今日はタルトタタンを食べにゆく日だ。
今日は絶対タルトタタンを食べにゆく。
何があっても、今日だけは、タルトタタンを食べると、そう決めている朝。
昨日は収録で疲れたから、帰ってまだこんな時間?と思いながら爆睡してしまった。
翌朝目覚めると、大雨台風の朝だった。わたしは休日には大好きなものを食べに行くと決めてしまったので、午前指定の宅配便を受け取ってから、そそくさと外へ出た。
寒い、寒い。
いつもは着ない上着を羽織って、先日無くした傘の代わりに、頼りない折りたたみ傘にしがみつきながら向かうは、築地のぎんざまぐろや。
わたしの、ここぞとばかりに狙っていた、平日ランチの時間帯だ。
何とか滑り込みセーフで営業終了時間ギリギリに滑り込んだわたしを、笑って迎えてくれるのは二年ぶりくらいに再会した大将と、同期の若手役者である。
わたしは厚かましく、贅沢に、我慢をせず一目散に「特選にします」と言う。それは、ランチ一人前1100円からのメニューの中では、1600円と一等高めの一品なのだ。
それでも、食べたい。今日は、食べる。
そうやってわたしは、何気なさそうにしているぎこちない会話を楽しんでいるように見せながら一所懸命すしの旨味を全身で味わった。
幸せ。嗚呼幸せ、幸せ。台風の中、ぎゅうぎゅうに雨風に濡らされながらすしにありつけたわたしは、さながら滝行を頑張った後の温泉につかる瞬間と似ていた。
そんなこんなでぺろりと平らげたすしを後にして、わたしはせわしなく次の目的地へと、ルンルンしてゆく。
そう、皆さんご周知の、マイ、タルトタタンのお店笑。
わたしからこのタルトタタンを引けば、腑抜けのような殻だけが残るだろう、というのはちと言い過ぎなのだろうか。
とにかくわたしの体は現在、このたまに休めるかもしれない金曜日の昼に食べに行くおすしと、週に2回は行かないと気が済まない、このカフェ横濱屋のタルトタタンとハヤシライスでできているのである。
いつもは会社の昼休みに一時間程しか立ち寄れない横濱屋、今日は休み、お休みなのだ♡
いつも以上に饒舌毒舌に拍車をかけたようなマスター曰く、わたくしは此処に「へばりついている」らしい笑 そのくらいわたしは入り浸って、自分の財布の声を聞かぬ存ぜぬで高飛車にタルトタタンとハヤシライスと数多の珈琲紅茶を堪能せしめる。
こんな時間がいつまでもつづくように、毎日仕事に精を出すのだ。
そんな前向きな気持ちにさせてくれる、わたしの大好きなすしとタルトタタンのお店。
一度ならず何度となく棄権してきたわたしの人生が、このすしとタルトタタンという小さな欲求のルーティーンでよきように変わってゆくことを他力本願的に願いつつ祈りつつ、今日も明日もたらふくすしとタルトタタンを食べる夢を視る、そんなわたしであった。
つづく
ぎんざまぐろや 特選
カフェ横濱屋で沢山呑んだオールスターズたち

