リヒャルト・シュトラウスの音楽を愉しく聴けたのは、このカートリッジに換えたからかもしれない!

 

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3月31日、県民ホールとお別れをしようと仕事場を出て、少し時間があるからと、ヨドバシカメラの4階に立ち寄ったのがイケなかった、いや、良かった。

 

雑誌などで評判の良いCHUDEN MG-3605というカートリッジについて店員さんに訊いてみた。すると、店員氏の曰うことには、

 

おお、チューデンですね、チューデン。お客さん、これ、凄いんですよ。何が凄いって、このカートリッジ、人を変えちゃうんです。人格を変えちゃうんですよ。先日ね、テクニクスのSL-1200に付けるカートリッジで安くて良いのないか? って聞いてきた、ちょっとガラのよろしくない風の男の人がいたんですよ。で、これを薦めてお買い上げいただいたんですけどね、数日後、その方が僕の前にやってきて、そうです、ちょうどその辺りに立つんです。何されんだろうと思っていたらね、その方、直立不動なんですね。ピシッと気をつけの姿勢なんです。で、「最高のカートリッジを教えくださって、ありがとうございました!」って深々とお辞儀するんですよ。…凄いでしょ。このカートリッジ、人を変えちゃうんですよ。

 

と。

 

これを聞いて買わない人います?

 

 

 

僕はもう決めました。一生、中電に付いていきます。音が良いです。なのに安すぎです。

 

中電って勝手に名古屋とか浜松とかの会社だと思い込んでいたのだけれど(名前が電力会社みたいだからだろう)、正解は群馬の会社でした。最高です。

 

 

 

 

 

 

 

リヒャルト・シュトラウス:

交響詩《英雄の生涯》作品40

ロリン・マゼール 指揮

クリーヴランド管弦楽団

(1977,CBS/SONY)

 

 

岡本太郎の題字の帯が躍る、カッコ良いジャケット。先週、買った。

 

(私の好みからは外れる)リヒャルト・シュトラウスのLPをどうして買ったのかというと、ただ単に「懐かしかった」からだ。

 

このアルバムのコンパクトディスクを、僕は高校生の時に購入していた。しかし、今は所有していない。どの時点で手放したのかはよく覚えていない。

 

一方、買った時のことはよく覚えている。当時のCBS/SONYのCDの帯は、紙で工作された「箱形」だった。「ベスト100」の中の1枚であったと思う。3,000円と、新譜よりも廉価だった。これが購入の第一の理由。

 

第二の理由は、友人の「K」に薦められたからだ。僕はそれを鵜吞みにした。「K」は(自室で頸動脈を切らない代わりに)ホルン吹きだった。今なら「ホルン吹き、マーラーとリヒャルト・シュトラウスを薦めがち」という説を100%支持するが、当時はそんなこと知る由もない。

 

ちなみに「K」には「Y」という彼女がいた。同じホルン吹きの後輩だった。かわいかった。ずっといちゃいちゃしてた。くそーっと思った僕は猛勉強して大学に受かったが、毎日いちゃいちゃしていた(=妄想)彼は、最終的にどこの大学にも受からなかった。僕は密かにガッツポーズをした。

 

「K」は、僕にないものを全部持っていた。容姿も音楽的才能も、そして彼女も。

 

「K」が「良い!」という音楽について、僕が「分からない」と言うのはなんか苦しかった。無理してでも僕はリヒャルト・シュトラウスを聴いた。そして「いい曲だね」と感想を合わせた。

 

そんな曲を2025年のいま、レコードで聴く。

 

クリーヴランドの響きが重厚で煌びやかだ。オケもそうだが、ホールと録り方がゴージャス。

 

感動したのはそれだけではない。ちゃんとB面の最後まで聴けたことだ。あれから38年経って、僕は成長していたのである。これは嬉しかった。

 

「K」は、若くして「Y」と結婚した。その後、連絡は取っていない。元気に暮らしているだろうか。久しぶりに消息を訪ねてみようかな。そんな気分になった。

 

 

 

 

 

 

本日、令和7年3月31日を以て県民ホールが閉館(休館)となった。この1ヶ月間、さまざまなクロージング・イベントがなされていたが、結局、一つも行けなかった。

 

そこで、仕事帰りに一人で県民ホールに立ち寄ることにした。

 

僕にとっての最後の県民ホールは、一昨年11月だった。帰宅後、当ブログにずいぶんと長い記事を書いた。昔話になると、ついつい気持ちが乗ってしまう。↓

 

 

さて、今夜の大ホール(神奈川フィル)は当日券も売り切れ。仕方がないから、小ホールでパイプオルガンを撮影して、あとはロビーで往時を偲ぶことにした。

 

 

 

 

 

 

思い出の展示コーナーでは、昭和62年5月の公演カレンダーがパネル展示されていた。ちゃんと「ソビエト国立交響楽団」って書いてある! 僕にとって最高の思い出。というか、人生を決めた演奏会だったかも。(この展示は嬉しかった!)

