電源を入れ、「らじるらじる」でFMを流すと、ホッとする。

 

ショパンのピアノ協奏曲第1番を放送していた。重厚な低音に支えられたオーケストラの響きが耳に飛び込んでくる。あっと言わせるような場面はなかったものの、堅実で落ち着いて聴いていられる音楽だった。

 

「こういうので別にいいんだよな」と独りごちた。

 

今日は新横浜で買ってきた鹿児島の駅弁を食べて、早く寝てしまおう。

『新幹線大爆破』を鑑賞したいが為にNetflixの契約をした。映画の方は期待以上の目覚ましい映像美で、思わずE5系を撮りに東京駅に行ってきてしまった。ついでに、23番線ホームの上野方を覗いてきたのは言うまでもない。

 

 

東京駅にて(2025.5.5) 筆者撮影

 

…というのは、単なる前フリであって、Netflixでは、なんとサザンオールスターズの「茅ヶ崎ライブ2023」の映像が観られるらしい。

 

サザンのライブ映像を観るのは、おそらく30年ぶりぐらいのはずだ。思えば遠くへ来たものである。

 

代わりに、当ブログの中心ジャンルたる管弦楽曲については、一切聴かない一週間となってしまった。

 

サザンオールスターズ。

 

昔は狂うほどライブに通い、バンドでコピーした。松田弘フリークとは、過去の私のことである。

 

それが、今世紀に入ったころから徐々に疎遠になり、応援団も辞めてしまった。だから、近年はYouTubeを含めた映像作品を観ることもなくなっていた。しかし、加入したNetflixで“タダ”で観られるとあれば、観ない理由はない。

 

 

いやー、愉しかった! サザンのみなさん、もう70歳になんなんとするお歳なのに凄まじいプレイ。最後まで一気に観て、翌日にまた観る…みたいな一週間だった。完全に寝不足である。

 

 

松田弘のスネアは、ソナーのメタルの6半のようである。

 

 

セットはDWだ。ドラムの前のアクリル板は、プロの世界ではとっくのとうに当たり前の装備となった感がある。

 

モニターはイヤモニだし、音の分離も良いのだろうなあ。返しもよく聞こえるに違いない。時代はどんどん進化している。だからなのか、桑田佳祐のヴォーカルの音程が良い。もちろん、歌の妙味は昔と大きくは変わらないが、テクが向上しているように聞こえるのには感動した。

 

何言ってんのこのおっさん、と言われそうなので、昔のステージ環境を思い返すと、1990年代にはイヤモニなんてなく、モニターは転がしだった。アリーナやスタジアムでやったら、自分の演奏や声が聞こえづらかったにちがいない。まして、桑田さんはステージを縦横無尽に走り回るから。

 

とにかく僕は、30年前のライブで時間が止まっているので、ヘンな感想になってしまう。

 

それにしても、30年前のライブって、どうだったんだろう。

 

そう思って、1995年の「ホタル・カリフォルニア」のVHSテープ(!)を引っ張り出してきた。まだ観れるのが嬉しい。さて、どんなライブが楽しめるのか。松田さんのセットはどんなものだったか。すっかり忘れているので、愉しみである。

 

 

次回はその感想を。

 

 

 

 

 

 

(国内盤・ダブルジャケット=2枚組)

チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲ニ長調

メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲ホ長調

ラロ:スペイン交響曲ニ短調

サン=サーンス:ヴァイオリン協奏曲第3番ロ短調

チョン・キョンファ(ヴァイオリン)

シャルル・デュトワ 指揮

モントリオール交響楽団

ローレンス・フォスター 指揮※

ロンドン交響楽団

(1981,1980,1975,LONDON)

 

 

サン=サーンスのみアナログ録音(1975年)。珍しいダブルジャケット。購入したのは先週、新星堂のラ・フォル・ジュルネ特設会場にて。

 

CHUDENMG-3605は元気があって良いのだが、クラシックの場合は、もうちょいと柔らかな音色で愉しみたいと思ってしまう。

 

そこで、僕の中1の時(1983年)からの“リファレンス”、Technics EPC-270Cに戻して聴く。

 

 

