復活の日にぴったりだ。 | 【 モヤトリアムな毎日 】

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モヤモヤで、モラトリアムな日常。


空も涙を必死でこらえ、雨を漏らさぬよう耐えてくれているかのような曇り模様。


THE YELLOW MONKEY SUPER BIG EGG 2024
3年半ぶりの東京ドーム!


2019年12月28日。結成30周年を記念した3大ドームツアー初日の名古屋公演が大盛況で終了。

翌年2020年。京セラドームでの大阪公演も見事成功に収めるも、ドームツアーを締め括るはずだった東京ドーム公演2DAYSは、世界を襲った新型コロナウイルスの感染拡大によって中止に。

それから半年後の2020年11月3日。
依然として出口の見えなかったコロナ禍の中、観客を最大収容の半分に満たない1万9000人に抑え、ファンの声出しを封じて先陣を切る形で臨んだ仕切り直しの東京ドーム公演という挑戦は、1人の感染者も出すことなく催行され、コロナ時代の大規模ライブのあり方に一つ風穴を開けるコンサートとなりました。


同年12月28日には日本武道館でも有観客ライブを成功させ、いったん充電期間に入ることを宣言。
「次のライブはコロナも収まって歓声を上げることができるのでは」―。
あの時は誰もがそう思っていたものの…。


2022年。吉井さんに喉の不調が発覚し、予定されていた年末恒例の武道館公演の中止が決定。

そして去年秋。
早期の喉頭がんであったことを公表。
癌は治療によって根治したとしつつも、2023年の武道館公演も回復が間に合わず開催は見送られるなど、この2年超、そのほとんどがバンドのメインボーカリストの病との闘いに費やされてきました。


世界がアフターコロナを迎え、ライブ会場での声出しも解禁される中、誰よりもそのステージに立ちたかったであろう1人だったはずなのに、今度は自身の体調の問題で声が出せない。歌えない。


そんな辛さを乗り越えて、ついにこの日がやってきた。


ここに集うみんなが、歓声で祝福したい気持ちだったはずです。


でもやっぱり、本当に復調しているのかどうか…不安が拭えないのも事実。
ROCKIN'ON JAPANに掲載されたメンバーインタビューを読んで、「もしかしたら完全復活していないのかもしれない」「ライブの途中で声が出なくなってしまうこともあるのでは」、そうした思いにも駆られ。

でも、とにかく、4年ぶりにメンバーに歓声で応えられる機会はこうして到来したのです。


タイマーゼロで迎えた幕開け!

まずはステージ両端に現れたキーボーディストのセッションからスタート。
下手には20世紀のイエローモンキーを支えた三国義貴さんの姿が久しぶりに!
そして上手には再集結後のサポートメンバーを務める鶴谷崇さん!
三国さんと鶴ちゃん揃い踏みによるツインキーボードという贅沢なサプライズ!

そして…

メンバー4人がステージに上がり、流れるキーボードの音色は「バラ色の日々」のイントロ!!
あの日コロナ禍の真っ只中のライブで声を出せなかった、みんなで大合唱できなかった「バラ色」から始まるドームライブだなんて、憎い演出を通り越してズルい!ズルすぎる!
もう開始早々に涙腺が崩壊。
でも「バラ色」で始める意味は、心にきちんと届きました。
そしてこれは必然かもしれないという納得感。ここがこの日のハイライトだと断言できるし、そうであって間違いじゃないし、それがあるべき理想形。泣きながら一生懸命歌いました。

続く2曲目はNew Albumに収録予定の新曲「SHINE ON」
来月のリリースが待ち遠しい10枚目のフルアルバムへの期待も高まり、ただ帰ってきただけじゃなくまだまだ突き進むんだという意志表明に興奮と楽しさが押し寄せてくる。

マルセイバターサンドの包装紙のような柄のセットアップに身を包んだ吉井さん。
「代表曲をたくさんやります!」の宣言に次いで、メジャーデビュー曲「Romantist Taste」を披露。
さらに2020年の東京ドームで「声はいらないから、体でください!」と言った「Tactics」のコール&レスポンス、今回は「声も体も欲しいです!」に全力で応えるオーディエンス!