 

 

記念に、ハーバーと絵葉書のセットを購入して帰ってきた。

 

ありがとう! 神奈川県民ホール!

 

 

 

本日のニコ響を鑑賞。すべて良かった! ブラボー!

 

日時:2025年3月30日(日)14時開演
会場:ミューザ川崎シンフォニーホール
指揮:オスモ・ヴァンスカ
ピアノ:イノン・バルナタン

ニールセン:序曲《ヘリオス》作品17
ベートーヴェン:

ピアノ協奏曲第3番ハ短調作品37
プロコフィエフ:

交響曲第5番変ロ長調作品100

 

会場に行けばよかった! と気づいたときはもう開演直前でした。今日も楽しめました! 個人的にはプロコフィエフでのスネアドラムがメタルスネアだったのが、とても嬉しかった! ナイスチョイス、なんて僕が言っちゃいけませんね。弱音でも埋もれずパキッとカラッと聞こえてきました。プロはさすがです。

 

 

 

 

ドラムのことを書いても、本番があるわけでも、リハーサルがあるわけでもなく、かえって空しくなってしまうので、結局、日常的に聴いている音楽の話題になるわけである。

 

春は別れの季節でもある。11月に一緒にやった「レインボー」のコピーバンドのギタリスト(通称:リッチー)が、この度、異動になった。またやろうと思えば、いつでもできるのであるが、淋しいには違いない。

 

日常的に聴く音楽…は、クラシックばかりである。ジャズも聴かなくなった。いや、聴くのであるが、全部 Apple Musicで聴くので、レコードをプレーヤーに掛けなくなった。だから、中古屋でレコード漁りをすることもなくなった。散在がなく、部屋も狭くならない。一挙両得である。

 

そういうわけで、先日、ジャズやフュージョンのレコード盤を売りに行ったら、結構なお金になった。ありがたやー。そのお金でクラシックのレコードを買ってきた。

 

その一枚が、これ。

 

 

ショスタコーヴィチ:

交響曲第5番ニ短調作品47

スタニスラフ・スクロヴァチェフスキー 指揮

ミネアポリス交響楽団

(1961,フィリップス)

 

いやー、好きな曲だとどんなものでも買ってしまう。調べたら、当盤は日本盤で表向きは「フィリップス」レーベル、発売は日本ビクターとなっているが、原盤は「マーキュリー」だそうだ。1961年の録音という。

 

バーンスタインとニューヨーク・フィルの同曲の録音(CBS)が1959年だから、北米で二匹目のどぜうを狙ったのだろうか。

 

僕の良し悪しの判断は、だいたい第3楽章で決まってしまうが、悪くない。音は悪いが、感情の迸りがある。合格である。ここは「綺麗」に響かせてはイケナイと僕の心は言っている。日本人指揮者にはキレイに響かせる演奏が多い。もしかしたら引退した井上某氏などは、合格点を与えられる演奏をしているのかもしれない。

 

が、寡聞にして未聴である。

 

終楽章は、僕にとって、どう演奏してもOKな楽章。どんなキテレツな演奏でも発見があり面白い。勉強になる。今回の録音はミネソタのオケがとても一生懸命に弾いて(吹いて・叩いて)いて、とても共感した。1961年当時、この曲って、まだまだとても難しい曲だったと思う。

 

本当にお疲れさまでした。レコードの終端まで来てほっと胸を撫でおろした。

 

ところで、今朝、カナダに留学して必死こいて英語をしゃべっている夢を見た。汗だらだらで目覚めた。昨日、このレコードを聴いてミネソタの地(カナダに近い)に思いを馳せちゃったのが原因かもしれない。

 

 

 

現在発売中のリットー・ミュージック刊『リズム&ドラム・マガジン』(2025年4月号/季刊)は、前号に続いて「昭和100年特集」。

 

 

その中のパート4に「今は亡き、昭和のバンド・ドラマーたちが本誌に残した"言葉"」という特集があった。

 

 

取り上げられたミュージシャンは、樋口宗孝、田中裕二、徳永善也の3人だ。先日、亡くなった廣石惠一も、タイミングによってはここに掲載されていた可能性もあった。

 

 

誌面を読む限り、安全地帯の田中裕二のインタビューが同誌に掲載されたのは、たった1回きりだったようだ。1987年1月号の記事がそれである。

 

僕は10年前にこの記事について、当ブログで取り上げ、無断ながら文字起こしまでしている。だから、今回の田中裕二の記事は、僕にとっては真新しさの少ないないものとなった。

 

 

もちろん、このような「昭和特集」に田中さんが「レジェンド」としてピックアップされていることは素直に嬉しい。しかし、それはちょっと遅すぎた「褒章」と言えなくはないだろうか。生きていらっしゃるうちに知りたかったプレイやイクイップメントが、僕にはたくさんあった。ありすぎた。

 

いまさらの「特集」が悔やまれる。

 

ただ、樋口宗孝とクロベエの記事には感動した。読んだことのないものだったから。(僕はチェッカーズもコピーしたぐらいだから、クロベエも「先生」なのだ!)

