NHK-FM「音楽の泉」

ベートーベンの交響曲第6番「田園」
初回放送日:2025年4月27日

奥田佳道


 

ベートーヴェン:

交響曲第6番ヘ長調作品68《田園》
リッカルド・シャイー 指揮

ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団

(2009,DECCA)

 

 

朝から田園は、よい。4連休の半分は仕事だ。しかし、愉しみもある。5日のこどもの日に、東京フォーラムに行く。「ラ・フォル・ジュルネ」を聴くのは、おそらく10年ぶりぐらいである。今回はラヴェルのピアノ協奏曲の2曲が目当て。

 

シャイーとゲヴァントハウス管の田園は、ブラームス全集と同じで速い。「うおー」って最初はなるが、しだいに癖になる。音も良いし、とても魅力的なCDだ。

 

と言いつつ、この全集、かつて聴いたことがあったと思う。どれも良かったと思うが、《運命》の記憶がない。もしかしたら記憶違いかもしれないが、Apple Musicで確かめてみるのもいいだろう。

 

さーて、午後から仕事だから、ゆっくりと準備しようかな。

 

 

 

NHK-FM「ブラボー!オーケストラ」

「日本センチュリー交響楽団

チャイコフスキー バイオリン協奏曲」
初回放送日:2025年4月27日
小石かつら(音楽学者)

 


チャイコフスキー:

ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品35
マルク・ブシュコフ(ヴァイオリン)

飯森範親 指揮

日本センチュリー交響楽団
(2024年8月2日,ザ・シンフォニーホール)

 



連休中の半分は仕事をする予定である。忙しい中にも安息の一瞬があると嬉しい。NHK-FMは、僕の心の癒しに、大いに役立っているようだ。

 

チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲。名曲の安心感とソロの凄みが同居した、素晴らしい演奏だった。ブラボー!

 

オマケで掛かったリムスキー=コルサコフの《シュエラザード》の過去の演奏を聴くに、飯森範親と日本センチュリー響の相性というのは、おそらく最高なんじゃないか。

 

音の綺麗な、整ったオーケストラだと思った。いま、とても実演を聞きたいと思っている。

 

毎度言っているが、「ブラボー!オーケストラ」の録音が素晴らしい。こちらにもブラボー!を。

 

 

 

 

 

NHK-FM「ベストオブクラシック」

「ベルリン音楽祭(4)

オスロ・フィルハーモニー管弦楽団」
初回放送日:2025年4月24日

案内:髙山久美子

 

 

同番組の先週の特集は「ベルリン音楽祭」。ここのところ、仕事に忙殺され、FMの生放送を聴けるわけもなく、「らじる★らじる」の配信が終わってしまう前に慌てて聴取する次第である。

 

とりあえず、聞き逃したくない回を優先して聞く。ショスタコーヴィチの第5番は外せない。ノルウェーのオスロ・フィルハーモニー管弦楽団、指揮は若手のクラウス・マケラだ。

 

他の指揮者には負けられない。

 

 

公演の録音はドイチェラント・ラジオ・クルトゥーア。この録音がCD並みに優秀。カセットテープにダビングしながら聞いたが、ダイナミックレンジが広く、ピークレベルの設定が難しかった。何度か「らじる★らじる」の再生ボタンを押しながら、適正値を探る。よし、うまくいった。

 

昔のFMエアチェックは一発勝負で、楽章間に急いで裏返したものだが、現在は、ポーズボタンを押しておけるので、早送りして裏面にする時間がじゅうぶんにある。非常に助かる。

 

こういう文章を令和7年に書くと思っていなかった。昭和の表現である。若い人は何を言っているのか皆目分からんだろう。

 

ついでに、ショスタコーヴィチの第5番をカセットテープで録るには「54分」テープが最適である。備忘録として記しておく。

 

 

さて、演奏だが、とても良かった。終楽章の緩急がとても気持ちいい。最後のグランカッサの連打はインテンポだった。でも、指揮者の解釈に惚れたというよりは、北欧のオケのヨーロッパとロシアの良いところを併せたような音色が気に入った。金管楽器の吹き方に一切の迷いがないところは、日本のプロの奏者の方にも見倣っていただきたい。(ハズすのを恐れないというか…)

 

 

弦楽器は女の人が多いオケに共通する美しさ。見た目に引っ張られているのかもしれないが。

 

