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もころぐ

のんびり勉強しています_(:3 」∠ )_ 
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諸外国語を勉強するにあたり、比較的マイナーな言語を勉強していると「アスペクト」「テンス」などの用語が出てくる。
また、IPA(国際音声記号)も知っている前提で解説されていることが多い。
これらを整理するために言語学の勉強もしてみると良いと思う。

『やさしい言語学』高橋 留美, 大塚 みさ, 杉本 淳子, 田中 幹大 著
初期のころに読んだ。大学1,2年生を対象としていると思われる。

平易な言葉で書かれているが、やはり教科書らしくかしこまった感じがする。


『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』今井むつみ, 秋田喜美 著
オノマトペとアブダクションをテーマに言語の誕生・習得について考察している。

アブダクションというのは、簡単に言うと限られたサンプルから自分なりの仮説を立てて応用するというものである。

「ゆる言語学ラジオ」というYoutubeチャンネルと関連が深く、本書でも出てくる。


『日本語音声学入門 改訂版』斎藤 純男 著

表紙からすると非常にお堅い印象を受けるが、中身としては親しみやすい。時々ユーモアのある書き方をしていて、クスっと笑える。
日本語と言いながら朝鮮語やスペイン語などの単語も豊富に掲載しており、
多言語学習者にとって大変有用と思われる。


『はじめての語用論: 基礎から応用まで』加藤重広, 澤田 淳 編
「はじめての」と言いながらもかなり踏み込んだ内容であるが、語用論についてある程度全体像をつかむことができる。
グライス語用論の部分はしっかり理解する必要がある。

特にポライトネス理論については実感が湧きやすく興味深い。

 

『日本語教育教科書 日本語教育能力検定試験 完全攻略ガイド』ヒューマンアカデミー 著

日本語教育能力検定という試験のテキストとして作られた本なのだが、非常に良くまとまっている印象。

言語学学習の序盤で本書に取り組んでも良いと思う。練習問題がついているので、理解度を確認できるのがありがたい所である。

巻末の参考文献を見ればわかるが、本書自体も膨大な数の本を参考としているので信頼して良いと思う。

 

『明解言語学辞典』斎藤 純男, 田口 善久, 西村 義樹 編
ある程度知識のある人向けだと思うが、解説がコンパクトにまとまっている。
辞書的に使うというよりは通読向き。人文系の院試で使う人も多いようである。

広辞苑で特に印象に残った項目をいくつかピックアップしてみる。


【けけれ】
こころを表す上代東国語である。
広辞苑には上代東国語も収録する方針のようであり、全部で120語ほど掲載されている。ほとんどが万葉集の東歌からの引用である。
「せみど」-しみず(清水)、「つく」-つき(月)、「とる」-てる(照る)、「ふ」-ひ(日)などがある。
大まかにいうと現在の関東弁の祖先にあたるが、記録はあまり多くは残されておらず不明な点が多いという。
ちなみに上代東国語の特徴を多く残しているのが八丈語である。

【ふ(音節)】
「両唇を接近させて、その間から発する無声摩擦音〔f〕と母音〔u〕の結合した音節。〔fu〕」とある。
音声学を背景とした記述で、言語学に関して勉強して始めて理解できる内容である。

日本語のハ行は歴史的経緯により発音がかなり複雑である。「は」「ひ」「ふ」の3音で全て調音方法が違うという。

さすが日本語の辞書というだけあって、日本語の音声学にも対応している。

【正規曲線】

統計学においてきわめて重要な曲線である。
広辞苑では「f(x)=(1/σ√2π)exp{-(x-m)^2/2σ}」と曲線を描くための数式がきっちり書かれおり、おそらくこれが広辞苑に載っている一番複雑な式である。とても理系らしい項目であり気に入っている。残念ながら本項の語釈ではどのような場面でこの曲線が出てくるかの記載はない。

これとは対照的に、【ゼータ関数】では「数学、特に数論において、最も重要な関数の一つ。素数の分布などの研究に大きな役割を演ずる」と、数式などの説明は一切省いてどのような関数なのかを記載している。幾分ざっくりしすぎている感は否めないが、国語辞典で引くことを想定すると、これくらいの記載の方が良いのかもしれない。
ちなみに【標準正規曲線】は、「"m=0,σ=1の正規曲線"」としてまた別に立項されている。