「BURN」「ROCK STAR」「楽園」「SPARK」といった定番曲から、これも新アルバム収録予定で先行配信中の「ソナタの暗闇」や前作『9999』収録の「天道虫」など最新のナンバーを交える圧巻の構成!

しかしなかなか吉井さんの喉は本調子ではないようで…調子良く出る音域はしっかりとありました。でも、その音域より低いところも高いところも掠れてしまうカンジでしょうか。やっぱり終始、声が出しづらそうでした。
きっと普通に歌えた頃のライブでも相当に体力と集中力と精神力を駆使していただろうから、今のライブは想像を遥かに超える疲弊を背負っているんだろうなぁ。

「聖なる海とサンシャイン」の前のエマの長めのギターソロとか、「ソナタの暗闇」の前のアニーとヒーセのセッションとかも、ロビンの喉をケアするための時間なのかなと勘繰ってしまったり。

「太陽が燃えている」の後、暗転した場内に流れたVTRには、この2年間の吉井さんの喉頭がんとの闘いが記録されていました。
放射線治療を繰り返し、喉の表面に赤く焼けた四角いケロイドの痕が出来てしまった様子。
スタジオリハをやってみたら声がガラガラになってまともに話すことすらできなくなってしまった事。
独りになった時に見せる不安げな表情。

今まで明かされなかった闘病中の姿を赤裸々に曝け出すことがプロのロックシンガーとして正しい姿なのかどうかは分からないけれど、正直に打ち明けてくれたような気がして嬉しかった。でもそれと同時に、この先のキャリア、いつ歌えなくなってしまってもおかしくないのかなとも思ってしまった。
だからこそ、このVTRの直後に演奏した「人生の終わり(FOR GRANDMOTHER)」には刺さるものがあったし、それでも今以上にもっともっと回復する未来を信じようという気にもなる。

本編ラストの「ホテルニュートリノ」はキーを下げていたけれど、それでもアップダウンの激しいスカ調のこの曲はやっぱり歌いづらそうだったなー。

アンコールで戻ってきた吉井さん、喉の具合が少し戻ったのか、「アバンギャルドで行こうよ」「ALRIGHT」「悲しきAISAN BOY」辺りはやや復調した様子。
最後は「JAM」を大合唱してオーラスかな…と思いきや。

暗転後、これまた新譜に収録予定の「復活の日」の音源が会場に流される。
その後、ステージが再び明転。
メンバーが三たび姿を現し、ダブルアンコールで奏でるのは「WELCOME TO MY DOGHOUSE」

まさに代表曲たっぷり!
でもそれだけじゃなくて最新のエッセンスもしっかり効かせたセットリスト!
癌からサバイブしたばかりの身で東京ドーム5万人を相手に、全21曲、怒涛の2時間半のステージをこなす…信じられないタフさ!

最後の最後、去り際に吉井さんが言い放った「治ったら2DAYSやるぞ!」を聞いて、彼らの信じる未来を信じようと心に決めました。


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THE YELLOW MONKEY
SUPER BIG EGG 2024
"SHINE ON"
2024.04.27(Sat)
東京ドーム
OPEN 16:00 / START 18:30


01)バラ色の日々
02)SHINE ON
-MC-
03)Romantist Taste
04)Tactics
05)聖なる海とサンシャイン
06)BURN
07)ROCK STAR
-MC-
08)楽園
09)SPARK
10)ソナタの暗闇
11)天道虫
12)太陽が燃えている
-VTR-
13)人生の終わり(FOR GRANDMOTHER)
14)SUCK OF LIFE
15)LOVE LOVE SHOW
-MC-
16)ホテルニュートリノ
encore.
01)アバンギャルドで行こうよ
02)ALRIGHT
03)悲しきASIAN BOY
04)JAM
-MV 復活の日-
encore2.
01)WELCOME TO MY DOGHOUSE


yh馬