最近の日本のコンサートでも「フライング・ブラボー!」がなくなりつつあるのは、とても良い傾向だと思う。本場、ベルリンのフィルハーモニーのお客さんも、最後の一音の響きをよーく心に響かせてから盛大な拍手をする。

 

聴者、かくあるべし、である。

 

なお、小生はダイヤモンド地下街にある「オスロ・カフェ」には、まだ入ったことがない。

 

 

 

 

 

NHK-FM「クラシックの庭」

チャイコフスキーの交響曲第3番
初回放送日:2025年4月23日
登レイナ

 

 

チャイコフスキー:

交響曲第3番ニ長調作品29《ポーランド》
エフゲーニ・スヴェトラーノフ 指揮

ソビエト国立交響楽団

(1990,キャニオンクラシックス)

 

 

たいへん嬉しい選曲・選盤。有名な1990年の東京(サントリーホール)ライブだが、初めて聴く。さっそく、Apple Musicに切り替えて鑑賞しよう。

 

 

キャニオンクラシックの録音も素晴らしいが、「飛ばす」時の覚悟がハンパない快演だった。トロンボーンも楽器が壊れそうなほど強奏する。いや、楽器以前に、その口唇、大丈夫なんでしょうか。

 

こんな演奏を聞いてしまったら、もうこれしか聴けなくなるのは必至だ。

 

でも、その出逢いがいい。素晴らしい番組だった。

 

 

 

僕の場合、陰陽説みたいに「鑑賞」と「演奏」で人生のバランスを取っている。しかも「鑑賞」はクラシック(主にオーケストラ)で、「演奏」はロックときているから、なかなか一筋縄ではいかない。

 

そして、「鑑賞」に凝ると、自ずとオーディオにも注意が行く。一方、「演奏」にハマっている時は、鑑賞時の音質があまり気にならない。だから、オーディオに関する購買欲もなくなる。

 

春になって、新たなシーズンが始まり、僕の心は少し「演奏」にシフトしている。よって、気になるのは楽器、ということになる。

 

某フリマサイトで、使い込まれたスネアドラムを見つけた。ハードロック志向だった近年は、深いドラムばかり目に入っていて、所有するスネアも、すべて深胴、つまり6.5インチばかりだったが、ここにきて俄かに、浅いスネアを使いたくなった。今年の秋あたりに活躍できるかもしれない。

 

ということで、購入した中古スネアのメンテを行う。

 

 

購入したのは、Made in Japan時代のPearl MR(Classic Maple)のスネアドラム。木目の見えるラッカー仕様で、おそらく色はリキッドアンバー・ラッカー(No.114)。1997年のカタログによると、型番はMR-5114で、定価は44,000円だった。今なら、およそ2倍の値段だろう。30年近く前のモデルだ。

 

パーツを全部外して、まずはシェル磨き。

 

 

 

 

ラッカー面は慎重にクリーニングする。仕上げはYAMAHAのピアノユニコンを使う。名前の通り、本来はピアノの艶出し剤だ。

 

 

僕は2004年ごろまで、MRシリーズのドラムセットを有していたので、このエンブレムが非常に懐かしいし、かっこいいなーと思う。

 

通販のサウンドハウスで、ヘッド両面とスナッピーを購入してあったが、ボルトのワッシャーを買いそびれたことに今朝、気づき、地下鉄に乗って「街」に出かけた。

 

いまの時代、休日だと楽器屋が開くのは、正午だということを知った。新型コロナ時代の名残りなんだと思う。ネット通販も当たり前になっているから、実店舗の営業はなかなか難しいところだ。

 

知らなかったので、店の前に1時間半前に着いてしまった。時間つぶしに、近くのレコードユニオンに行く。そしたら、そこも11時開店だった。仕方なく闇雲にぶらぶら歩く。

 

散歩にも疲れて、結局、楽器屋のドアの前で開店を待つことにした。お蔭で、読みかけの『成瀬は天下を取りにいく』を読了することができた。

 

 

成瀬が滋賀県立膳所高校に入学してからの物語が特に面白い。

 

帰宅後、やるべきことが多すぎて、結局、スネアのメンテは先に進まなかった。金属パーツを磨き、ヘッドを装着するまでの作業は、次の休日になりそうだ。

 

慌ててワッシャーを買いに行った意味がなかった。

 

 

NHK-FM「ブラボー!オーケストラ」

チョン・ミョンフン渾身の「英雄」
初回放送日:2025年4月13日
柴辻純子

 