 

そして、田中裕二のドラミングについて、実は新たな発見もあった。1984年当時のスネアが、フリーフローティングのメタルの6半だと分かったことだ。ライブビデオを目を皿のようにしてチェックして、パールの「フリーフローティング」であることは確認できていたのだが、シェルの材質までは画面からは判断できなかった。

 

Pearl S-814D (シェルはスチールである)

 

もう一つ、良かったのは、記事を書いた山本雄一(ドラマー、本誌ライター)が、田中のドラミングについて、《I LOVE YOUからはじめよう》の間奏部分を採譜して、分析していたことだ。「紅白歌合戦でも捧げられたエモーショナルなドラミング」というキャプションも入っていた。

 

いずれにしても、安全地帯という「バンド」を崇拝しているのであって、「単体」の玉置浩二にはさほど興味のない僕にとって、久しぶりに「安全地帯」を存分に聴こう! という気になった出来事であった。

 

 

ドラムマガジン、どうもありがとう。

 

こういう特集ばかりなら、ドラマガを「毎号買おう」と思うが、果たして今後はどうなるのだろうか。誌面の傾向が気になるところだ。

 

(若者はどうせ活字を読まないで、スマホですぐ「検索」だから、紙媒体は全部おっさん向けの内容で良いと個人的には思うのだが…)

 

 

 

 

 

 

 

杉山清隆&オメガトライブとクレイジーケンバンドの廣石惠一が亡くなった。《サマー・サスピション》は発売時にシングルEPを買ったし、「ザ・ベストテン」などのテレビ番組に出てきたときには、ドラムセットやその奏法などをブラウン管にかぶりついて観ていた。現在みたいにYouTubeなんてない時代、テレビの情報はそれこそ余さず吸収していたのだ。

 

そういう意味では、僕のドラムの先生。安全地帯の田中裕二も、サザンの松田弘も、みな同列。レジェンドなのよ。

 

(わかるかなあ)

 

もう18年も前と気づいて唖然とするのだが、クレイジーケンバンドのシングルを初めて買ったのは、2007年の《てんやわんやですよ》だった。

 

 

その後、『GALAXY』と『SOUL電波』を買って、よく聴いた。福島の田舎で故郷の横浜を思い出しながら…。

 

 

かっこいいドラムを演奏する人。

 

いつも思う。プロのミュージシャンの素晴らしさは、身体が失われても、作品は永遠に残るということだ。

 

作品がある限り、廣石惠一は死なない。

 

1980年代から、僕をドラム好きにしてくださって、ありがとうございました。ご冥福をお祈りします。

 

 

 

 

 

 

 

チャイコフスキー:

ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品35

シベリウス:

ヴァイオリン協奏曲ニ短調作品47

チョン・キョンファ(Vn)

アンドレ・プレヴィン 指揮

ロンドン交響楽団

(1970,LONDON)

 

チョン・キョンファのデビュー盤のリイシュー盤のようである。録音に先立って行われたロンドン公演ではセンセーションを巻き起こした…と裏の解説に書いてある。(解説:三浦淳史)

 

グルーヴ感のようなものは、10年後に録音しなおしたデュトワ&モントリオール響との演奏の方がある。しかし、こっちの方が丁寧に弾いているかもしれない。心なしかゆったりした風情を感じる。オケはティンパニやコントラバスが沈み込むような低音で迫ってくる。木管との絡みはちょっと淡白な感じかも。

 

シベリウスの方も、かっこいい。弾きまくっているような音は収録されてなくて、割と冷徹である。が、それがいい。オケのバックもとても冷静だと思う。DECCAの録音がそう聞かせる面もあると思うけれども。

 

Technics SL-1200の初号機はよく働いている。ベルトドライブのプレーヤーを一掃してよかった。精神衛生上、好もしい。音も重厚感があって良い。

 

 

 

 

 

 

 

ラヴェル:

管弦楽作品全集

シャルル・デュトワ 指揮

モントリオール交響楽団

モントリオール交響合唱団

ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団

チョン・キョンファ(Vn)

パスカル・ロジェ(P)

(1978-1984,LONDON)

 