【日本】

日本史を圧縮して記載しているのが特徴だ。
「4世紀に統一国家が成立し、それ以後古墳・奈良・平安時代を経て、鎌倉幕府の創立となり、政権は公家を経て武家に移り、室町幕府に引き継がれる。ついで織田・豊臣(安土桃山)政権が生まれ、さらに江戸幕府265年間を経て明治維新により武家政権が終わり、やがて立憲君主国となる。…」と駆け足でまとめ上げる。確かに、日本史を物凄くかいつまんで言うとこういう説明になるのである。観光中の外国人などに日本史を説明するときはこれくらいがいいかもしれない。

 

参考文献

新村 出 編(2018) . 『広辞苑 第七版』. 岩波書店

斎藤 純男 著(2006) .『日本語音声学入門 改訂版』. 三省堂

平安時代ごろに完成した日本語の文語文法は、現代においても随所にその面影を残している。

慣用句・方言・作品名などから、文語文法が現代に遺した痕跡を探してみた。

 

【助詞】

否定
ず:連体形「ぬ」は、関西弁の「ん」になった。「やらん」「行かん」など。現代標準語の「ない」は、連体形「ぬ」+助詞「ふ」により生じた「なふ」が語源。
完了
ぬ:『風立ちぬ』『風とともに去りぬ』など映画作品名
つ:『舞姫』冒頭の「石炭をば早や積み果てつ」
たり:慣用句「幽霊の正体見たり枯れ尾花」
り:「於ける」(「置く」+助動詞「り」)、「我勝てり」に見られる。
回想
き:「ありき」(「あり」+助動詞「き」。例えば、「結論ありきの会議」)、「思いきや」(「思ふ」+助動詞「き」+助詞「や」)
けり:慣用句「けりをつける」
けむ:用例見つからず。
推量
む:現代標準語「う」「よう」に繋がる。
むず:んずる。静岡弁「ずら」は、「むず」+「らむ」から。
らむ:東海地方の方言「~ら」は「らむ」>「らん」>「ら」と変化した。「~ずら」は、助動詞「むず」+助動詞「らむ」から。
らし:現代標準語「らしい」に繋がる。
まし:「あらまし」の語源か?
べし・べかり:関東弁「~べ」「~だべ」(<「たり」の連用形「たる」+助動詞「べし」)
まじ・ましじ:現代標準語「~まい」
めり:地名「なめり」の語源?(助動詞「なり」の連用形「なる」+助動詞「めり」>「なんめり」>「なめり」)
なり:「にてあり」が「であ」に変化し、現代標準語「だ」になった。関西弁では「であ」>「ぢゃ」>「や」と変化。
たり:「たるや」(<「たり」の連用形「たる」+終助詞「や」)
比況
ごとし:「~のごとき」「動かざること山のごとし」
自発・可能・受け身・尊敬
る・らる:現代標準語「れる」「られる」に繋がる。
ゆ・らゆ:「あらゆる」(「あり」+助動詞「ゆ」の連体形「ゆる」)「いわゆる」(「言ふ」+助動詞「ゆ」の連体形「ゆる」)
使役・尊敬
す・さす:現代標準語「せる」「させる」に繋がる。
しむ:現代標準語「~ならしめる」
たまふ:八丈語「たもうれ」
はべり:用例見つからず。
さふらふ:「居候」(<「居る」+「さふらふ」)、「ようそろ(宜候)」(<「宜しい」+「さふらふ」)
たし:現代標準語「たい」に繋がる。
まほし:用例見つからず。

【助詞】
だに:慣用句「予想だにしない」
かも:用例見つからず。現代標準語の「かも」とは全く成り立ちが違うらしい。
かな:「よきかな」「むべなるかな」(「むべ」+助動詞「なり」+助詞「かな」)
かし:「さぞかし」
ばや:「とりかへばや物語」

【係り結び】
「~こそあれ」は、助詞「こそ」を受けて動詞「あり」が已然形「あれ」となっている。

他にも、中国地方などで係り結びが残っている地方があるとされる。

 

参考文献

新村 出 編(2018)『広辞苑 第七版』.岩波書店

沖森 卓也 著(2017)『日本語全史』.ちくま新書
小林 隆 著(2006)『方言が明かす日本語の歴史』.岩波書店

オーストロタイ語族の言語である。
有気音と無気音を区別し、声調もある。発音は難しい部類に入る。
中国語よりも難しいかもしれない。
タイ文字というブラーフミー文字を祖先とする独特の文字で筆記する。
このタイ文字がまた覚えにくい。凹みがあると別の文字になったり、紛らわしい。
おそらく外国人から見た日本語の「め」「ぬ」のようなものなのだろうが。
文法からみると、孤立語であり、これも比較的中国語に近い。
単語に関しては、一部広東語に近いものがあるが固有語が多く覚えにくい。
全体的にかなりハードルの高い言語である。ただタイは親日国としても知られるので、
タイ人とタイ語で話せると喜ばれるであろう。