ベートーヴェン:

交響曲第3番変ホ長調作品55《英雄》
チョン・ミュンフン 指揮

東京フィルハーモニー交響楽団

(2025年2月24日,Bunkamuraオーチャードホール)

 

 

《英雄》は、1803年に書き始められた。初演はウィーンで作曲者の指揮で行われたが、当初はパリでの演奏を目指していた。だから、当時パリで流行っていた、交響曲の第2楽章に「葬送行進曲」(付点音符が特徴)を入れることを模倣したのだという。緩やかで暗いトーンが、他の楽章よりも印象に残る。

 

久しぶりに、従来の浪漫的なベートーヴェンを聞いたような気がした。素晴らしい解釈だ。第2楽章のオーボエにうっとりしたり、後半のホルンの音に痺れたり。ティンパニもよく聞こえてきた。東フィルが異様にうまい。最強のオケじゃないのか。録音も響きが良くて、ライブ感が抜群。

 

「ベストオブクラシック」と「ブラボー!オーケストラ」では録音の仕方が違う。おそらくこの小さな番組の方が、簡略的なマイク装置で録っているような気がするが、僕はこっちの方が好み。海外の放送局の録音に似ている。

NHK-FM「吹奏楽のひびき」

「追悼・汐澤安彦」
初回放送日:2025年4月13日
DJ:中橋愛生

 

ジェームズ・バーンズ:

アルヴァマー序曲
汐澤安彦 指揮

東京佼成ウインドオーケストラ

(1982,CBS/SONY)

 

昔は「ブラスの響き」という番組で、僕が聴いていた頃は司会が秋山紀夫先生だった。吹奏楽曲をあまり好まなくなってからは、この番組のことも忘れていた。

 

しかし、今回は特集が「追悼・汐澤安彦」だというので飛んできた。「昔話」につながるテーマだと、ついまた「吹奏楽曲」を聞きたいと思ってしまう。

 

バーンズ作曲の《アルヴァマー序曲》が、汐澤安彦先生の名演の中でもベストなんじゃないかと思っている。

 

考えることは、だいたいみんな同じのようで、番組内で中橋愛生もそう言っていた。そして、1曲目に掛かった。

 

午前中にFMで聴いた《威風堂々》で、大太鼓を演奏したことを思い出したばかりだが、《アルヴァマー》でも僕は大太鼓だった。どちらも高1の時だ。

 

 

今日は、「俺に大太鼓を思い出させる」(試練の)日なのかなあ、これは。

 

 

今日はずっと雨。昨日は「明日出かけよう」と思って、一週間の疲れを癒しながらずっと家にいた。こんなことなら昨日、晴れているうちに出かければよかった。

 

かと言って、出かける先もない。仕方ないから夜の食材を買いがてら本屋に行った。外出時間、約1時間。買いたい本も見つからず、帰宅。ほんとつまらない一日。喫茶店に寄ろうかと思ったが、読みたい本も所持していないので、そのまま帰宅。梅酒をロックで味わいながら、自宅で音楽を聴く。

 

というわけで、FM放送ばかりを聴いているのである。

 

 

 

NHK-FM「音楽の泉」

エルガーの「威風堂々」
初回放送日:2025年4月6日

司会:奥田佳道

 

 

エルガー:

行進曲《威風堂々》作品39

 第2番イ短調

 第3番ハ短調

 第4番ト長調

 第5番ハ長調

 第1番ニ長調

ゲオルグ・ショルティ 指揮

ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団

(1977,DECCA)

 

 

CDだと順当に第1番からだが、奥田さんの放送では、上記の順に演奏された。超有名な第1番を最後にし、普段あまり聴かれない曲の順になっている。

 

ショルティの《威風堂々》は、何かの余白に入っていた第1番しか聴いたことがなかったので、この機会に「全曲」を通して聴けることはたいへん興味深い。

 

例により、ラジオを消して、「Apple Music」を立ち上げ、検索する。少しでも高音質で聴くために、こうしている。

 

 

第5番は、聴いたことがあったはずなのにまったく覚えていない曲だった。好きなのは、4番だ。次に2番。1番は、吹奏楽部に入ったばかりの時に大太鼓を一所懸命にやった記憶しかないので、あまり好きではない。この曲を聴くと、譜面ズラがまざまざと眼前に出現する。

 

全曲ともショルティらしい演奏だ。

 

