私はずーっと、父はなんであんななんだろうか?と疑問で疑問で仕方がありませんでした。
私にとって父は冷たい人。
特に妻子に冷たい人。
他人に与える温かさはあっても、妻子には冷たい、そんな人でした。
そしてここ何十年かは兄と私をあからさまに差別していて、私はとてもみじめな気分でした。
父に対して疑問と憎しみさえ感じていました。
なんで父は私に対してこうなんだろう?と考えても答えが見つからず、辛かったです。
それが今朝ふと、なんだか父の気持ちがわかったような気がしました。
父は居場所が無い感に、ずーっと苦しめられていたのではないかと思いました。
それが元々あって、結果的に私へのあの態度になってしまったのでは?と思いました。
父が住んでいる所(私の実家のある所)は、とても田舎で人口が少ない村です。
父にとってあの村は、決して住み心地の良い所ではないようです。
始終、口癖のように村や近所の人の悪口を言っていますから。
父は30代前半の頃、職場の独身女性と浮気をしたのです。当時、父にはすでに2人の子ども(兄と私)がいました。
それでも父は、その女性と一緒になりたくて、母との離婚を望みました。
家庭裁判所に調停を申し立てましたが、当時は有責配偶者からの申し立ては認められず、結局離婚できませんでした。
この事は小さな村ですから、みんなの知ることとなったと思います。
相手の女性も同じ村の人でしたし。
それにこんなこともありました。
父のお母さん、つまり私から見れば祖母ですが、祖母が自殺してしまったのです。
これもまた村中の人が知っていると思います。
父からしたら、そもそも自分はある人に騙されたのだ、騙されて結果、母と結婚することになった。
そんな事情なんてみんなは知らない、わかってない。
だけどオレだけが悪者だと思われているに違いない。
みんなオレの気持ちも知らずに、オレをわらっているに違いない、なんて感じていたのかもしれません。
また祖母のこともショックだったと思います。
そのことも、村のみんなから責められているような気持だったのかもしれません。
父の気持ちは私の推測に過ぎませんが、父はあの小さな村の中に、自分の居場所が無いように感じていたのかもしれません。
そんな父にとって、兄の存在が、自分のことを周りの人に認めさせる、唯一の存在だったのかもしれません。
兄は学校で人気者でしたし、就職してからも仕事でも活躍しました。
友だちも多く、女の子にもモテて、結婚して子どもを授かりました。
子どもたちは順調に成長して、兄の娘は結婚し、子どもを授かりました。
兄は孫ができたのです。
父にとってはひ孫になります。
父が自慢したくなるのもわかります。
父からしたら兄は親孝行です。
親戚の集まり等で、兄と兄の家族を自慢したくなる気持ちもわかるなあと、今朝は思いました。
兄の家族の存在は、父が生きてきたことの証明だったのかもしれません。
一方私は、お勉強はそこそこできても、暗いパッとしない娘でした。
結婚については、母の勧めで東京の人と結婚して、地元から離れてしまったのです。
父にとっては遠くに嫁いだ役に立たない娘だったのかも。
父にとっては私は、母の言うことばかり聞いて遠くへ行ってしまった裏切り者だったのかもしれません。
その上、私は子どもを産んだら障害のある子を産んだのです。
父からしたらまったくもうっ!というやるせない気持ちになってしまう娘だったのかもしれません。
兄も私も父の正当性や成功を証明する道具ではないのですが、父の気持ちは、わかるような気がするなあと今朝は感じました。
そう思うと兄と私に対する態度の違いもわかるような気がしました。
父はほんとうは都会が似合う人なのかもしれません。
たくさんの人の中で、仕事で活躍して、趣味や出会いを楽しんで、のびのびと生きたかったのではないかと思いました。
小さな村で自分の生まれた家の責任を負って、父なりに忍耐強く生きてきたのだけれど、父は、あの村の中に自分の居場所が無い感を持っていたのではないかと、そんな気がしました。
もしそうなら、父の気持ちもわかるなあと思いました。
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