先々週、3月7日がモーリス・ラヴェルの誕生日だった。1875年生まれというから、今年でちょうど生誕150年(150歳)である。

 

GW中に開催されるラ・フォル・ジュルネでも案の定、ラヴェルを取り上げるプログラムがあった。さっそくチケットを購入。

 

 

始まった当初はラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンと言われていたが、いつしか「TOKYO」になったようだ。

 

5月5日(祝)の昼、東京シティ・フィルによるラヴェルのピアノ協奏曲を聴く。なんと「左手」と「両手」の両方を、しかも別々のソリストで聴けるというから嬉しいじゃない。

 

 

公演番号:312
「パリに生まれた精妙なる幻想世界」

ラヴェル:組曲《マ・メール・ロワ》
ラヴェル:左手のためのピアノ協奏曲 ニ長調*
ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調**
  *福間洸太朗 (ピアノ)
 **アリエル・ベック (ピアノ)

東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
指揮 リオ・クオクマン

 

家族4人分のチケットを取った。愉しくみんなで出かけられたら良い。妻の体調や天候が良いことを祈ろう。

 

妻は「左手」が大好きだという。藝大オケを一緒に聴きに行ったことがあったが、それ以来のお気に入りだそうだ。非常に愉しみにしている。免疫力アップのためにはたいへん良いことだ。

 

今日は、デュトワ&モントリオール響のレコードで、この曲を聴いている。パスカル・ロジェのピアノが繊細でとても曲想に合っている。それにしても、このデュトワ/モントリオール響の演奏と言ったら、地球上の完璧を通り越して、宇宙空間にまで達してしまっている。これを超える演奏なんて、最早ないんだろうと思うぞ。

 

 

すごいや。こりゃ。(改めて)

 

 

 

 

NHK-FM「ベストオブクラシック」

新ダヴィッド同盟 演奏会
初回放送日:2025年3月18日
【案内】高山久美子

 

 

ベートーヴェン:

弦楽三重奏曲ハ短調作品9-3
庄司紗矢香(Vn)、磯村和英(Va)

スティーヴン・イッサーリス(Vc)
 

フォーレ:

ピアノ三重奏曲ニ短調作品120
庄司紗矢香(Vn)、スティーヴン・イッサーリス(Vc)

小菅優(P)

シューマン:

ピアノ五重奏曲変ホ長調作品44
庄司紗矢香(Vn)、池田菊衛(Vn)、磯村和英(Va)

スティーヴン・イッサーリス(Vc)、小菅優(P)


(2024.12.1, 紀尾井ホール)

 

 

らじる★らじるの聞き逃し配信が終了する前に聴くことができてホッとする。(間に合った)

 

フォーレ以外は初めて聴く曲。何かの雑誌で、庄司紗矢香がカミュやドストエフスキーの本を読んでいるということを知ってから、日本人のヴァイオリニストというと、すぐに庄司を思い浮かべるようになった。CDも結構持っていた方だと思う。(メータとかチョン・ミュンフンとかテミルカーノフとかと共演していたアルバムなどだ)

 

勝手な想像であるが、内なるパワーがすごそうな雰囲気のする人である。ケルンの大学で学んだという経歴からも、なにかしら重めの思想を感じてしまう。

 

YouTubeで聴かれるインタビューの受け答えなんかも、とても誠実で、それなのに途轍もない意志を感じる。ひとことで言って、すごくかっこいい。

 

 

 

 

僕は(例によって)オケの入っていないクラシックは、あまり聴かないタチから、今回の放送のような弦楽三重奏というのはとても新鮮な聴取体験だ。

 

弦楽器の音というのは、このくらいの編成だととてもよく「マイクに乗る」ような気がする。ダイナミックな大編成オケなんかだと、ソロは埋もれてしまうか、埋もれなくても貧弱な薄っぺらい音に聞こえてしまう。生のコンサートでは、けっしてそんなことはないのに。

 

ベートーヴェンは、弱音で終わるイメージがなかったので、この曲はとても新鮮。弦楽器の美しさも十分に愉しめた。

 

フォーレとシューマンには小菅優のピアノが入っている。いま急に、小菅優のリサイタルに過去に行ったことがあることを思い出した。何を演奏したのか、どこのホールだったのか、だれに誘われたのか、一つも思い出せない。印象に残らなかったというのではなくて、僕がいかに器楽曲に疎いかの証である。

 

今日の3曲の中ではシューマンが一番良かった。シューマンの作品の中でも人気があるというのは納得である。ハッとする場面やフレーズがいくつか出てくる。

 

新ダヴィッド同盟は、水戸芸術館のユニットだという。そして庄司が声をかけたアーティストで構成されているのだそうだ。いつか生で聴いてみたいと思う。