これがいい。

 

ヴァイオリンが耳障りにならなくて、コンサートホールで聴いているような柔らかさを纏う。耳慣れた音になり、安心したことも手伝って、とても心地よく聴ける。

 

このかつての松下電器産業の普及機は、まさに「普及」機と言うに相応しい価値を有する。我々の食生活における白米みたいなものだ。

 

ヴァイオリン界の百恵ちゃんこと、チョン・キョンファの演奏も、デュトワの指揮も、モントリオールのアンサンブルも、デッカの録音も、すべてが最高なレコードである。

 

 

 

 

 

「イングリッシュ・コネクション」

エルガー、ティペット、ヴォーン・ウィリアムズ

ネヴィル・マリナー 指揮

アカデミー室内管弦楽団

(1983,ASV)

 

 

レコードの枚数は一進一退、狭い自室に設置したラックの収納は破綻することがない。要らないレコードを放出して、必要なレコードを増やしているからだ。

 

「必要」な方面は、このレコードみたいなやつ。「Vaughan Williams」って字面を見ると、中古屋で自然と手に取ってしまう。一方、「不要」なのは、ロックやジャズ、フュージョンのレコード。いまや、Apple Musicでなんでも聞けてしまう。つまり、僕にとってはレコードで聴く価値のあるソースは、クラシックだけなのである。

 

なんで、そうなってしまったのか、うまく言語化できない。これは感覚的な選択なのだ。

 

で、このレコードは、珍品の類いだ。デジタル録音なのでおそらくCDも販売されていたと思うが、いままで見たことがない。日本には輸入されていなかったのかもしれない。

 

マリナー&アカデミー室内管のヴォーン・ウィリアムズと言えば、1972年の「管弦楽曲集」(argo)が一般的だ。

 

 

その中の2曲、《あげひばり》と《タリスの主題による幻想曲》が、この1983年のASVレーベルに、再録音されているのである。

 

さっそく聴いてみる。まずは《あげひばり》。ヴァイオリン独奏は、コンサートマスターのアイオナ・ブラウンで、1972年と一緒。まず、録音が鮮明で、各楽器の音色が間近に聞こえて、弱音部がくっきりしていることに、驚く。技術の進歩と、レーベルの違い(録音コンセプトの違い)であろう。

 

解釈は1972年とやや違って、テンポが生き生きしている。前に進んでいく「流れ」を感じる演奏だった。

 

次に《タリス》。こちらも楽曲づくりの印象は前曲と同様で、生々しい。録音が鮮明になったことで、オケの中の方の音までちゃんとキャッチできている。だから、こういう印象になるのかもしれない。テンポも旧作に比べて、やや速いかもしれない。でも、溌溂とした部分を感じるのは、1972年盤ではあまりなかったことだ。

 

CDになっていない演奏、ストリーミングサービスに収納されていない演奏というものに出会えるのは、中古屋さん巡りの愉しみの一つである。

 

 

 

昨日、「ラ・フォル・ジュルネTOKYO 2025」の「312」を聴きにでかけた。ラヴェルの《マ・メール・ロワ》と二つの《ピアノ協奏曲》。期待をはるかに上回る素晴らしい演奏で、最高の休日となった。

 

 

 

国際フォーラムのあのデッカいホールで、いかように響くのかと少し不安もあったのだけれど、まったく問題ないどころか、過剰な響きすらもかえってフランス音楽の「おいしさ」を見事に表現するに寄与した。

 

“ロックドラマー”としては、「左手」の鳴り物系打楽器にワクワク感が止まず、「両手」のスネアに涙する。実に愉しそう! やりたい。やらせて。

 

一方、打楽器に比して金管楽器が弱かったが、それはそれで全体としてよくブレンドされた、統御された音楽にも聞こえた。だからぜんぜんOK。

 

このオーケストラは初めて聴いたが、木管楽器の美しさに聞き惚れる箇所がいっぱいあって好印象。ステージ両サイドのモニター画面にオケ内ソリストが大写しされるので、目も飽きない。平成の初めごろ、横浜アリーナでのサザンのライブに行った時の驚きを思い出す。(そこが、“ロックドラマー”)