検定
実用タイ語検定試験が年2回開催されている。
一度4級・5級を受験してみたが両方とも落ちてしまった。

書籍
『世界一わかりやすい!一夜漬けタイ語 ― 』藤崎 ポンパン, 早坂 裕一郎 著
巻末に地図などいろいろと有益な情報を載せてくれている。
 

オーストロアジア語族の言語であるが、中国からの借用が非常に多く、
語彙の中には大量の漢語が含まれる。なので、どことなく日本語に似た単語が多い。
例えば、社会はxã hội(サーホイ)、権力はquyền lực(クエンルック)など。
ベトナムは漢字文化圏にある。ただ、ローマ字によって書かれているので、そのことに気が付きにくい。
明治時代には日本においても、日本語をローマ字で書こうという運動があったそうだ。それを地で行ったのがベトナムと言える。
かつてベトナムでもチュノムというベトナム版国字を使って筆記していたことがあって、チュノム字典というのも出ている。
オンラインでもチュノムを調べることは可能である。
文法としては、ベトナム語は基本的に孤立語であり、中国語に類似した所がある。比較的取り組みやすい。
日本国内でもベトナム人が沢山いるので、実用向きであり、学習しがいのある言語だ。

検定
実用ベトナム語能力検定試験が年1回開催されている。
まだ誕生してから7年ほどの新しい検定である。コロナ禍も無事に乗り越えていた。
現在ベトナム語検定準6級を取っている。

書籍
『CD付き 文法からマスター! はじめてのベトナム語』秋葉亜子 著, グェン・ティ・ゴック・トー 監修
漢字語は対応する漢字を書いてくれているのがありがたい。
このような入門書は意外と少ない。
『ニューエクスプレスプラス ベトナム語《CD付》』三上 直光 著

ラティウムという小規模な都市で話されていた言語で、後に古代ローマ帝国の公用語となった。
その後、口語は俗ラテン語からロマンス諸語に分裂していくが、文語として近代までヨーロッパ圏で共通語の位置を維持していたという。
現代の英語もフランス語を経由して、あるいはラテン語から直接に大量の借用語を取り込んでいる。
なので、ラテン語の文章を見てもどんな話をしているのか位であれば意外と見当がつく。
発音はかなり簡単で、いくつかの注意点を意識すればある程度正確に発音できる。
対して文法は非常に難しい。助動詞にあたるものがない分、動詞の活用は非常に複雑である。
しかし、動詞一つを見ればどのような文法的役割を持っているのかが理解できる。

検定
日本ではラテン語の検定は開催されていない。
開催された場合、文法が複雑なので、難しい試験になりそうだ。

書籍
『ニューエクスプレスプラス ラテン語《CD付》』岩崎 務 著
『世界はラテン語でできている』ラテン語さん 著

関連する言語
フランス語・スペイン語・ポルトガル語・イタリア語が子孫となる言語として有名である。
他に、ルーマニア語は周囲がスラブ語圏であるにも関わらずロマンス語としてのアイデンティティを貫いた。
オック語・ロマンシュ語などもラテン語の子孫である。
エスペラント語という人工言語は、ラテン諸語を元に作られている。
 

ギリシャ語
ギリシャ文字によって書かれる、ギリシャ語派の言語である。
古代ギリシャの時代から、アレクサンドロスの大帝国、ビザンツ帝国に至るまでギリシャ語は公用語とされた。
また、現代の英語にも、おもに科学技術関係においてギリシャ語由来のものが多い。
よって、日本語に取り入れられた外来語にも、元をたどるとギリシャ語に行きつく単語が多い。

自分は、『ギリシャ語練習プリント 』でさわりだけ勉強し、『ニューエクスプレス』である程度の文法を勉強した。
現代ギリシャ語は古代ギリシャ語と比較すると発音の変化があり、これにより表記との乖離が目立つものの、
文法構造は古代のころから比較的良く保存されている。また、ラテン語と同様に格変化や活用が変化に富んでいる。

検定
ギリシャ語能力検定というものが年1回開催されているが、受験料が2万円近くかかり、また申し込み手続きも複雑で受験には至っていない。

書籍
『ギリシャ語練習プリント 』小学館
小学校のドリルのように、ひたすら書き写して勉強するというもの。
ごく初歩的な文法についても程度説明してくれている。入門にはこれがぴったりだと思う。
『ニューエクスプレスプラス 現代ギリシア語』木戸雅子 著