がっちがっちで優雅さには欠けているが、音楽のビートをガシガシと打ち込んでいく。どなたかが、「ショルティのビートは楔のよう」と表現されていたが、まさにそれ。

 

でも、厳格な感じはすごいするので、DECCAの高音強調型の録音と相俟って、これをもって「英国風」とするのは「あり」なんじゃないかと思う。

 

 

 

 

 

 

NHK-FM「名演奏ライブラリー」

「若き日のクラウディオ・アバド」
初回放送日:2025年4月6日
DJ:満津岡信育

 

カンビーニ:

ピアノ協奏曲第3番ト長調作品15
クラウディオ・アバド(ピアノ)

ミラノ弦楽オーケストラ

ミケランジェロ・アバド 指揮
(1954年)

 

 

新年度が始まった。

 

いろいろと忙しいが、まあ仕方がない。人相手の商売だから、もちろん愉しいことも笑っちゃうこともいっぱいあって飽きない。

 

なににせよ、自分の「専攻」(=本当にやりたかったこと)が真に活かせる職業に就けていることが嬉しい。

 

今年は、そう思える春なのだ。

 

さあて、仕事がスタートしてから最初の連休、久しぶりにFMを聞こう。

 

 

アバドの若いころの演奏。しかも指揮だけじゃなくて、ピアノの演奏も聴ける。

 

近年発売されたCDボックスからのセレクションのようだが、調べると、元のCDには更にいろいろと入っている。例によって、「Apple Music」に切り替えて聴いてみよう。

 

 

アバドは、自身のお父さんの作った室内オケでチェンバロを弾いていたようだ。カラヤンといい、マゼールといい、レヴァインといい、名指揮者は名演奏家でもある。そう考えると、小澤征爾はちと分が悪いような気がする。

 

モノラル録音は聴かない主義だけれども、ジュゼッペ・カンビーニのピアノ協奏曲は、とても良い曲だったので、途中で止めるタイミングを逸して聴き続けた。アバドのピアノも、普通の若い才能あふれるピアノ奏者といった感じだった。溌溂としている。

 

カンビーニとは、イタリアの作曲家でモーツァルトより10歳ほど年長。ヴァイオリニストでもあったようだ。

 

 

 

NHK-FM「クラシックの庭」

「チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番」
初回放送日:2025年4月3日
案内:田添菜穂子

 

 

チャイコフスキー:

ピアノ協奏曲第1番変ロ短調作品23
アルカディ・ヴォロドス(ピアノ)

小澤征爾 指揮

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

(2003,SONY)

 

 

「クラシックの庭」は、良い演奏を教えてくれる良い番組だ。FM放送の鑑といってもいい。

 

田添菜穂子氏には悪いが、いつものように「Apple Music」に切り替えて聞き直す。こちらの方が圧縮ネットラジオより数段音が良いので感動する。

 

この演奏は未聴であったが、ずっと聴きたいと思っていた演奏だった。初っ端から緊張感が高く、それがずっと最後まで維持された。聴く側に姿勢を正して聴くことをさせる、実に求道的な音楽となっていた。有体に云ってスゴイ演奏。

 

スピード感と重厚感からくる緊張。ベルリン・フィルの音が圧倒的なのはもちろんのこと、ソリストがオケと指揮者を煽っている様子が伝わってくる。そして、それに応える“平常運転”の名門・重厚オケ。第2楽章冒頭のフルートなんて、聴きながら笑ってしまったよ。ここだけでお金が取れる。

 

指揮者の追従性は、もはや名人芸である。「さすがセイジ・オザワ!」と声を上げたくなった。

 

先日のマゼールの《英雄の生涯》のレコードの時も思ったが、SONY(CBS/SONY)は、オケを近めのマイクでものすごくゴージャスに録る。グラモフォン風のマルチマイクな感じとはまた違って、スタジオ録音(文字通りのスタジオでの録音)のような「作られた感」を(敢えて?)演出しているように感じる。

 

嫌いじゃない。

 

むしろ、こういう録音を懐かしく聴く余裕が、いまの僕にはある。アバドのシカゴ響(チャイコフスキー全集)とか、マゼールのウィーン・フィル(マーラー全集)、バレンボイムのベルリン・フィル(幻想)などなど。

 

いやあ、やはりFM放送は良い演奏の宝庫だ。願はくは、Apple Musicに切り替えなくても聴き続けていられる「クオリティー」でオンエアしてほしいものだ。

 

いまの技術で、なんとかならんのかいな。