 

指揮者は最初、日本人かと思った。クイズをやる人によく似ている。でも、「日本人離れしたダイナミックな指揮をするなあ」と感心していたら、マカオ生まれだった。日本人の若手の、こじんまりとした棒を振る指揮者よりも、ぜんぜん愉しい。身長は高いほど、腕は長いほど、指揮者は見栄えがして、音楽も大きくなる(と思う)。

 

 

そして、ピアノソロ。「左手」のベテラン氏は「魅せる」。音楽も見せ方も堂に入って、さすが20周年の演奏者と唸らせる。「両手」の若い女性は、なんと、一緒に行った次男よりも年下だった。プロフィールを読んで判明した。次男が一番驚いている。

 

たしかに初々しいステージングではあったが、まさか16歳とは。欧州人は外見では年齢が分からない。だいたい上に見える。アジア人は逆らしい。ミニスカートは、大スクリーンの独奏者担当カメラマンを大いに困らせたことであろう。

 

左手のダイナミックなピアノと、両手の繊細なピアノ。同じ演奏会、同じピアノ(スタインウェイ)、同じホール、同じオケ、同じ席において、別々のピアニストの独奏を聴けたのは、本当に勉強になった。こんなにも弾き方(タッチ)に違いが出るものなのか、と。

 

 

ラ・フォル・ジュルネで困ったことはいくつかあるが、多くは会場の問題がからんでいる。大ホールにはトイレが少ない。エントランスに入る前のトイレの数は多いが、どこも行列である。私の妻のように介助が必要な女性にはつらい。

 

次に食事場所。歩ける人は、歩いて有楽町にでも東京駅にでも行けばレストランや居酒屋風飲食店がいくらでもあるが、妻のように「そこで食べたい」人には、座って食べられる場所が少なすぎる。昼時は、キッチンカーで購入してから地上広場のテーブルを確保することがそもそも難しい。

 

午後2時が過ぎて、そろそろ空いただろうと思って行くと、今度は、休日の午後、ワインを飲みながらまったりと過ごす御仁らが、テーブル席を占拠したままけっして空けない。

 

過去の例からも、そうなることは、ある程度想定していたから、僕らは早々に八重洲の地下街に移動して、おいしいイタリアンにありつけた。

 

にしても、地上広場の運営はもうちょっと工夫できるのではないかと思った。

 

ちなみに地上ステージのPAの音響は最悪だった。あれでは聴く気が失せる。無料コンサートだからと、みんな我慢しているのではなかろうか。

 

 

NHK-FM「古楽の楽しみ」

「ジャン・フィリップ・ラモーの音楽(5)」
初回放送日:2025年5月2日
ご案内:今谷和徳

 

1748年にパリのオペラ座で初演された、ラモーの1幕ものの歌劇「ピグマリオン」をお送りします。

 

 

ラモー:

歌劇《ピグマリオン》(全1幕)
シリル・デュボワ

セリーヌ・シェーン

マリー・クロード・シャピュイ

ウジェニー・ワルニエ

クリストフ・ルセ 指揮

レ・タラン・リリク
アルノルト・シェーンベルク合唱団
(2017,Aparté)

 

 

ピグマリオンってあれですよね。教育原理で出てきた、「ピグマリオン効果」の元の話。

 

ラモーの《ピグマリオン》は、バレエも入っている歌劇で、リズミカルなタンブリンなどに、心が持っていかれる。とても心地よい。リッチー・ブラックモアが好きそうな音楽である。

 

歌詞は分からないし、ストーリーも、アフロディーテが出てきてハッピーエンドで終わるんだろうな、ということ以外にに知らないのだけれど、なぜか楽しめちゃう。絶対音楽として聴いても、何かが完結しているように思う。

 

近代の弦楽器のビブラートは、音に濁りを生んだ。純粋な響きのするこのような音楽は、(ビブラートのない)管楽器だけで演奏した時にも違和感を感じないだろう。吹奏楽の小編成なんかが合う気がする。細かい音符があるから、テクニック的には難しいかもしれないが。

 

FM放送は、いろいろな音楽を教えてくれるから、良い。