キリル文字によって書かれる、スラブ語派の代表的な言語である。
Pをラ行で読んだりと頭が混乱し易いが、キリル文字についてはギリシャ文字からある程度類推を働かせることができる。
ウクライナへのロシア侵攻などにより、学習においてモチベーションが削がれやすいというのが実情である。
検定についても、ロシア語検定というものがあるが最低級でもかなり難しく、ハードルは高い。
文法は複雑である。冠詞やbe動詞にあたるものがないが、動詞の変化が非常に多様であり、一つ一つを覚えて行かなければならないのである。
単語は一部ロマンス諸語と共通するものがあるが、やはりスラブ語派という独立した語派を形成しており、独特のものが多い。
日本語に取り入れられたロシア語に「イクラ」「ノルマ」などがある。
他に、ボリシェビキ「多数派」、ペレストロイカ「立て直し」、グラスノスチ「情報公開」などの世界史用語がある。

書籍
『ニューエクスプレスプラス ロシア語《CD付》』黒田龍之助
『にぎやかなロシア語メモーあるいは眠られぬ夜の外国語のために』黒田龍之助
ロシア語単語と、それにまつわる筆者のちょっとしたエピソードが書いてある、異色の単語帳である。
エッセイ集として読んでも面白い。

関連する言語
東スラブ語のウクライナ語・ベラルーシ語、西スラブ語のチェコ語・ポーランド語など、他のスラブ諸語と類似している。
ロシア語を習得できれば、これらの言語の習得も容易であると予想される。
 

スペイン語の山間部にあるバスク地方で話される言語であるが、インド・ヨーロッパ語族と異なり孤立した言語である。
インド・ヨーロッパ語族がヨーロッパを席巻する前から存在していた数少ない言語なのではないかと言われており、言語学的には重要な意味を持っていると言える。

また、能格言語でもある。能格言語については自分も十分理解しているとは言えないが、「いろんなものを受け身で考える言語」である。例えば、「彼が肉を食べた」という文について、肉にスポットを当てると「肉が彼に食べられた」という表現になる。バスク語ではこれが基本的な表現形式となる。
文法は極めて難解とされ、「神からどんな罰を与えられても全くひるまなかった悪魔でさえ、3年間岩牢にこもってバスク語を勉強する罰を課されると神に許しを乞うた」というものがある。
ただ語順など意外と日本語に類似している部分も多く、日本語話者からすると欧米の学習者よりも習得は難しくないかもしれない。
日本語との繋がりとして、身近なものにバスクチーズがある。高温でしっかりと焼き上げるため、表面に焦げ目が付くのが特徴だという。
また、ベレー帽もフランス語を経由しているが、バスク地方由来だという。

書籍
『バスク語のしくみ《新版》』吉田 浩美 著
『ニューエクスプレスプラス バスク語《CD付》』吉田 浩美 著

かつて古代ローマ帝国が地中海沿岸を広く支配し、ラテン語が公用語とされていたが、現在はスペイン語やフランス語と分裂してしまっており、また近代においてもイタリアは海外の植民地をほとんど獲得できなかった。イタリア語話者のほとんどがイタリア本国在住であるが、このような歴史的経緯のためだろう。

発音はスペイン語と同様に比較的日本語に近い。聞き取りも比較的しやすい。
格変化はほぼ失われており、動詞の活用がやや煩雑であるが、フランス語やスペイン語から類推できる。
ラテン語の直系の子孫であり、特に複数形の作り方などにラテン語の名残を感じることができる。例えば、fungo-funghi, amico-amiciなど。フランス語やスペイン語では多くの場合sをつけるだけだがイタリア語では独特の変化をする。
イタリア語を始めるに当たり、既にフランス語・スペイン語を学習していたので、ほとんど勉強しなくても推測で読めるのでは?と思っていたが、実際はある程度勉強が必要だった。
ただ日本語とのか関わりが深く、特に食事や音楽関連で借用が多い。

検定
実用イタリア語検定試験というものが年2回行われている。
現在、イタリア語検定5級を取得している。リスニングのスピードが非常に早く難しい印象だった。
自宅にてオンラインで受験することができるので、日程が組みやすいのでありがたい。
ただその分信頼性が担保されなくなるので、就活などに活用しようとすると不利になりそうだ。

書籍
『フランス語 スペイン語 イタリア語 3言語が同時に身につく本』藤田 健 著

フランス語・スペイン語を参考にしながらイタリア語の学習ができる。

"猫たちの会話"が示唆に富んでおり、ラテン語からどのように変化していったかを理解することができる。
『ニューエクスプレスプラス イタリア語《CD付》』入江 たまよ 著